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2008年6月22日 (日)

「犯行現場の作り方」 好きこそものの……

   「十字屋敷のピエロ」を読み終わって、そういえば、館もののミステリを実際に建ててみたら、と考察したサイトがあったなあと思って、検索したら、この本が引っかかりました。

   「犯行現場の作り方」安井敏夫(メディアファクトリー)
   読んでみたら、取り上げた作品(館)といい、語り口と言い、そのサイトの出版化でした。道理で2日がかりで調べ倒したのに見つからなかったよ。出版化したからサイトから削ったんだ。……なんでも本になるんだなあ。これは、やってた人が一級建築士でメディア露出もしている有名人だったからかしら?

   その昔、朝日新聞でどっかの建設会社(?)がやってた広告特集でも、「文学作品の中の家を描き起こしてみる」ってのがありました。ドイルの「まだらの紐」で、アレが出てくる換気口とか、ブロンテの「嵐が丘」の暗い雰囲気の家とか、いろいろ取り上げてあって楽しみに読んでたら、本になって。買ったなぁ。どこ行ったっけ。

   この本で取り上げてあったのは「十角館の殺人」、「8の殺人」、「長い家の殺人」、「玄い女神」、「十字屋敷のピエロ」、「笑わない数学者」、「誰彼」、「本陣殺人事件」、「三角館の恐怖」、「斜め屋敷の犯罪」。
   新本格の名作を中心に、横溝、江戸川両巨匠も取り上げてあって、さすが、バランスの取れた作りになっています。

   ミステリ好きを公言するだけあって、作中の建物についての考察や突っ込みは丁寧で建築士としての良心があるのに(違法建築は見逃さない)、ミステリとしてのトリックのミソには触れないじつに誠実で優しい内容になっていて感心しました。大人だ。これを読んで、未読の「8の殺人」や「誰彼」を読んでみたくなりました(じっさい、今更「十字屋敷~」を読んだのも、こちらで紹介されていたから)。

   翻ってわたしときたら、ここを読みに来るようなひとはこれぐらい読んでるのが当然、とばかりにネタバレはするは、関係ない話を引いてくるは。わたしのレヴューを読んでその本を読みたくなる人がおられるでしょうか、ちょっと反省しました。

   それで、十字屋敷への突っ込みで「引き戸の方がバリアフリーでしょ」というのがありましたが……やっぱり「北欧風」にこだわると、おうちの中でも全部洋風で行きたかったんでしょうと言いたくなります(もしかして、作中の建築士のこだわり?)。土足を通してるみたいだし。その辺は、どこまで日本風の生活と洋風の家との折り合いをつけるかは中に住む人に任されることだし。ま、美意識と家族の利便性とどっちを取るかだな。わたしはホテルの部屋でも素足でぺたぺた歩く方なので、私室の中まで土足なんてうちはどんな玉の輿でもゴメンですぅ。

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コメント

TBありがとう♪

確かに日本人には土足文化ってなじめないもの……

1,立派なお屋敷は、玄関先からふかふかの絨毯が敷いてあるので靴の泥なんて、個室にはいるまでに落ちてしまう?
2,使用人の方がせっせとお掃除するので、TDLにゴミ箱がないように廊下の汚れも靴の汚れもなくなってしまう?
3,立派なお屋敷に住む奥様は、土の地面なんぞお踏みにならない生活を送ってらっしゃる?

2はともかく、1と3はありそうね。

投稿: とむ影 | 2008年6月24日 (火) 18時20分

 毎度どうもです。
 この本で取り上げられてた「豪邸」は、ほとんど土足だったみたいです(本陣殺人事件の一柳家はさすがにおいといて)。いや、それは辛かろうよ。
 そういえば、現代日本の首都圏においてはそうそう足は泥まみれにはならないかも知れません。
 この冬、初めての一戸建てでお庭に霜柱が出ていて、「霜柱初めて踏んだよ~さくさく~♪」と首都圏育ちの友達に言って驚かれました。金沢は、そんなものが出る頃には氷雨・みぞれ・雪で、地面はぐちょぐちょ、仙台は、そんな土の面は近所にはもうなかったので。
 奥様はきっとお庭はお歩きにならないのよ。

投稿: まいね | 2008年6月24日 (火) 22時24分

 昨日リンクをたどっていって見つけたのは、建築アナリスト? の方が真面目に考察している「めぞん一刻館は実際に建てられるか」って記事。木造のあの外壁はある程度の人数のひとを収容する建物として建築基準法が許さないであろうとか、住人が少ないので管理人さんの給料は所有者が被っている赤字物件であろうとか、風呂無しアパートにしては共有部分が広い優雅な作りであるとか、作中の設定からしてもしかしてもとは女子校の寄宿舎? とかいろいろ突っ込んだ考察がされていて面白かったです。漫画もこういう考察の対象になる時代なんだなあ。そういえば、わたしも大学に入り立ての頃は漫画か中島みゆきの歌詞か壬生忠見で卒論を書いてやるといきごんでおったものです(結局どれでもなかった)。今でもわたしは「漫画なんかにうつつを抜かしてすいません」というスタンスを対外的にぬぐい去ることができません。
 その昔、推理小説家の高木彬光ともうひとりわりとおじいさんになってからデビューしたダレかさんとが一高で同級だったが、「当時は一高生が探偵小説のファンなんて口が裂けても言えなかった」とかエッセイで書いてました。横溝とか清張とかシマソウとかが頑張って、21世紀にはミステリは男子一生の仕事、文学の輝ける一分野になったわけですが、そのうち漫画もそうなるのかしら(もうなってます!?)。

投稿: まいね | 2010年2月15日 (月) 04時58分

なるほど面白い研究ですね.外観と間取りとのつじつまが合わないとかいう指摘もどこかで見た覚えがあります.
同じくめぞん一刻について,描かれている列車が何時何分発の何々行き急行列車である等々と分析してる鉄道ファンがいました.
漫画一つといえどもいろいろな視点から考察できるものですね.

投稿: 三ねんせい | 2010年2月15日 (月) 17時21分

 列車まで? ファンって凄いなあ……。

投稿: まいね | 2010年2月16日 (火) 00時37分

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