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2007年11月20日 (火)

「バッテリー」バラの運命

   ♪わたしはバ~ラ~の~運命に~生まれた~華やかに激しく~生きよと~生まれた~
   往年の名作「ベルサイユのばら」TVアニメ版の主題歌であります。主人公オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェは女性の身ながら、ジャルジェ将軍家の跡取りとして軍人として生きる決意をした男装の麗人であります。って、もう常識か。
   時代はオーストリア継承戦争の後ですから、パパが跡取りと認めてお披露目もし、それなりの教育を受けていたら女の子も爵位を継げるご時世だったかも知れませんね。「リボンの騎士」ほどヒミツってこともなかったのかも。お隣スペインではれいの伊達女、アルバ女公爵カイエターナなんてひとが実際いましたね。男装なんかしなくて、ふつーにイケイケ(死語!)のお嬢さんだったらしいです。フランスはカソリックですから、女が男の格好をするなんて倒錯したことは教会が認めません。作者の池田理代子もあとでしまった~~~~! って思ったそうな。ま、いいか。

   ふと読み返してた「カラワンギ・サーガ」津守時生、独自の文明で発達した惑星を、今の製薬会社がアマゾンや東南アジアの密林で新種の生物を漁るように「進んだ」銀河連邦の財閥が食い物にしようと接触し、惑星崩壊の危機が始まってしまうお話。このひとの作品のシリーズを通しての偉大なる登場人物が、犯した罪の重さに怯える傭兵に「人の命を奪うものは激しく生きる義務がある」と諭すところが圧巻。これも、華やかに激しく、というさだめの話。

   で、道草のあげくにたどり着いたのが「バッテリー」(あさのあつこ)、これは、登場人物こそまだ中学校にも入っていなかった仔猫ちゃんたち(I巻時点)ですが、主人公巧は自分の才能を信じ、それを磨き上げることを苦にしない天才なのでした。利き腕に不用意に触れることは肉親、相棒すら許さない。齢(よわい)12にして既に心は獅子。どうよ? そりゃあ、きっついママが嘆息するのも諾なるかな(いやでも、巧のこの性格はあなた譲りでしょう、と読みながら苦笑)。もーねー。たとえば長嶋茂雄、夢は大きくメジャーリーグとして、理想の自分に近づこうと努力を欠かさない、その努力を苦と思わない心がありまして、その辺は巧もそうかもしれないけど、長嶋には天性の明るさがあって、他人を惹きつけたでしょう? それが、巧にはない。狷介ってやつだ。あまりにも他人に無頓着なため、理想を追う自分がどう見えているかを考えない。関わってこようとするものをほとんど余計な煩わしいものと定義しすぎ。よっぽどの相手じゃないと怒らせるでしょう(現に、中学に入ってからは怒らせまくり)。天才なのはいいけれど、今の日本じゃ生きにくいんじゃないかしら。そういう、力を持つけれどもまだ人格の練れていない幼い主人公の、ま、バラのさだめを描く物語なのだなあとⅢ巻まで読んでつくづく思ったわけ。

   ことを自分に引き寄せて申しますと。
   合唱部に入ってみたら、結構厳しい。「合唱は心を合わせて大勢の声が1人の声と聞こえるまでに音色を合わせなくてはいけません」なんて言われて、毎日毎日、厳しい基礎練習。筋トレとかも、あったかもね(実際は経験してませんが)。わりかし田舎じゃ上手いと言われてたんだけど、あんたの発声はなってない、なんて言われて、もう、一からやり直し、それでもなんとか3年まで来たところへ、有力新人が入部、1年坊主なんだけど、声が素晴らしいってんで、それまでうちの合唱部はハーモニー重視、、とかいってソロのある曲はほとんどしてなかったというのに、その1年を大抜擢でソリストに、それがまた、謙虚で可愛いヤツだったらまだしも、ちょっといい声してるからって「先輩、そんなたるい練習で十分なんですか?」とか生意気なことったら。
   ああ、わたしも闇討ちするかも
   だからといって、「内申書に有利だから野球やってただけ」ってのはひどいだろう。闇討ち組の中心、展西先輩は、単に内申のために野球をやってたそうです。もう、戸村監督もがっくりきてましたね。犠打も、インサイドワークも、全部いい学校行くためって、そりゃ殺生な。そのあげくがチームワークを乱すような1年坊主の重用で俺切れましたって、どうだろう? 
   「え? 大変だったけど、イヤなこともいっぱいあったけど、野球好きだったから、野球できて嬉しかったよ俺」的3年間を校長とか監督は期待し、想定してるんでしょう? それが「あるべき学校教育の一環としての部活動」なんでしょう? これはひどいな。だれがこんな知恵を付けたんでしょう? なるほど、部活は「好きかどうか」で選んで欲しいって、ゴルドベルク中の先生が仰ってたわけよね。嫌いな競技でも、自分の点数のために、みんなのためにがんばる、そんな間違ったバラのさだめは、一般ピープルは負わなくていいです。

   そうして、好きとか嫌いとかを超越して、マウンドに立ってる自分が自分、この場所こそ自分の場所、と思い定めている巧くんは、いかなる苦難の道を歩もうとしておるのでしょうか。

   「バッテリーの漫画が出ているようだが、漫画だったら読むかね、君たち?」と水を向けると「読むー」と声を揃える猫科の人たち。こういういい話を手軽に読んでもらえるということなら、メディアミックスもいいものなのかしら。たしか原作の挿絵の雰囲気を壊さない絵だったと思うの(1巻だけ試し読みした)。

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コメント

マンガはまだですが、先日、映画版を観ました。タクミ役の子が硬派美少年という感じで、良く合っていました。
話も、つめたところはあったものの、タクミのクソガキっぷりが良く出ていて、なかなか良かったです。

投稿: 波多利郎 | 2007年11月21日 (水) 09時56分

 コミックス1巻ゲットです。すかさず取り合いになる我が子……。
 娘は「本が大きいから読むのがいや」なんだそうで。じゃあ、文庫なら読むのかよ。

投稿: まいね | 2007年11月22日 (木) 22時42分

 全日本にさらしてやる!!
 本日また「バッテリー」のコミックを読んでいた豹太。

 「青波萌え~!」
 (またこの漫画版の絵がムチャクチャ可愛いんだ!) 
 そりゃ、これだけ素直で可愛くてお兄ちゃんを尊敬して慕ってくれたら男でもいいよなあ。おかあさんもナットク。
 実際の妹なんてもんは全っ然!! 可愛くもしおらしくもないんだもの。

投稿: まいね | 2007年11月24日 (土) 00時48分

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