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2007年7月 7日 (土)

「Heaven?」ダメダメな人々

   ひっこしのどさくさで「おたんこナース」が出てきて、子どもが喜んでみてたので、じゃ、「Heaven?」揃えてみようかなと思ってたところ、ブックオフを見つけて、買ってみたというのが6月の頃。見事に「続き!」攻撃を食らって、先月なんとか2巻と4巻を発見。楽天で通販をしたら品切れといわれへこみ、先週お中元出しに行ったついでに三省堂を覗いたら、3巻が見つかったので買いました。

   おかあさん前置き長いよね。

   手に取った時、なんだか小さい気がしたんですが、同時に買った「ワンピース」よりは大きかったから、気のせいか、と思って。でも、帰ってみたらやっぱりカヴァーの紙質とかあからさまに違ってて。判を変えて近年出し直したってこと? 巻末おまけ漫画(けっこー楽しみにしてる)もなかったみたいだし。

   とりあえず親子して喜んで読みました。

   えーと、話はバブル崩壊後ぐらいでしょうか、とあるフレンチレストランでサーヴィス係(ウェイターと認識していいのかな? 初回はフランス語で細かく定義が書いてあったけど)をやっていた伊賀観くんは、豪快な若い女性にスカウトされて新しいレストランに転職します。道に迷いつつたどり着いた新しいレストランの従業員は皆一癖ありそうなひとたちで。自己紹介をしてみると、フランス料理店の経験のあるサーヴィススタッフは彼1人。開店は4日後……行き当たりばったりのオーナー(彼をスカウトした黒須さん)のせいで、彼らは怒濤の開店準備にはいるのでした。

   「伊賀君ってハムテルみたいだよね~」と娘の脳天気な指摘。その辺は当然考えてるでしょう。無表情で、物事に動じない、自己中心的な人たちに振り回されるご苦労な星の下に生まれた方。オーナー黒須さんはともかく、ソムリエとしてのキャリアを積みたいだけのもと銀行役員、全く進歩の気配のない無邪気なウェイター、結構みんなマイペースで人のこと考えてない気がしますよ。読者は伊賀君に同情しつつ、ハチャメチャな展開を楽しんで、オチにほっと安堵すると。イヤホント、佐々木倫子はストーリーが上手い。結構ミステリ的内容も多いしね。黒須オーナーの素性とか、傘を忘れのは誰かとか、客足が途絶えた理由とか。

   読んでいてふと、これは「王様のレストラン」とどっちが先だったのか気になって。あれも、一癖も二癖もある従業員とレストランを経営するコメディだったし。「Heaven?」の方が、フレンチレストランの内部事情ネタが多かったでしょうか。だいたい、三谷作品の「どこにでもいるちょっとダメなひとたち」ってのがちょっとわたしには「それどうよ?」なダメダメさだったので、少ぅし引いてしまっていた点があって(スポーツ新聞のお色気記事が好きで、何かというと「○○が××な女は~~だ」とか言いたがるフロアスタッフとか。お下品よ)、それに比べるとまだ「ロワン・ディシー」(「Heaven?」の店の名)のスタッフの方が許容できるかなと思いましたです。なんだかんだいってシェフの腕はよいというのは両方に共通してますか。そこがダメだったら改善しようがないもんね。
   黒須オーナーの傍若無人さは、実写でやると見てられないかもしれないレヴェルかもしれませんね。その辺は、漫画だからここまでやってもなんかつい許容してしまうカンジ。「独創的な秋のメニュー考えて」とシェフと喧嘩しておいて、自分はイワナを釣りながら遭難して、その状態でメニュー探しのために山に入ってやっぱり遭難したシェフと巡り会ってしまうくだりは、「ありえねえ」はずなのに、突っ込もうとする気さえ起きませんでした。

   こ の オ ー ナ ー な ら あ り 得 る。

   あ、こういうのが納得力ね。

   こういう強いキャラを生み出せるようになりたいものです。
   そして、伊賀君はじめダメダメな脇役は彼女に振り回されて物語を紡いでいくのでした。
   さて、5,6巻はどうやったら手にはいるのかしら。

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コメント

   昨日、駅前の書店で小さい判の5,6巻を発見、即購入。こんな唐突な終わり方なんだ!
   「機械仕掛けの神」なんて用語を思いだしました(終盤、あらがいがたい絶対的な存在が現れ物語を終結させる、ような作劇法のことらしい)。
   結局恋愛風味はなしでこの話も終わっていて。「ES」の惣領冬美が青年誌で描くのと女性誌でとの違いを「無理に恋愛を絡めなくていい」云々と言ってたかと思いましたが、佐々木倫子作品は全然絡んでなくても少女誌・青年誌どっちでも受け入れられてますが。となんだかヘンな気持ちになりました。そんで結局「ES」は二人が深い仲になってたし。雑誌の性格の違いかな。片や花とゆめやスピリッツ、片や講談社でしたからね。
   最後、伊賀君とオーナーはそんなところまで腐れ縁になって、でも、それ以上にはならない、それで良かったんではないでしょうか。

投稿: まいね | 2007年7月 9日 (月) 03時40分

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