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2007年7月 6日 (金)

「風林火山」白いままではいられない

   最近の晴信くんはコワイです。信濃平定がうまくいかないのは自分が舐められてるからだとかいって、今度のえーとなんとか城攻めでは「降伏は許さない。男は全部殺せ。女子どもは生け捕って売れ」ってオニ! 昔からおそばに仕えてた甘利君も板垣君も顔を見合わせて困ってました。
   (育て方間違ったかな?
   って、そうじゃなく。でも、「わしらが殿をああしてしまったのだ」云々とは言ってたような。嗚呼、人はいつまでも理想を掲げやさしさに満ちてはいられないのです。って、ところが、苦渋の決断で変わった晴信君に対し
   「隣にはなんだかパパを追い出してさらによそに戦争ふっかける悪の領主がいるみたいだけど!」なんて好き放題言ってる正義の若者が。
   「大義名分のない戦はすっきりしないから ヤ!」とか。

   いいなあ、こういうこと一生言い続けて行ければ。
   ある意味ウラヤマシイですよ。
   そんで、正義、純情一本槍で行って。相思相愛の姫との仲を裂かれてしかも相手は非業の死を遂げたら、そりゃ、
   「俺ぁ毘沙門天に身を捧げちゃてるから。女なんか近づけたりしないからね!」ってぐれちゃうってのもアリかもよ(おかあさんもしつこいネ)。

   茶人古田織部君の数寄ごころによろめく様を描いております漫画「へうげもの」、先月は九州出兵あたりのエピソードで。義弟高山右近君と南蛮人についてイロイロ話しておりますと気のいい右近君が眉をひそめて「いやなものを見ました」と。ちょうど港に来て宣教師に会い、南蛮船の立派な様に気分が高揚した秀吉が、船倉に降りようとします。止める宣教師、「見られては困るものでもあるのか?」と押し通るとそこには鎖に繋がれた女たち。
   「おまえたちは 日 本 人 を 奴 隷 と し て 売 り 飛 ば し て お っ たのか!?」と抜き打ちの太閤。あ、この作品では秀吉は結構居合いの達人です。ところが、宣教師は鎧を着込んでおったので無事。それがまた
   「あらかじめ鎧を着けておるとは戦意があったのだろう!」と、心証は悪い方へ一直線。
   「売ってるのは農民だけです!」
   「じゃあ俺も売られるところだったのだな!?」と秀吉の禁教令はこの辺が発端という解釈の様子。

   この辺、あながちフィクションでもないらしく。
   宣教師が日本人をとっつかまえては奴隷としてインド当たりに送ってたというのは史実としていろんなところに出てるんだとか。例の、天正少年使節、ローマまで行った少年たちですが、ヨーロッパとかでも娼婦として日本女性がひどい目に遭ってるのを目撃したと言ってたそうで。怒れよ、少年。ま、まじめな人が証拠のサイトをリンク貼ってくれてましたがおかあさんはそこまで見に行ってないので今のとこ2ちゃんねる伝聞情報のレヴェルですが。この前の「功名が辻」の初回あたりでも、幼いお千代ちゃんはひと買いに捕まってお船で連れられてゆくシーンがありました。モーニングスターを振り回す蜂須賀君の奮闘のおかげで無事逃げられて、土佐25万石の奥方になれたんですが、あそこで蜂須賀君が見て見ぬふりをしてたら彼女もコルカタで風俗嬢をしてたかもしれないということで。コワイよね(娼婦に限らず、繊維産業に従事する奴隷という方向もあったそうですが)。

   イエズス会だ、神の使徒だとかい言っといて、やってることは死の商人&女衒ですから。騙されちゃダメよん。秀吉も「人身売買はやっちゃダメ!」と言ったところは同時代人から評価されてたそうなんで。意外とハゲネズミもやりますね。やっぱ、下々の出身の人間は視点が違う。それに比べたら、キリシタン大名(誰とは書いてなかった)は鉄砲や南蛮グッズと引き替えにふつーに領民を売り飛ばしてたそうで。どっちが正義の人だかわかりゃしません。おかあさんも先週初めてネットで知ったようなことを偉そうにここで語る語る。

   で、そのときに「当時は戦で捕まえた非戦闘員はふつーに市場で売り買いしたんだよ」というご意見が出て。
   「だから来週の『風林火山』、何とかの戦いで武田信玄は女子どもみんな売り飛ばして顰蹙買ったんだってば」というお話が続いて、掲示板は阿鼻叫喚となったわけです。

   だからって、ホントにやるとは思わなかった。

   序盤の海ノ口城攻めで、若い姫様だけ生き残って、どうなったかしらちゃんと生き延びられたかしらとかここでも書いたかと思ったんですが、なんたる偶然、このお城にお嫁に来てて、また落城(時代的にはそう特別な人生でもないらしいが)、小山田君に目をつけられて小山田君のお嫁さんになっちゃったそうで(史実)。売り飛ばされるよりはましかも。勘助ちゃんのこと覚えてて、差し出したお水をえらい勢いで断ってましたね。

   仁の道で治めようとして思うようにいかず、裏切られて、これ以上なめられるわけにも行かず、心ならずも修羅の道に堕ちてしまう。
   辛いですなあ。
   それなのに、すぐ隣には我こそは正義のひとと喧伝する天才がいて、自分のことを悪の権化のように呼ばわる。
   殿様も辛いよ。
   はじめて晴信ちゃんに同情したかも

   いやでもガクトうるわしかったし。

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