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2008年4月16日 (水)

「夜は短し歩けよ乙女」ハッピーエンド原理主義

   貸していただく前から、タイトルを見て「『夜のピクニック』の焼き直しなんじゃないの? 好かんよそういうのは」と思ってました。ゴメンナサイ。

   体が空いて早速手に取り、1ページも読んだら ナットク。これは、女子学生が夜の街をさまよう、まさしくタイトルが体を表わしておるお話でした。不明を恥じまくります。

   これは、4章に分かれていて、可愛らしくってお酒が好きでしつけが良くって(品がいいというと別方面を想像されてしまうかもだからこう言ってみる)、好奇心旺盛で、とにかく気持ちのいい女子大学生と、彼女を密かに想うクラブの先輩とが代わる代わる語り手になって不思議に面白い大学生活を送るという趣向。1章(サブタイトルがこの本の題に取られてます)で、クラブの先輩の結婚パーティーが果てて歩き出したヒロイン(と先輩)は、2章で夏の古本市、3章で学園祭、4章でたちの悪い風邪の大流行する巷をうろついて不思議な冒険をするのでした。
   雰囲気は「千と千尋の神隠し」みたいな所がありますね。どう見ても超自然! なところもあるし、携帯も出てこなきゃパソコンを使っているような描写もなく、もしかして昭和年間かというようなゆったりとした懐かしさのある世界です。あ、でも、バブルで大もうけとかいう台詞があるから一応現代なのかな? ヒロインのありえない透明さ加減は、「円紫さんと私」シリーズにも通じるものがありますか。  

   

地の文の美しさったら、堪りません。是非NHKの深夜の朗読番組で、戸田恵子、でなきゃ吉永小百合当たりに朗読して貰いたいもんです。挿絵は三丁目の夕日がどうしたとかいう流行りの方なんかにしたら、できすぎでしょうけど。

   

学生はこうでなきゃなりません。
   先輩の結婚式だと言って直接その方を知らない代まで盛り上がり、訳の分からない事をでっち上げて「これが部の伝統」とかいって後代まで引き継がせて。みっともない、もったいない飲み方をして世間に迷惑を掛けて。そして恋に身を焼いて鬱々としてみたり、大それた事をやってのけたり。そうそう! エロスとパトスにまみれなくちゃ。
   学生の分際で就職活動に有利な資格を取るのに汲々としたり、自分の生活を便利にするための道具に支配されて半径数メートルの人間関係を維持することに全神経をすり減らしたり、脳内の切磋琢磨、憂愁の煩悶をすっとばして下半身事情に終始するような恋愛と言うもおこがましい関係に耽溺したり……今の大学生なんか学生じゃないやい!(ただいま大学に学籍を置いておられる若人諸君には失礼しました)

   そして、おかあさんの美形センサーにひっっかった謎の「天狗」、樋口さんや、学園祭事務局長さんとのロマンスは発生せず、冒頭じつに薄みっともなく登場した先輩は、おっと、ここまでにしておきましょうか。

   やっぱり、学生時代というものは輝いておるわけです。

   ハッピーエンドは美しい。ご都合主義と呼ばば呼べ。アべべはビキラ。
   おかあさんはハッピーエンド原理主義なのです。

   いやあ、「ちりとてちん」で「幇間は関西では昭和初期に絶滅した」と言ってましたが、居ましたね。どうにも超自然を理解しないおかあさんは、樋口氏はマジシャン、イリュージョニストのたぐいであろうと認識したわけですが、2章以降の不思議については……やっぱり王城の地ではまだ不思議は生き残っているのでしょうかしら。

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コメント

>やっぱり王城の地ではまだ不思議は生き残っているのでしょうかしら。

そういうことなのでしょうねえ。

投稿: とむ影 | 2008年4月17日 (木) 16時53分

 というわけで、舞台は京都なのでありました。地名がそういうところが出てくるだけで、「京都なのよ、余所の地とは違うのよ」という主張はなく、東京その他をくさす雰囲気もなかったので楽しく読めました。

投稿: まいね | 2008年4月18日 (金) 22時17分

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