遙かなる羽田
可愛い子は荼毘に付せよ、じゃない、旅をさせよということで、虎美を一人で帰省させることにしました。今年は連休が短いと言うことで(日曜が4日では振り替え休日がない! と思いこんでたひと。最近の祝日法は猫の目でいけませんな)、2日の夜のうちにたどり着く方法をまず考えました。
「小学生の女の子一人で夜行バスはまずいでしょう」とわたくしが申しますと、
「それはいけないわ」と、早乙女おかあさん。
「でもゴールデンウィークはジパング倶楽部が使えないからおじいちゃんお迎えには行けないわよ」旅行好きの金沢早乙女家老夫婦はジパング倶楽部というJRのお年寄り優待制度を活用しておるのですが、当然ながら繁忙期は優待対象外。
「はあ、それは結構ですが」虎ちゃん命じゃないのか、じじいめ(削除、削除)。
「じゃあ、飛行機乗せてみますか」
「それがいいわ」
と言うことになった次第。もともと飛行機は飛んでる間は密室ですからね(運賃も高いし)、子どもだけ空港で預けて、空港までおじいちゃんおばあちゃんがお迎えに来るというプランを昔から用意してたみたいです。小さいころは、子ども達だけでもこれで来させなさいよという話は出ていました。
で、そんな金ねーよという旦那様にお願いし倒してチケットを用意して貰い、勇んで昨日羽田を目指したのですが。
「どうやって行くか解るの?」
「新宿から山手線に乗ればいいんでしょう?」
「ちーがーうー! 登戸で南武線に乗り換えて川崎へ出てそこから京急に乗り換えて」
「品川から浜松町を目指してモノレール?」
「京浜急行は羽田に乗り入れしてるんです!!」
そんなの知らないもん! いくら東京に8年いたからって、おかあさん渋谷(と羽田)より南に行ったことないもん!(もっと遊んでおきましょう)
鉄気の多いひとと一緒にしないで欲しいのよ(いや、首都圏の常識?)。
地下鉄も増えたし、もう、昔とは様変わりしちゃってて(遠い目)。
それでも、ノイエ・リリエンベルクから出る羽田直行リムジンバスは片道1300円の70分と聞くと、やっぱり電車にしよう、お荷物もないしということになり(仙台や金沢のことを考えたらやっぱり相場かも)。
スイカに2000円ずつチャージして、出かけることにしました。
登戸の乗り換えはこの前猫屋敷(西武ドーム球場)に出かける時やったから解ります。
「今度は川崎方面の方に乗るんだぞ」と、すぐに来て快適、快適。
久地、向河原、尻手……全然聞いたことない地名ばかり。もう、鉄路を信頼する他はありません。「川崎~」の声を聞いたときにはほっとしました。
「京急の川崎駅は少し離れているそうだが」と、駅の案内に従ってのこのこと歩きます。目を上げると高架が見えて、なんとなく方向が解って迷いはしませんでした。
「これで羽田空港を目指す……?」
旦那様から携帯にメイルで送られてきてた乗り換え指示書には蒲田で乗り換えとなっておりました。もう、ぐちゃぐちゃ。うっかり品川に行っちゃう奴に乗るところで、娘と2人胸をなで下ろしたり。
羽田空港線に乗ると、さすが、みなさん転がすバッグを従えておられます。
「みんな旅行に行くんだね」
「そうだなあ」
「しかし、空港ターミナルの第1と第2はどう分かれてるんだろう? 駅も違うのかな? この昭文社の文庫判都市図だと書いてないんだけど(空港内案内図も付けてください)」疑問を乗せたまま電車は終点に。
そしたら明るいホームにはでかでかと、JAL系は第1ターミナルへ、ANAその他は第2ターミナルへという案内板が出ておったのでした。
さすが!
勇んで第1ターミナルへの出口を出ますと、もう気分は異世界。
「キレイだなあ」
「うん」
インターネットからキャッシュカードで予約した航空券、引き替え券だけを画面から印刷した紙を渡されてて、果たしてこれが航空券になるのかとても疑わしかったのですが、とりあえず発券カウンターを目指しました。
「北海道・東北・北陸行きは北ウイング~」案内板を見てどんどん進みますが、娘はその情報をとらえられなかったようで、
「おかあさん、本当に北でいいの? 北は北海道だよ?」
「北陸にだって『北』はついておる!」
虎美は仙台で育ちましたから。金沢は「まず南、そこから西」のイメージで、とても北日本という感覚を持てないのでしょう。ナルホドなあ。でも、雪は降るじゃん、仙台より。
わたくしも、れーせーに考えてみれば、緯度は多少上がるものの、西を目指す北陸線(に接続する特急白山や急行能登。最初は信越線で長野を目指す)がどうして上野発(北国行き)なのか長年疑問に思っておりましたのよ(要は中山道を基としたから)。
阿刀田高もエッセイで犯罪者は北を目指すとかいって、上野駅にはそういう暗く厳しいイメージがあるように言ってやがりました。
ま、そういえば、京都・大阪に繋がり、途中で富士の峰を拝む東海道新幹線の東京駅には明るいイメージがありますなあ。
まあいい。
こういうのはひとに聞け、とばかり、カウンターのおねえさんを捕まえてチケットのお引き換え番号の印刷された紙を見せ、
「ネットで予約したらしいんですけど、この子一人旅ですので」と、早々に情報開示、指示を請います。高い人件費ですから、せいぜい遣ってやらないと。さっそくお子様一人旅受付カウンターに案内され、連絡先やらを書かされます。未就学児というわけではないので、うるさい誓約書などはなかった模様。キッズケータイの電源は切れ(管制の電波に悪影響を及ぼすから)と事細かに書いた紙がカウンターには敷いてありました。一人旅と解りやすくするための首から提げる飾り(幼稚園の<本日お誕生日>みたいなやつ)は、もう小学校6年、154㎝の大猫ちゃんにはおねえさんの方で気の毒に思ったらしく、「こちらのバッジだけ付けていただきましょうね」と言ってくれました。一応連絡先を入れたポケットの付いた首飾りは、カバンに付けることにして。
「これで機内には一番にご案内いたします」と請け合ってくれて。
「このお時間までにご搭乗カウンターにお越しください」と、切符を発券してくれました。
「お母様はこちらを。ご搭乗までごいっしょできます」と、黄色いチケットをくれました。へえ~(古い)。
これからお買い物&お食事タイムです。これが楽しみで早めに来たのよ。
日本がバブルを経験したのは悪くなかったですね。あの無機質な羽田が、こんなに綺麗に変わりました。やっぱり空港ってのは非日常の場所ですから、わくわくしなくっちゃ。機能的なだけじゃなく、ちょっと贅沢で、綺麗でないと。
これでもかと並べられたお土産のお菓子のブース。「羽田空港限定」の文字が躍ります。そうよ! これでないと! 虎ちゃんと飛びついて、
「これにしよう!」
「うん!」
なんの変哲もない焼き菓子に見えるけど、やっぱりいつもJRだし、「空港限定」には弱いです。
「こちらの生タイプのパイには上質のチョコレートのクリームが入ってるんです」
「……おかあさんも食べたい」
「おうちにもお土産にすればいいじゃん!」と、虎美はこともなげに。おいおい、ここまでに電車賃1000円以上遣ってるんだよ。
「これ食べられるカフェ入ってないんですか?」
「あいにくございません」
「これおばあちゃん用だから、買って、そこで開けておかあさんバリバリ食べるから、蓋をして持ってけ」
「おかーさぁん!」聞いてたおねえさん、
「でしたら、封のためのシールを二枚お付けして、今はテープで留めるだけにしておきましょうね」って言ってくれて。
嗚呼、日本のお店はいつの間にこんなに気が利くようになったの!?
ということで、ご近所にお土産用は日持ちのするクッキーをひと箱、おばあちゃん(&虎美&おかあさんつまみ食い)用に生パイの方もひと箱お買い上げ。
ノルマを果たしたところでお食事。洋食、和食と見たところで、吹き抜けから階上を見上げると、
「おかあさん、イタリアンもあるよ!」
「よし!」と4階まで上りました。まあ、脇には、ミキモトはあるは、丸善はあるは。なんでも揃いますね。
足を踏み入れたイタリアンレストランを見れば、大きなガラスケースに生ケーキをいくつも陳列しているし、真正面の大きな窓から、色とりどりのランプに照らされて雨にけぶる中飛行機がいくつも翼を休めているのが見えるし。いや、肝腎の食事の方は、スパゲティが何品かと、ハンバーグを中心としたディッシュがいくつかしかないんだけど。ま、美味しくはありました。アイスティーには大きなオレンジのスライスが入っていたりと気が利いてはいたし。
隣のテーブルでは向かい合わせに座ったカップルが手を取り合っていたし。
これが空港ってもんよ。
虎ちゃんもなにか感じてくれたでしょうか。
ご機嫌で食事を終えた後、書店に入ってゴーストハント10巻やら今週の週刊ベースボールやら、買おうと思ってた本をいろいろ見つけて買って。
搭乗手続きのフロアに下りてさっそく生パイをバリバリ食べてその後証拠隠滅して。
「歩く歩道」に乗って小松行きの飛行機の出発ロビーに向かって。お手荷物検査をおかあさんも受けて、没収されたライターとハサミの山(透明アクリル板の箱に入ってる)にため息をついて。
「桐生えりか(仮名)」なんて、幼稚園児さんなんでしょうか、お名前シールの貼ってあるような可愛らしいハサミが入ってるんです。工作の好きなお嬢ちゃんで、おばあちゃんちでもしようと思って持ってきてたのでしょうか、それとも、あんまり自然な感じで、いつものかわいいリュックの中に入れっぱなしだったのでしょうか。新学期になって、ご不自由はないでしょうか。
「あたし、おばあちゃんちに行くときに空港のひとに取り上げられたの」と、幼稚園で自慢するでしょうか、それとも、哀しげに目を伏せるでしょうか。
おかあさん、妄想爆発しすぎ。
小さい子の、先の丸くなったハサミぐらいいいじゃない、いけず。
あとは「ご案内」まで少し。噂の「空弁」があるよ、と売店を冷やかしてあるいたり、小松や札幌ならエビカニがあるべき所を、農水産品が土産になるべくもない東京の空港では、やっぱり妍を競うのはお菓子なのか、キャラクターグッズなのか、代わり映えせんのうと偉そうにため息をついていたら、
「小松便のお客様!」と案内が始まりました。
「JAL××会員のお客様のみご案内です!」と、なにやらカードの優待会員の優先入場のようです。こういうのは、やっぱり行列がイヤなひとなのか、一番乗りが気持ちいいと感じるひとなのか。そういえば、虎ちゃんも一番にご搭乗なんじゃなかったのかと思っていたら、さっきの受付のおねえさんが飛んできて、黙って行列についていた虎ちゃんを見つけるなり汗かいて
「ただいまよりご一緒させていただきます」って胸張ってました。いや、もう、その他のお客様のご搭乗始まってたし。
で、いきなりチケットを自動改札に詰まらせてましたけど。
「じゃーねー」と手を振り、窓から真正面に見えている飛行機が、どうも改札入ったところから直接繋がっているようなのでこれであろうと見守ってました。
航空機の出発時刻ってのは、車輪が動き始めた時刻だそうなので。だから、飛行機は余りにも出発時刻に対して早い時刻に空港に出頭させられるのですが、ご搭乗手続きが始まってからは一気ですね。出発の5分前ぐらいには「お手続き最終です!」と殺気ばしった声で呼び出しがかかります。のんきにしてて乗り遅れるおとうさんならいいけど、最近はホラ、自分は乗らないで爆弾だけ乗せちゃうテロリストだったりしますから。もう、うるさいのなんの。電車と違ってこの辺は、時刻通りには行かないですね。
ま、連休だし、雨降ってるし、どんな事情か知りませんが、虎ちゃんの乗った飛行機がボーディングブリッジを離れて後ろ向きに(できるんだ!)去っていったのは予定時刻より2分経過後でした。
それから広いロビーを横切って、例によって時間つぶしのために各社高機能機を提供してあるTVを見ると赤いユニフォームの野球選手が映ってたので近づくと6-1だったのでがっくりしてまた遠ざかったり、おしゃれマッサージチェアが1回200円でおいてあったのをつくづく見たりして、帰ることにしました。って、飛行機を見送って振り向いたら、売店が軒並みシャッター下ろしてたのにビックリ。歩く歩道も「そろそろ止まります」なんて表示が出てるし。さすがの空港も、そろそろ閉店のようです。
そういえば、最終便にしたんだった。
まだまだひとはごった返しておりましたけれど、お兄ちゃんがお留守番してるので早く帰ってやらないと……とおもったのですが。
来るときもまる2時間かかってたんだよな。
これから2時間って、帰宅は10時?
……やっぱり遠いよ、羽田。
ここでテンション下がった結果、うっかり急行の次の停車駅は蒲田と勘違いして普通の駅で降りちゃったり、真っ暗になってたらJR川崎駅が解らなくて地下通路を彷徨したりして時間がかかってしまったのは内緒。
帰宅すると、うちはシャッター全部閉まってるし、玄関まで鍵掛けてあって、それなのに豹太は起きてて「カリオストロの城」なんて見てて。
お兄ちゃん寂しかったかな?
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コメント
最近の豹太はどうですか!?
投稿 ななしのゴンべ | 2008年5月 4日 (日) 23時58分
あら、うちの子を気に掛けていただいてどうも。例によって季節の変わり目でごほごほ言ってます。ゴールデンウィークがゴールデンでないひとっているんですね。
そういえば、去年は最終日だけ大雨でしたが、もしかして近年GWは天気が不順? これも気候温暖化のせい?
ってGWは別に晴れの特異日って訳じゃなかったですね。昔から、雨で残念だった年は何度もありましたか。
投稿 まいね | 2008年5月 5日 (月) 14時09分
ゴルドベルクっていいところですか!?
投稿 ゴルドベルクの守護者 | 2008年5月 5日 (月) 15時38分
豹太のポジションはどこですか??
投稿 ゴルドベルク中野球部エース | 2008年5月 5日 (月) 15時40分