« みんな大好きカレーライス | トップページ | 出でよ正岡子規! »

2008年9月 6日 (土)

月がとっても青いから

   遠回り? いや、今日はけっこう電車道と思うよ。

   またしても pya に行って拾ってきた話。
   近所にお住まいの国際結婚カップル、ご主人がカナダ人で奥様が日本人だったかな? なれそめをお聞きすると、ご主人が日本文学、それも漱石の専攻だったそうで、向こうで知り合ってデートを何回か重ねていて、ある晩、パーティーの帰りに彼女を送っていく途中、
   「……月が綺麗ですね」と日本語で言ったところ、彼女も、その意味を知っていたので、
   「わたしもそう思います」と答えたのだそうで。

   これはある程度キョーヨーがないと分かんない話だそうです。

   なんでも漱石が東大で英文学を講義中、
   「I love you.なんて文は日本語に直しようがない。『月が綺麗ですね』とでも訳しておけ」と言ったのだそうで。で、その「I love you.」という文を日本語で言うには、というネタを使った愛の告白であったわけですね。

   すいません、初耳でした。ごめんなさい浅井先生!(近代日本文学史の先生)漱石の購読寝てた訳じゃないんだけど。

   しかし、や る な あ 漱 石 

   漱石と言えば、留学でイギリスの個人主義に思いっきりやられて神経衰弱と引き替えに和魂と洋才に引き裂かれる近代日本人の苦悩を発見というか見いだしたというふうに国文学史上では位置づけられておりますが、

   けっこー江戸っ子

   複雑なお育ちで。江戸時代生まれの方々に揉まれて育ってますし。
   「猫」でも「坊っちゃん」でも、相当漢学の素養がにじみ出たネタがあるそうでございますよ。

   さすが漱石、解ってるじゃないの。
   どんだけ理詰めで文法を解析したって、その底のハート、マインド、スピリット、どうしようもないものはあるんです。SVOの構文でもって、その単語は「愛する」だから「わたしはあなたを愛する」と逐語訳すれば日本語になるってもんじゃない。

   横丁の、熊さん八っつぁんが、「愛してる」なんて、言うわけないって。
   「なぁ、かかあ、月が綺麗だなあ」
   「あいよ、そうだねえ」
   こうですね。

   イヤ待てよ、そうじゃなくて、武家のお嬢様が、無実の罪で脱藩を余儀なくされる許嫁を見送りに来たときにぐらいは、言うかな?
   「あなたを愛しています」
   いや、言わない。
   「……どうぞ、お体をおいといになって」だよね、せいぜい。
   「この先あなたにお目にかかれないと思うとすっといたします」とまで言うと、これがツンデレ(そういいながら、大きな目には涙をいっぱいにためているんだな)。
   その許嫁の方も、
   「○○殿のその憎まれ口も、今宵限りと思うと格別でござる」ぐらい言うよね。
   でも、字幕はみんな「I love you」 「I love you」 「I love you」……

   ま、お二人さん末永くお幸せに、と。
   二人で年を重ねていってもきっと同じかたちの月を見れば、また同じ気持ちになれることでしょう。

   あら、今日の月は三日月で、もうとっくに沈んじゃったじゃないのよ。

|

« みんな大好きカレーライス | トップページ | 出でよ正岡子規! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/138427/42400443

この記事へのトラックバック一覧です: 月がとっても青いから:

« みんな大好きカレーライス | トップページ | 出でよ正岡子規! »