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2008年7月19日 (土)

連続ドラマの鑑賞の仕方について

   大河ドラマをネタに言いたい放題言っておる当ブログのレヴューではございますが。

   こちらも毎年連続して試聴するのはほとんど大河ドラマのみという状況で、NHKから出ておりますドラマストーリー(公式解説本)もしっかり購入、各種サイトも参照して骨までしゃぶるつもりで見ておりますのよ。

   NHKが総力を挙げて制作しておりますドラマという位置づけですので、それなりのものを期待しております。最新の研究成果と時代の雰囲気を解釈に取り込み、スタッフも演じ手も最高の布陣で行われておりますものと信じております。

   「あんなものはどうせ『ドラマ』だから」という冷笑的見方におちいらず、不満を抱えながらもできるだけ良いところを見、しかしながら、苦言を呈するべき所は容赦なく、という立ち位置を心がけておりますが。最近はいかんせん、世間での好評を聞くにつけ、あまのじゃくな気持ちが抑えきれず、細かいところをあげつらっておったかも知れません。

   しかしながら、こちらも大河歴が長いので、最後にうっちゃられるのまで込み込みで楽しみにしておるのです。ちょうど今年の初め、どうにもヒロインのいじけた性格が気に入らないとこちらで早々に「ちりとてちん」が楽しめないと公言しておきながら、物語が進むにつれて目が離せなくなり、最後にはあっぱれ名作であったと申しましたように。
   最初はあまりにも後年の偉大なお姿とのギャップに呆れ、こちらでもヒドイ、ヒドイと申しておりましたが、だからといって見放すことはたえておこなわず、家人にも迷惑がられながらもしつこく試聴を続けておりますのは、ひとえに大河ドラマを愛し、期待しておるからです。最後には、ティッシュペーパーを箱で使いながら「嗚呼、今年もよい大河であった」と言わせて貰うつもりが十分あります。

   家定の寵愛を受けねばならぬと大奥が総出で篤姫の髪型を工夫し、打ち掛けなどを案じながら、結局の所、篤姫が前例を破り、率直に家定に声を掛けて来訪を乞うたのがいちばん効果があった回は、快哉を叫ばずにおられませんでした。これこそ篤姫の真骨頂。ここはたしかに素晴らしかったです。

   あれだけ篤姫を無視しておった家定が、最後には篤姫を頼り、心を開いて差し向かいで碁を打つまでになった姿に、しみじみとした感慨を感じたことはここでも述べたとおりです。

   ただ目に付いたあまりにも現代的な解釈であるところ、軽々しく思えるところをあげつらったからと言って、卑怯なやり方で当ブログを混乱させるような行いを受けるのは大変迷惑です。

   わたくしのはアンチ巨人のようなもの。楽天の野村監督のようにみっともなくぼやきながら、それでも大河を見ずにはおられないのです。ここはどうだ、ここに感動しなかったのかとお尋ねくだされば、包まずにそのすばらしさを申し述べさせていただきましょうに。ご覧になって不愉快に思ったとただそれだけ言い捨ててゆかれては、こちらも困惑するだけでございます。

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2008年7月16日 (水)

先生教えてください!

   中学の方で懇親会があったので出てきました。

   お弁当を作れないご家庭のための予約制ランチサーヴィスのお弁当なんか試食しながら、この際おかあさん同士聞いておきたいことなんかどうぞ、なんて言われて。

   「これから夏休みに向けて、子供同士出かけたがるかと思いますが、どの辺まで許しますか?」なんて問題提起があって。

   「とりあえず、ノイエ・リリエンベルクまではセーフですよね?」

   まあそりゃね。あそこに出ないと本もノートも買えません。
   「でもあそこシネコンがありますけど、映画もOK?」
   中学生だから、映画もOKだそうで。自分だってたのきん映画を見に金沢の真ん中の映画館いったくせに(「ねらわれた学園」も見た。ちょうどそういう角川映画が若年層をターゲットにしだした頃)。
   「だいたいあそこはレイトショウは親同伴じゃないと中学生でもいれてくれないわよ」
   「まあちゃんとしてるのねえ」
   なんでも聞いてみるもんだ。

   「ジャイアンツランド(仮名)は?」駅で言うと2駅です。あそこのプールはこの辺ではいちばん大きいでしょう。スポーツクラブは駅前にありますけど、会員じゃないひとが行って入れてくれるとは思えないし、夏休みに行くとしたらジャイアンツランドのプールでしょうね。
   「許可ー」
   「中学生だしね」
   「じゃ、花火大会は?」
   この辺は、ジャイアンツランドで開催されるのか、もっと海の方の広いところでやるのかは聞き忘れました。どうでしょう? 川崎市民の方(聞くな) 隅田川花火大会のことだったりして。
   「花火大会は夜だからヤバイでしょう」

   「じゃ、TDLなんかは?」
   「そんな! 県2つ跨ぐじゃないですか!!」絶叫するおかあさんに、周りはにやにや。でも、自分からは発言してくれないのよね。
   「TDLだめですか? じゃあなんでだめ? その辺の理由をどうぞ。県2つ跨ぐから?」この役員のおかあさんが仕切りがうまくって。
   「……でも、あそこって、ガードマンとかちゃんといそうだからいいかな? お酒とか出さないんでしょ? 健全そうだし」とおかあさんはデミュヌエンド(だんだん小さく)。自分がディズニーがキライだからとは言えません。
   「そーだよね、健全な雰囲気あるよね」 
   「それにあそこに来る男はだいたい彼女連れだよねー」ここで失笑。
   「TDLに男だけで来るってのも情けない感じ、あ、ごめん、男の子だけで行く話?」どんどん脱線してます。
   「でもあそこって、夜になったらなんだか電気つけてパレードしたり踊ったりしてない? そんな時間まで出しとくのやっぱ気にならない?」おかあさん、エレクトリカル・パレードという言葉が浮かびません。いや、やってるのか今でも?
   笑いの中になんだか話題が消えちゃいました。

   (うちの子はこの前子供同士でナイターに行ったわ)と、クラブチームの野球をやっているというオオヤマさん(仮名)。
   (それってやっぱり横浜スタジアム?)とこそこそ会話が。
   (東京ドームよ)
   (ドームはいいんじゃないの)
   (ドームは駅からすぐだし)
   (変な人に絡まれるのだけが心配だけど)
   そこで千葉マリンスタジアムや埼玉の西武球場はだめなのかと突っ込みたいのを猛烈に堪えました。だめだよ、2つながら県を2つ跨いじゃう。自分で言ったんでしょ。じゃあ神宮はどうよ?(よしなさい)

   都会は誘惑が多くて大変ですね。

   で、お弁当が来たところでまたご歓談になり、さらに、職員室から手の空いている先生方が挨拶にやってきて。新任の先生なんかはここで自己紹介。

   「わーせんせー♪」
   豹太の担任の星先生(仮名)もいらっしゃいました。担当は家庭科。
   「せんせーこの前の参観日の時の梅ジュースもうみんな飲んだんですか?」6月の日曜参観、「保存食を作ろう」という単元(?)で、2年1組のみんなは梅ジュースに挑戦しました。いや、皮に穴を開けて、梅酒用密閉瓶に同量の砂糖と一緒に詰めるだけだったから。
時間余るだろこれだけじゃ、と思ったのに、よい子の皆さんは砂糖を先に入れちゃって梅がはみ出したり、「きっちり隙間なく詰めて」という指導を墨守して中の梅がつぶれるほどにみんなして押しまくったり(豹太の班です)。時間いっぱいまでかかってました。

   なかなか性格が出て面白い授業でした。

   梅酒はさすがに学校ではまずいだろうし、梅干しは何度も干してる時間がなかったんでしょうね、なんて勝手に考察して。いやまたこれが、梅の実が大きいのにビックリ(自分では梅酒も梅干しも作らないから)。ピンポン球どころか、ビリヤードの玉ぐらいありますって、したことないのに適当に。ええと、ネクタリンとかプラムとか、スモモ系の新しいフルーツがイマドキ店頭に出てますでしょ、アレと変わらないぐらい! 梅の実ってこんな大きなものだったんだ! じゃあ、梅干しは塩で水分がずいぶん吸い出されちゃったのね(品種が違うんです、たぶん)。
   「一週間で飲めるようになりまーす」って言ってたので気になってたのですが、彼らもお年頃で、親にそんな報告なんざ一切しないので。
   「はーいちゃんとみんな飲みましたー♪」ノリのいいさばさばした先生です。

   「なんかわたしに聞きたいこととかありますかー?」
   「は、じゃ先生」と、手を挙げたのはニカイドウさん(仮名)ここまでのご歓談で、ああ、ここのうちはしつけがきっちりしてる! とみんな感動していたので、どんなキョーイク的な深い質問かと身構えると、

   「わたしハンバーグを作ると必ず肉団子になっちゃうんですけど、あれはどうしたら分解しないんでしょうか?」

   料理の話かい!?

   「捏ねがたらないんじゃないですか?」
   「いーえもうぐちゃぐっちゃとかき回して。最初はちゃんと固まるんですけど、2回、3回とひっくり返してるうちに……ちゃんと卵とパン粉とタマネギ入れてますよ」
   「そんなに返しちゃダメ! ひっくり返すのは1回だよ!」

   ……なぜそこで割り込む!(と自分に突っ込み)

   「ハンバーグはオーヴンに突っ込めばいいんだよ。フライパンだと中まで火が通ったか心配だけど、オーヴンで20分焼いてその間自分はラクすればいいんだよ」と、おかあさん語る語る。ハンバーグだけは小学生の頃からお手伝いしてましたから。下宿時代も自分でオーヴントースターで作ったし。
   「うちオーヴンないんで」
   ぐっと詰まりましたね。

   「うちは煮込みにしちゃうわよ」と、イノウエさん。ああ、そのノウハウも聞きたかったぁ!

   「じゃ、ラップでくるんでミートローフにしちゃうんだ。様子見ながら5分ぐらいチンして、あとでラップとってフライパンに転がして焼き目をつけるんだ。そんで、あとで切り分ける」

   ……なんで楽しい手作りハンバーグ教室になっちゃったんだろう?

   おかあさん多分に流されやすいよね。

   良くしゃべる2人がハンバーグの作り方に喧々囂々し始めたので、テーブルのあとの皆さんは苦笑しつつ聞き役に回るのみ……。

   

ごめんなさい、星先生に進路の話とかお勉強の話とかしたかったひと!

   でもとっても楽しく懇親会が終えられて、
   「じゃー早乙女さんまたねー」と声も掛けてもらって。
   イイ気持ちで帰宅したのでした。

   そんで、その日はうちもハンバーグ♪(イヤ、ちょうど生協から挽肉来てたんで)

   

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「篤姫」 28 選んだ道は

   今週はきつかったな。

   NHK公式に拠れば、「はじめて家定が徳川家を残そうと動いた、つまりは自分のことも生きても良いと認めた」瞬間に、彼は……。

   

余りにも美化した家定像であると最初は違和感がありましたが、これはNHK大河史に残るよい新解釈に入れていいかも。
   わたくしが大河を毎年見始めたのは嫁いで以来ですから、ほんの10数年のキャリア(キャリアなのか?)ですけれどね。   

   予告にもありましたから心づもりはしてましたが、早かったですよ。
   開始5分ぐらいで、
   「牡丹を御台に見せよう」とかいって、手ずからハサミを持って切ろうとする(またココが泣かせる!)ときに倒れるのです。
   ってさー、武家の頭領が。源氏の氏の長者が(いやもうそういう観念はなかったでああろう)。女房にお花を見せてやろうって手前のうちの庭で倒れて死にますか。
   どんな死に方もみっともない死に方なんて言っちゃいけないんだろうけど。
   やっぱりヘタレ感を禁じ得ないですよ。
   この将軍にはふさわしいかもですが。

   じゃあどんな死に方ならいいかって、落馬して死ぬのも武士としてどうよって気もするし、鯛の天ぷらの食べ過ぎってのもアレですな。あれ、足利尊氏の死因ってなんだっけ?(なんかデキモノらしい)

   脚気衝心ってところがもうひ弱なお殿様になってしまった天下泰平の末というのを表わしていてらしいといえばらしいですかね。

   まだ死んでないって。

   その上様の一大事に、きっとママとお志賀ちゃんと篤子ちゃん三つどもえの争いが枕頭で勃発、と思いきや、それはひた隠しにされるのでありました。

   「そういえば最近上様と会ってないわ」
   「どのぐらいですかねえ」
   「ざっと半月」ってあんた! 悠長すぎ!

   なんだか、新婚の頃は毎朝篤子ちゃんのところに泊まらないまでもお仏壇の間とやらで顔ぐらい合わせてたみたいな描き方でしたが、当時は相当あっさりした夫婦仲だったようですね。2,3日顔を合わせないなんて普通なのかぁ。前回申しましたとおり、中奥っていう奥様の立ち入れないプライヴェイト・ルームもお持ちだし。あと、歴代将軍の忌日なんてのがあって、各将軍の月命日は慎むとかいって奥泊まり禁止だったらしいし。まあ、ご清潔だこと。家定は13代なのでその前は12人、一ヶ月のうち約5日に2日は子作りができないのであります。そりゃ将軍候補も少なくなろう。ちなみに、忌日が重なる将軍がいたらしい(3代家光が4月20日、8代吉宗が6月20日)ので厳密に12日ダメだったということはないそうです。ま、あとは本人の意志だな。「ダメです」と言われても「いいだろ」と言える性格か、そうでないか。家定とか家茂とかは、やっぱり押して同衾したいという性格じゃなさそう。

   脱線はおいといて。
   上様が病臥という情報は、さすがにママ本寿院の方には入っていた模様。ところが、篤姫憎しで凝り固まってしまったママは、「篤姫には内緒」とまた陰湿なことを言い出します。
   「滝山! 断れ!」娘も絶叫しました。

   結局滝山くんは自分の心とプライドに従った模様。
   「実は、上様ご病気みたいです」と告げに来てくれました。このへんはやっぱり篤子たんの人徳でしょうか。

   これと前後して、とうとう将軍継嗣が紀州慶福くんに決まり、ヒスを起こしてた幾島くんが2,3日姿を見せなくて、篤子ちゃんはそっちを気にしてました。
   「きくもっちゃんのことがトラウマなんだ。こっそり自害してないか気になるんだな」
   娘はその頃は見てなかったですから、なんで篤子ちゃんが気を揉むか理解してなかった模様。ああ、やっぱり半年見続けてきて良かった。

   久し振りに出てきた幾島くんと、そのトップシークレットを告げに来た滝山くんがバッティングして、まだその内容を知らない篤子ちゃんが滝山を待たせて幾島くんを気遣うことを優先したのがなんだかしみじみ。
   お廊下の方で控えてる、後で来た幾島くんの所へわざわざ主たる篤子ちゃんが寄っていって様子を確かめたところに、幾島くんを大切に思う気持ちを感じました。
   ああ、こんなに大切な「同志」になったのね。

   で、不吉な知らせに悲しむ篤子ちゃんに滝山くんはさらなる調査を約束。

   上様のプライヴェイト・ルームが大奥じゃないというのは善し悪しですね。

   一大事なのに、正室・側室・ご生母はお見舞いに行けないのです。

   どうなんだろ? 史実ではみんな病室は中奥だったのかしら? 過去の大河ではどう描かれていたかしら? 「葵~徳川三代」とかで家康の枕頭にはおねーちゃんたちが侍ってた気がするけど、家康の頃は大奥がまだ成立してないし。

   みんなして一致団結して訴えたら、非常時だし、大奥に病室を移したりとか、お見舞いが許可されたりとかあったかも知れないのに、ママ本寿院はそういう権力の使い方ができない人でした。
   そりゃ困るな。
   水戸ぎらいもそうだけど、なんでも好き嫌いで動きすぎ。
   これぐらいのことで「政治的判断」とかいうのも言い過ぎですが、やっぱ、女性もそれなりの立場に立ったら好き嫌いだけで行動しちゃいけないでしょ。
   ま、篤子ちゃんはこのひとを悪い手本と思って真似ないように心に留めたかも知れません。

   なんて言ってる間に一橋慶喜擁立に失敗した島津のパパは大老井伊直弼からキビシイ処分を受けたりして、大変だったのでした。それでも懲りずに今度は京都に琉球の王子を連れて行く時に西洋式軍隊を備えて見せるとかいっていろいろ立ち働いておるのであります。タフだ。ところがそこで急に倒れて……
   ちょうどその前の週の民放の歴史ミステリー番組で、この時代のエライひとがけっこうばたばた絶妙のタイミングで死んでおるという脈絡で、それは篤子たんが毒殺しておったという方向に持って行ってました。
   いやそれは極端な話で。とりあえず実行犯ではないぞと。
   このドラマの篤子たんは非常に衝撃を受けて悲しんでおりました。

   そこへ滝山くん登場。また緊張してます。

   「本来なら口外無用の所、上様がことのほか御台様を慈しんでおられた由にて格別のご配慮あり……」って言ってましたか?
   内緒だけど、上様があんたのことダイスキだったみたいから教えてあげる。

   上様はもう亡くなっていたのでした。

   それも、今日とか昨日とかじゃなく、ひと月も前に。

   え~ちょっと、今蝉鳴いてなかった? こんな季節にドライアイスなしに一ヶ月も亡くなったひとを放置?

   「わたくしを上様の所へ連れて行け!」

    篤子たん、やめたほうがいいんじゃ?

    おかあさんのつっこみも空しく、襖を開け放って部屋にはいると、

    そこにはもう壺、どころか、箱になった上様がいたのでした。

    心を見せてはもらえず(最後の最後には心は寄り添えたけれども)、同衾もしてもらえず、挙げ句に亡骸さえ見せてはもらえない妻なんて。

    妻じゃないだろう。

    それなのに篤子たんはこれから崩れゆく幕府を支えてゆかねばならないのでした。

    

辛いよなあ。

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2008年7月15日 (火)

「アイシールド21」 日本の生きる道

   最近の我が家の流行はこれ。
   「アイシールド21」原作 稲垣理一郎 村田雄介。週刊少年ジャンプで時々ある、特定のスポーツを流行らせようという企画からの作品に見えますね。原作担当者もしっかりついているようで。取り上げられているのはアメリカンフットボール。まーねー。ルールとか難しそうだし、全然グローバルじゃないし。はまると面白い球技らしいですが。ほとんど予備知識なしで読み始めました。タイトルのアイシールドとは、ヘルメットにつけた目を覆う透明板。主人公の瀬那くんは最初正体を隠した覆面選手で、必ずこの目を隠したヘルメットをつけていたことによります(21は背番号)。大昔ふうにタイトルをつければ「覆面選手21番」。ああ、なんか全然違う雰囲気。

   さて、少年漫画の役割とはなんでしょうか? 将来の日本を背負って立つ青少年少女いけないおねえさんに、健全(?)で安価な娯楽を提供することに違いはないんですけれど、もうひとつ、あるべき人間の姿を学んでいってもらうと言うこともあるのではないでしょうか。日本の今の若年層は、あの「ドラゴンボール」その他ジャンプ方式の漫画で「今は憎い敵だけれど、未来には頼れるチームメイトになって一緒に戦ってくれるものだ」というノーサイド将棋マインドを学んだんだと思うんです。間違っても、恨みを千歳に伝え残し、最後の一人まで敵を殺し尽くせとは決して思ってないと思います。グローバル化した国際社会において、それはそれで尊い心ではないですかね?

   「アイシールド21」の主人公は気が弱く、長いパシリ(気の弱さから使いっ走りをさせられるいじめられっ子)生活を送るうちにひとの間をすり抜けてダッシュしてお使いをさっさと済ませる術を会得してしまった新高校一年生です。その神速のダッシュ力は、しかし生来の気弱から体育の時間などでは発揮されることはなかったので、今まで埋もれていたという設定。それが、部員2名で細々と活動をしていたアメフト部の鬼才、蛭魔に見いだされて覆面選手、アメフトにおいてボールを持って逃げるポジションとして活躍するというお話。

   このヒルマがねー。
   つんつんに立たせた金髪、吊り目に尖った鼻、牙のような歯、尖った耳にはピアスと意図的に悪魔のようなスタイルを貫いております。ニッポン国だというのに重火器を持ち歩いて何かと言えば乱射、口にするのは「ファッキン~」「YA-HA!」、悪魔手帳に管理した学校の内外の人々の弱みにより人を支配し、アメフトにおける甲子園大会のような「クリスマスボウル」出場を夢見てあらゆる手を打ってくる文字通りの悪魔なわけです。
   しかしながら、「一生に一度スポーツに打ち込んでみたい!」と、勉強漬けの生活から2年次にしてアメフト部入部を志した雪光を、東京タワーの展望室まで歩いて氷を運ぶという根性試しの入部テストにおいてその根性に免じて「ひとかけらだけ氷が残っていたから合格」と恩情を掛けたり、アメフトの練習試合で賭をし、負けた相手チームを「奴隷」にしてこき使いながら、大会前には練習もあろうと解放したりと、
   (もしかして、実は結構いい奴なんじゃ?)と思って読んでいるうちに、連載の長い作品でよくある読者による登場人物の人気投票で、一回目2位、2回目1位を取るほどに読者の支持を得てしまっているのです。
   読者の目も節穴じゃありません。

   冷静になってよく見ると、次々現れるライヴァルたちが恐るべき体格・身体能力を持っているのに比べれば、ヒルマは体格・身体能力、ともに凡人レヴェルです。チームメイトたちさえ、セナをはじめ、野球部補欠からの鞍替え組、キャッチングで日本一を目指す雷門や、ひとの良さからいいようにこき使われる陸上部の主将駿足石丸、「カス」からの脱却をめざすもと瀬那をいじめていた不良3人組、体格を補うパワフルさの小結、家の事情で休学していたキッカー武蔵……と、多士済々(まーこーゆー漫画は普通そうだ)なのを見た後では、ふと疑問を感じさえします。

   しかし、この泥門(でいもん。チーム名がデビルバッツなど、このチームはいろいろ「悪魔」的イメージを持たせてある。少年漫画の主人公が「悪魔」ってところがスゴイ)高校チームの快進撃の原動力は司令塔の彼、ヒルマだったのでした。
   いかなる危機的状況でも、現有勢力から有効な作戦を編み出すその頭脳と粘りには敬服します。
   いや、今はその夢のクリスマスボウル挑戦中らしいのですが、その結果より彼が部活を引退した来年のこのチームが心配なぐらいです。別物のように弱くなったりして……。いいのか、この大会に優勝とかすれば大団円でお話自体が終わるから。

   さて、ここでわたくしがはたと思い至りましたのが、実は主人公より身体能力に劣りながら、主人公その他を支配して夢を実現させんとしたそのヒルマの行き方であります。

   

これが日本の生きる道よ。

   狡い、非道といわれながらも、夢に向かって最大限努力し続ける。生まれながらの体格の不足を恨むことなく努力して必要な能力を身につけ、自分の持った能力、優れた頭脳を最大限に駆使して持てる力を最大限利用する作戦を立案し、実行させる。

   狭く貧しい国土しか持たぬ日本が生き延びる道も、ヒルマの取る道に近いのではないでしょうか。

   そして、その努力し続ける孤独な姿を支持する読者がのべ4000人ほどもいたぐらいには、日本のことを評価してくれる外国のひとも現れるのではないかと期待したいわけです。  

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