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2009年1月18日 (日)

ジョジョ5部読了感想など - 永い余生 - (ネタバレアリ)

   いろいろ忙しくて遅れていて。

   三宅乱丈のデビュー作「ぶっせん」ではいろいろムチャクチャな名言がありましたが、
   「3大座ったひと」ってのはだれとだれと引退前の山口百恵でしたかねえ?
   ググっても出てこないです。よっぽど凄い探し方しないとネットで言及した人いないってことになりますかね? ……わたくし今から旦那様の部屋を荒らして調べてこようかしら?

   とりあえず、当時19才だった山口百恵は目が据わっていたなと(おかあさんそれ「座ったひと」ちゃう。でも、たしか沖縄の米軍だったかヴェトナムの米軍だったかというヤバイネタも「居座った」として入ってたから、十分該当する……デビュー作でこれぐらい毒を吐いてたんだから三宅乱丈はやっぱり凄い)。

   で、この第五部の主人公、吸血鬼DIOが身体を乗っ取ったところのジョナサン・ジョースターが食料(ひえ~)であった女性に産ませた男児、ジョルノ・ジョバァーナが、

   ……15にして目が据わってしまっておる

                                         のですよ。

   精神は悪の帝王である男が産ませた少年ですが、その肉体は正義の血筋、ジョースター家のもので、証の星形のあざもちゃんとある、となると、

   正義なの? 悪の権化なの? どっちになるのよ???

   というわけなのです。

   可哀相な被虐待児であるところの彼は、ほんの気まぐれでかばったギャングが恩義を感じてくれて、うまれて初めて彼に人間らしい配慮を示してくれたことから、ギャングに対する憧れを抱いてしまったのです! 

   いきなり前章第4部の語り部康一くんの荷物を白タクをやりつつ盗むという悪そのものの登場をした彼は、その地を仕切るマフィアと事を構えてしまって、ピンチに陥りますが、そこで彼に対応するために送り込まれたのが「やさしいマフィア」ブチャラティ。
   「戦いの最中ちょっと利用した少年の手に麻薬の注射跡があったことに衝撃を受け、敵にとどめを刺すのが一瞬遅れる」ようないい人です。
   また、そのとどめを刺されるのが遅れた一瞬の隙にそこまで推理して、
   「あなたはいいひとだ」と断言するジョルノもホント肝の据わったひとです。
   据わった目でうまくやさしいブチャラティを言いくるめて、「そんな腐った組織はぼくが乗っ取ってやるから手をかして」と仲間になってしまうのです。
   登場時尋問者、事態が進んで敵になった相手を、話でたらしこんで味方、心の同盟者にしてしまっています。たぶん、気持ちの上では彼が煽動者で、上にいますよきっと。そんで、これは出会ったその日のうちの話です。
   何度も申しますが、この時点で15才です。

   覚悟が人間を進化させるのか。

   このあと、文庫で10冊分の死闘を繰り広げ、やさしいブチャラティを踏み台に彼はとうとうボスの座にたどり着き、幹部から忠誠の接吻を受けるシーンで5部は終わってます。
   詳しいひとが考証したら、この間9日余りだったとか。

   なんて濃い9日

   15にしてイタリア全土に支配力を持つマフィアのボスになって、いったいどうしようというのか。子供に麻薬を売るようなことはさせない、というのはブチャラティの夢であって、必ずしもジョルノの目指すギャング道ではないかもしれないのですが、いったいそういう「やさしいマフィア」を実現できるものか。ファンタジーな中世世界で奴隷解放を実現してしまった解放王アルスラーンのように、内部からも外部からも袋だたきの目に遭うんじゃないかと思うんですけど。アルスラーンには頼れる17人(?)の仲間がいましたけど、濃い旅のおかげでジョルノにはもう拳銃使いのミスタしか仲間は残ってないんです(造反時に離脱した切れる上にキレるフーゴはおかげで生き残りましたけど、ファンが期待するほど彼の参謀として働いてくれるかどうか)。

   前途多難だよ。

   3部でも、齢(よわい)18で世界を救っちゃった承太郎、それを言ったら2部のジョセフも、究極生物との死闘から帰還したのは19の時だったなァ。

   少年向けの作品と言うこともありますが、ヒーローが10代って怖いなあ。

   10代で世界を救ってしまったら、そのあとはなにをしたらいいの?

   ジョセフは、生涯の伴侶も見つけ、母も名乗り出てくれたみたいでハッピーな結末と見えましたが。彼は底抜けに明るい性格だったし。

   承太郎なんて、4部で再登場したときにはあんまりおとなしくなっちゃってて、深読みして哀しくなりましたね。生涯の友になれるだろう(なってほしい)男を失ってしまってますし、彼の心はもう死んでしまっているんじゃないかと。ちゃんと妻子がいるって聞いても、疑わしい(いやそれ予断に基づいた妄想)。
   齢18で世界を救って、残りは余生か。

   ガンダム、一番最初のやつはファーストっていうんですよね、あれの、主人公アムロ。16でした。戦争終結に結びつく戦功を挙げて。そのため、パート2、「Ζガンダム」のときには、危険人物ってことで既に監視付き、ただごろごろするだけの人生になっていたそうです。

   ヒーローになるってことは辛いことですね。なるまでの過程じゃなく、その後も。オリンピックの金メダリストとか、喩えにしちゃいけないかな?

   夢を叶えてギャングのスターになったジョルノ君、「生き残ったものは受け継いでいかねばならない」との言葉を受けて、過酷な人生をさらに歩まねばならないようです。

   だからといって、彼が目覚めて行動を起こさなかったら、彼の地は全く変わらない混沌のままだったわけで。そりゃあ、動かないよりは動いた方が何倍もまし。たとえ、読者の思い入れ濃いキャラクターが何人命を落としたとしても。

   運命の歯車を回しちゃったひとは、そのしんどい人生を最後まで貫いてもらいましょうか。せめて、何もできない凡人からは心の底からの賛美の言葉を惜しまないことにして。

   19で世界を救ったジョセフは、68才でまた孫達を率いて世界を救う冒険をして(第3部)、さらには79才で隠し子の存在が判明して来日、杜王町を守る戦いにオブザーヴァー参加(第4部)してますね。6部時点でも生存だそうで、彼はジョースター家としては例外だそうですが、ヒーローにはこういう人生がいいんじゃないかなあ。英雄的な一瞬一瞬の間に、普通に不動産王になったり、女子大生と不倫の恋をしたり、奥さんに尻に敷かれたり。

   ちなみに、18で世界を救っちゃったひとの先例には、たぶん「ドラゴンボール」の心優しき2代目、悟飯ちゃんがいたと思います。身近な人の死や、スパルタ過ぎる訓練を乗り越えて彼は全世界を救い、そんでもってちゃんと日常生活に戻っていって、「がくしゃさんになりたい」という夢を叶えて普通の家庭を築いてました。作品世界があれはある意味牧歌的ってこともありますが……鳥山明は偉大ですね。

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