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2008年6月27日 (金)

「図書館戦争」 12 

   なんか、初っぱなからオリジナル展開でした。

   前回、茨城の美術館出張警備の終盤、原作では地元の人に取り押さえられる筈の仏像図書館長を取り押さえるのが堂上教官&郁に改変されてた所から。

   炎の中に倒れ込んだ堂上教官、怪我としては軽傷、ただし、ショックで全く外からの刺激に反応しない人になってしまって。
   うつろな目でただベッドの上に坐ってるだけなのです。
   郁の嘆きはいかばかりか。
   玄田隊長も、危機は脱したものの、まだ意識は戻らず。

   良化隊がわには死者も出たそうで、図書隊のやり過ぎ、とマスコミは批判します(もともとそのマスコミは良化隊べったり、というはなしだそうですが)。「国に逆らって」という文言がとうとう出ました。設定では、良化隊は法務省の下の組織、図書隊は地方公共団体の下の組織なので、どっちも合法組織なんですけどね。良化隊が中央を押さえているのでマスコミがわは図書隊の味方をしづらいというところでしょうか。免許のこともあるし、と、放送局のがわの事情は4巻「図書館革命」で詳しくやってたかな。

   

死者、出てたっけ?
   それは、ちょっと引くなあ。
   安保のデモで女子学生が亡くなったって話は、すいませんその頃生まれてなかったか幼稚園児だったので単なる情報としてしか知りません。
   当時の方は、かえって盛り上がったのかな、保身というか、そこまでするものか、と引いたひとはいなかったのかしら。
   機動隊側で死者が出てたら、やっぱりニュースでこういう扱いされたかしら? 当時はそんなにワイドショウが過熱報道してなかったですかね? 「3時のあなた」はもうありましたか? そういうネタを取り扱ってましたか?

   「こちらにだって犠牲は出ているのに!」といきり立つ郁、例によって正論で解説する小牧教官。取材攻勢に麻子様もげんなり。

   稲嶺指令は淡々と引責辞任の支度。目覚めた玄田隊長を2階級特進させたりして(俺はまだ死んでない! というところに地味に笑ったり。でも、刑事ドラマとか、軍隊ものに慣れてないと、2階級特進=殉職って分かんなくて笑えないかな? きっと、コミック版は親切だからその辺注釈入りますね)
   「期待してますよ。図書隊最初の女性司令になりたいんだそうですね」と、麻子様をビビらせたり。
   「相手に死者が出たからやめるんじゃありません。水戸分隊の弱体化を見逃していたことの責任を取るんです」という最後の言葉が潔かったです。

   続く図書隊バッシングにも、堂上教官は目覚めない。気の利く小牧教官から、郁に託されるのは「学生時代に感動したっていってた本。読み聞かせしてあげて」って、「坊ちゃん」かい! 坊ちゃんの突撃シーンの、えっと、「無法で結構だ」? 開き直りの言葉に、赤線が引いてあったりして。……イマドキ、本を読んで、感動した部分に赤線引っ張りますか? 古本屋に出せなくなるし、わたしはしません。出さないけど。しぜん、心に刻んで、何度もそのシーン、その言葉を目指して読み返したりはしますけど。
   例えば、「影武者徳川家康」で、あれだけ叡智を凝らし、骨身を削って作り上げた元和厭武が破れようとしているあたりの主人公のニセ家康の徒労感、「俺達が必死に作った平和というものを、若い世代は生まれながらにしてある、おもちゃのように思っている」というくだり、戦後世代に引っかけているのだろうと哀しく思います。
   さて、堂上教官の愛読書、「2冊は検閲対象だから気をつけて」って、あとはなんて本なんだろ? 
   「走れメロス」の方が、辛らつな人なんか「あんな本が推薦図書だなんてどうかしている。メロスは街の噂だけで王の命を狙ったテロリストだ。しかも、私的な理由で友人を身代わりに立てた利己主義者だ」とか言ってます。結構うなずけるものがあったな。「ジャチボウギャクの王を除かん」とナイフを手にする主人公って、やっぱり検閲対象?

   郁がマスコミにマークされ、病院の出口でとうとう捕まります。図書隊の隊員としてコメントを求められるのです。しかも、生放送で。
   もみくちゃになって、本を取り落とす、それを、キャスターが踏みつける。顔色を変えて拾い上げる郁が、怒りを爆発させようとする……。
   ストレスが頂点に達した郁、失言をして隊のみんなを窮地に追い込むかと思いきや、ギリギリのところで「怒りを理性で抑えられるように訓練しろ」と諭す堂上教官の姿が蘇り、郁は冷静さを取り戻すのでした。

   

進歩してるよ!

   図書隊の身分証明書をかざし、図書隊も合法組織であることと、その記章のカミツレの意味するところを語った郁は、なんとか基地に帰り着きます。TVをみていたいつものメンバーは、叱るかと思いきや、「言いたいこと言ってくれてスッとした」そうで。

   TVの力ってスゴイ。その後は、郁への励ましのお便り、支持。そして、カミツレの鉢、鉢。これを堂上の病室に持ち込んだ郁……手伝いの人々は気を利かせてさっさと去ります。約1名を残して。
   「他にすることないか? 俺今日非番だから」……手塚、空気読め! 耳を麻子様に引っ張られて連れて行かれちゃいました。ま、ここはこれでいいかな? 完全に主導権握られてますね。

   お花畑のようになった病室に2人きりになった郁、物語のはじめから回想しつつ、思いを告げます。うわ、少女漫画みたい。この際、「王子様」なんだし、お姫様のキスで魔法が解けるのかと思いましたよ。それはなかったけど。
   それでも、まだ堂上は反応しない。また、郁の目から涙がこぼれます。でも、もうそれをぬぐってくれるひとは……ん?

   

手が動いた!?

   何度も作中繰り返された、郁への頭ぽんぽんが、ぽんぽんが、復活した!

   え? と怪訝になる郁の目の前の堂上の目は、もう光を取り戻していたのでした。

   

ハッピーエンド♪

   良かった、良かった。

   良化隊との関係は今まで通りだけど、一般市民の理解が得られてきたということで、明るい終わり方なのかな。

   かなり刈り込んで、その分足した辺りがちょっとあやしい感じだったけど、ま、いいカンジだったのではないでしょうか。詳しくは原作を読もう! と言うことで。あ、DVDのCMは2人の掛け合いが作中とおんなじノリで、笑っちゃいました。8月6日発売だそうで。おまけで作者書き下ろし短編が付くって……どうしよう!

   

コミックの方が楽しみだわ。アレとか、アレとか、どういう風に描いてくれるのかしら。

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2008年6月25日 (水)

「篤姫」 25 偉大なるプラトン

   

篤子ちゃん良かったね~~~~~~~~!!

   今週はまずここから。

   もう、毎週必ずとか考えずに気が向いたときだけにしよう。

   ハリスが将軍との面会を強く希望して、家定の必殺「それはおいといて」戦法でもごまかしきれなくなり、どうしよう、会わなくちゃならない、でも相手は坐らないんだって、それじゃ見下ろされちゃう、将軍の権威が通じないじゃない、と困ってたところを、篤姫ちゃんが「畳を重ねて、その上から見下ろしちゃえば」という牢名主戦法を編み出して将軍さまを救った、というのが前回。

   やるなあ、篤子。

   でも、こういうコロンブスの卵的対処法を誰も考えつかなかったところが幕閣の人材不足を表わしておりますでしょうか、いや、それ以前にこれって史実?

   土足のハリス君は赤い毛氈の上を歩いてきてました。畳は思いつかなかったにせよ、幕府の人もイロイロ知恵を絞ったんでしょうなあ。

   ところが、この献策との交換条件に、「一橋慶喜も同席させてやって」とお願いし(地味に自分の任務も果たす篤子、なかなか優秀なエージェントであります)、それがとうとう本寿院(家定ママ)側にばれて、篤姫ちゃん一橋側工作員であることが大奥中枢の知るところとなったのでした。

   ま、なんの目的もなしに大奥に3度目の妻としてわざわざ姫を入れるわけがないので。前例も(あんまり)ないってのに。どんな将軍であっても「御台所になれるなんて名誉なこと」なんて思ってるようじゃ、そりゃ視野狭窄だよなあ。そういうアタマだから、和宮が降嫁してきたときも柔軟に対応できなかったんだな。

   どんな任務を密かに帯びているといえどもそこは上様を大切に思う女同士、その任務とやらに抵触しない限りは手を結んで波風立てずに行きましょう、という政治的感覚はなかったみたい。いきなり狂乱の本寿院、「篤姫許すまじ!」と叫んで24回は終わり、だったかな。いやその任務がゲキリンだったわけだが。

   でもやっぱり、大奥が水戸斉昭を嫌うところの理由が弱いって。

   「あの質素倹約を言い立てる水戸の!」って。

   おかあさん質素倹約って結構好きだから、それを強いることがそんなに悪とは思えない。だって、原作でもあったけど、いきなり打ち掛けの袖口の所に布を貼って、汚れないようにしましょうなんてビンボくさいこと(お前が言うな)あんた達やってたんでしょ? そんで、「上様の御前でそんなみっともない節約スタイルするな!」って幾島に一喝されたんじゃん。それが水戸さまの差し金なワケ? なんでそんなこと許すの? 内政干渉。それじゃ、幾島君に対し、「よく言ってくれました!」って好感に繋がったっていいじゃない。それもなし。あ、「解ってるわよそのくらい! 新入りが事情も知らないで聞いたような口利かないで!」か。ナルホド。女心は難しいですね。

   そして、今までの「跡取り希望」の優遇措置から一転、大奥一丸となっての篤姫バッシングが始まるのでした(拒否しろよ滝山。キャリアとしてのプライドはないのか)。
   昨日やってた「瀬戸内寂聴が語る源氏物語」をホーフツとさせましたね。
   「上様奥泊まりと言ってきても御台所に取り次いではなりません」
   桐壺の更衣の受けるイヤガラセとほとんど変わりませんがな。後宮の女性は800年進化しておらんのか。
   朝の仏間での対面の時も……どんな手を使ったやら篤姫ちゃん不在で、家定不審顔。
   「御台はいかがした?」って、一応気になるんだ。嗚呼、やっとココまでこぎ着けたか。

   可哀相なのはこちらも一緒。前回、とんと上様からのお召しが無くなって、暇な夜、上様の健康を祈って千羽鶴を折るお志賀ちゃんが描かれてましたが(着てはもらえぬセーターを~♪ 的で哀れながらやや不気味)、今度は手のひらを返したように「お志賀を召されませ」だもんな。お志賀ちゃんもいい迷惑。でも、ひたすら上様ラヴだからこのひとはいいのかな?

   疲れがたまって上様倒れても、篤姫ちゃんは呼ばれない。
   「上様に逢わせて! わたしは上様の妻にございます!」って、なんからぶらぶな夫婦みたいになってきました。家定の方も、もう切れて、
   「みーだーいーはーどーこーじゃー!?
   このひと、もう頭が切れるということは視聴者には解ってますから。おばかな可哀相なひとが、純な心で心を許せる相手として篤姫を求めている……と見せかけて、国一番の権力者という名目ながら実はなにひとつ自由にならない身の上の、心の底からの叫び、と見ると、しみじみ心を打たれます。

   やっと2人の望みが叶って、久々の対面です。
   「そなたがおらぬと……」
   さあ、なんて言うでしょう。固唾をのんでTVに身を乗り出しちゃった。
   「詰まらぬ。世の中の色が消えたよう

   キター!

   篤子ちゃん良かったね!!!!

   なんて殺し文句を言うんだバカとののくせに!(失礼!) 

   これは相当重いですよ! かなり心に食い込んでますよ!

   あれだけ最初は無視され、ウザイと遠ざけられていても、真心で正面からぶつかっていって、とうとう家定の心を手に入れたのです!

   あとで幾島に「上様のことを殿方としてお慕いになっておられるのでは」なんて言われてました。
   「でも、わたしたちは……」ちょっと目を伏せる篤姫ちゃん。なんにもないそうです。初期の奇行子っぷりを見たら、なんもなけりゃそれで結構、こんな奴とそんなことしなくってよろしいみたいな気にもなりましたが、内面を深く知ってみると、やっぱりそのユニークな哀しいプリンスに、女性として求められないのは切ない。いや、切ないという心が生まれた時点でもう……ああ、あれだ、「可哀相だた惚れたてことよ」。
   「何もなくても」 と微笑む幾島君、解ってます。ああ、こういう大人っていいなあ。 

   プラトンが申しましたとか、男女間の肉欲じゃなくてさ、生まれる前は一つだったみたいに、心が求め合ってりゃいいんじゃね? って、要するに同性愛のエクスキューズだったように最近みなさん仰って。なんでも古代は、女性はあんまり高等教育を受けませんでしたから、名前も書けないぐらい。哲学とか、文学とか、コーショーな学問を語って意気投合するのは自然と男性同士、ってことになって。
   「そーだよなー女なんかとはこんな高揚感感じないよな~」ってのが当時の同性愛のバックボーンだったそうで。
   失敬な。
   女性だって、理性的で教養があって思わず尊敬したくなる方はいますとも! 

   篤子ちゃんは、その、肉欲とは別世界での高揚を感じさせる相手の境地に達したようでございます。

   良かったね。

   尚五郎ちゃんやモヤシ兄ちゃんにイヤな思いをさせてまで頑張ってきた甲斐があったよ。

   お正月から延々このドラマを見てきて初めてしみじみと感動したのでありました。

   さて、時代はどう変わる?

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2008年6月24日 (火)

Der liebes Bonchi-Sitz  

   格変化ええ加減。

   日曜は雨の中で掛ける気にならずごろごろして過ごしたので、昨日はお買い物の前に少しお散歩をすることにしました。お向かいのパン屋さんに行くところを、わざとじらして(意味不明)脇の道を真っすぐ、バス通りに行き着くまで行って、そのまま1ブロック右に行って、平行して走る道を戻ってきて歩数を稼ぐだけの話。ときどきやってます。途中には市民農園はあるし、子供公園にはうっそうと木が茂っているし、両脇はエクステリアも頑張った素敵な戸建てが並んでいるし、じつにいい散歩道です……。

   「この奥さんのうちをこう、A地点と致しますと、この道をずっと行って、バス通りに行き当たる角がここです。ここで右に折れて、道なりにバス通りを戻ると交差点に出て、目的のB地点、イーヴィヒベルク中央交差点なわけですよ、山本さん。ここにはリーリエ・マートやブラセリーフジノがあって、賑やかな辺りなんですが、はいここでお知らせ」

   ♪ 地球を守るのはあなたの手から。地球にやさしいきなりっこせっけんをどうぞ 

   「はい、雨上がりの気持ちのいい夕方、歩き始めたこの奥さん、途中、暑かったのでジャージの上脱いじゃったんですが、結構歩きまして、どんどん歩いていろんなきれいなお庭とか公園とか見ながら歩いてるうちにですね、なんか変だとは思ったんですが」

   「ちょっと待ってください、なにかが起きるわけですね?」

   「はい。しばらくして、なんとなく住居表示を見ると、5丁目って書いてあるわけですよ! 奥さんのお宅は6丁目、道路を渡ったブロックは7丁目の筈なんですが、ずれちゃってるわけです」

   「それはいったい!?」

   「奥さん、イヤな予感がして、空の高圧線なんかを目でたどって、なんとか方向を確かめようとするんですね。第2公園の中には高圧線の鉄塔があるんです。この奥さん、ただ散歩してません」

   「普通でしょそれは」

   「それで、なんとか方向を定めて、バス通りらしきものに出たんです!」

   「はいはい」

   「それが、このC地点。曲がり角から左へ100メートルほど下りたところです」

   「ちょっと待ってください。奥さんは途中の角を右に折れたんですよね?」

   「そ~おなんですよ山本さん! UターンしてB地点に向かっていた筈のこの奥さんは、

   A地点からB地点までの間に

      迷   子   になっていたのです!!」

   あほらしい(BGMは「恋のぼんちシート」、もううろ覚えでした)。

   でも、見覚えのある場所とはいえ、全然想定してないところに出て、しばらくは頭がぐるぐるしました(それでも足はちゃんと家を目指した)。

   ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー|
                                  | 
        C     折り返し点ーー  ーーー     |
                ||    ||   | バ  |
                ||    ||   | ス  |
                ||    ||   | 通  |
                ||パンや||   | り  |
               ー  ーーーー ーーー      |

              AーーーーーーーーBー|     |

  

   と、こんな感じ。絶対おかしいでしょ!? わたし、空間を曲げちゃった!?

   でも、落ち着いて考えてみると、戻った道はバス通りじゃなかったですね。
   一本内側の細い道でした。しかも、この道、途中で行き止まりになっていて……
   袋小路じゃなくて、三叉路だったので、「次の角で修正すればいいのよ」って、右に曲がっちゃった気が……。
   そんで、修正するの忘れてずんずん90度曲がった方向を直進してたような。

    C         折り返し点ーー  ーーー     |
                ||    ||   | バ  |
                ||    ||   | ス  |
           ーーーー  ーーーー ーーー  通  |
           ーーーー  ーーーーーーーー  り   |
                ||パンや     |     |
               ー  ーーーーーーーー      |

              AーーーーーーーーBー|     |

   こうだ! 

   道理で見覚えがないうちばっかりだと思った、いつも通ってる道の横にもう一本縦の道があったんだ、きっと。で、それが行き止まりだったと。
   そりゃ、途中でパニくって賑やかな方に行けば、Cに出るよなあ。
   道理で途中上り坂になったと思ったよ。

   というわけで、合理的な説明がついてほっとしたおかあさんでした。

   ご帰宅された旦那様にこの旨申しましたが、
   「長い距離が歩けて良かったじゃないか」
   の一言でした。はあ、ごもっとも。

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2008年6月22日 (日)

「犯行現場の作り方」 好きこそものの……

   「十字屋敷のピエロ」を読み終わって、そういえば、館もののミステリを実際に建ててみたら、と考察したサイトがあったなあと思って、検索したら、この本が引っかかりました。

   「犯行現場の作り方」安井敏夫(メディアファクトリー)
   読んでみたら、取り上げた作品(館)といい、語り口と言い、そのサイトの出版化でした。道理で2日がかりで調べ倒したのに見つからなかったよ。出版化したからサイトから削ったんだ。……なんでも本になるんだなあ。これは、やってた人が一級建築士でメディア露出もしている有名人だったからかしら?

   その昔、朝日新聞でどっかの建設会社(?)がやってた広告特集でも、「文学作品の中の家を描き起こしてみる」ってのがありました。ドイルの「まだらの紐」で、アレが出てくる換気口とか、ブロンテの「嵐が丘」の暗い雰囲気の家とか、いろいろ取り上げてあって楽しみに読んでたら、本になって。買ったなぁ。どこ行ったっけ。

   この本で取り上げてあったのは「十角館の殺人」、「8の殺人」、「長い家の殺人」、「玄い女神」、「十字屋敷のピエロ」、「笑わない数学者」、「誰彼」、「本陣殺人事件」、「三角館の恐怖」、「斜め屋敷の犯罪」。
   新本格の名作を中心に、横溝、江戸川両巨匠も取り上げてあって、さすが、バランスの取れた作りになっています。

   ミステリ好きを公言するだけあって、作中の建物についての考察や突っ込みは丁寧で建築士としての良心があるのに(違法建築は見逃さない)、ミステリとしてのトリックのミソには触れないじつに誠実で優しい内容になっていて感心しました。大人だ。これを読んで、未読の「8の殺人」や「誰彼」を読んでみたくなりました(じっさい、今更「十字屋敷~」を読んだのも、こちらで紹介されていたから)。

   翻ってわたしときたら、ここを読みに来るようなひとはこれぐらい読んでるのが当然、とばかりにネタバレはするは、関係ない話を引いてくるは。わたしのレヴューを読んでその本を読みたくなる人がおられるでしょうか、ちょっと反省しました。

   それで、十字屋敷への突っ込みで「引き戸の方がバリアフリーでしょ」というのがありましたが……やっぱり「北欧風」にこだわると、おうちの中でも全部洋風で行きたかったんでしょうと言いたくなります(もしかして、作中の建築士のこだわり?)。土足を通してるみたいだし。その辺は、どこまで日本風の生活と洋風の家との折り合いをつけるかは中に住む人に任されることだし。ま、美意識と家族の利便性とどっちを取るかだな。わたしはホテルの部屋でも素足でぺたぺた歩く方なので、私室の中まで土足なんてうちはどんな玉の輿でもゴメンですぅ。

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