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2007年5月16日 (水)

「大きく振りかぶって」アニメ化余話

   この春からアニメになっているセイシュン野球漫画「大きく振りかぶって」ですが。

   この23日に待望の8巻が出て、桐青戦の決着が明らかになるといってあっちでもこっちでも話題が盛り上がってます。

   この作品は、にゃいーう゛なピッチャーと俺様なキャッチャーのコミュニケーションのとれなさにやきもきするのもよいですが、その他、脇役がしっかりしてるので隅から隅まで面白いんですよね。

   たとえば、「クソレフト」こと水谷君。たぶんルックスは西浦高校野球部内でも上の方ですが、軽めの性格やパーフェクトゲームを台無しにするバンザイ落球(フライをバンザイするような体勢から取り落としてしまう、おまぬけ系エラー)をやってくれたり(「クソレフト」はそのときのキャッチャー阿部くんの怒りのモノローグに由来)、去年の優勝校との試合、チャンスで「次、点を入れないと!」って勇み立って「(次の打者は)オレかよ!とビビリまくったり、結構好意を持って注目されてる脇役のようです。必要以上に好意的に見ている人もおられるようで。気持ちはわからないでもないですが、わたくしはそういう美形に対するひいきの引き倒しは好きじゃないです。クソレはクソレで結構。それでもかあいい♪

   さて、先だって2ちゃんねるで報告されてたのが、

   「2巻のクソレフトの落球が 修 正 されている!」

   前述の通り、水谷君のゆるさの象徴であるバンザイ落球なんですが、もう、「楽勝!」って感じでにこやかに構えたシーンからかすりもせず「ポットン」と落としてるところを、いちどグローブに当てたところで跳ね返って落とすように変わっているそうです。え~と、18刷かららしいですね。物好きの考察によりますと、アニメ化に当たってルール的におかしいところがないか洗い直したときに引っかかったのではないかとのこと。

   なぜ引っかかるかというと、元のヴァージョン、落下点にちゃんと入り、捕球姿勢に入りながら捕球できなかったというのは、守ってる側から見ると「取れたのに取れなかった」から「気持ちでエラー」なんですが、じっさいは触ることもできず落としてるんだから「ヒット!」ということもできるので。エラーとヒットの違いは、打者や投手の成績にも関わってくるので、きちんとしないといけない、ここはパーフェクトもかかってたので。ヒットとされちゃまずい場面であったのでしょう、エラーとして明白なように描き換えたんですね。たぶん。

   このせいで、アニメ化前後にコミックスを買って参入したファンと、それ以前から読んでたファンとの間に「クソレフト」の評価に温度差ができていたということが明らかになって、

   「あれじゃあそりゃクソレのことを実はデキるやつと思ってもしょうがない」なんて意見もありましたな。

   日本の近現代文学において、何度も手を入れる作家の場合同じ作品でヴァージョン違いがあったりして、それについて研究者の皆さんはああでもないこうでもないと考察をしておったりするのですが、わたくしはいままでその意義を正しく理解してなくて、問題をわざわざ作ってものごとを難しく解釈してると思ってました(それでも国文学科卒か!)。ここでヴァージョンの違いが登場人物の読者への印象をも変えてしまうということが実際あるのだということを知ってしまったことでございますよ。(文学)表現というのは面白いものですねえ。

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コメント

 アニメを見た人からの報告。アニメ版では、あの大落球はボールを見ながら体を捕手に向けたまま後退していって脚を絡ませて転んで……となってるようです。……ド素人。いや、後ずさりはイカンでしょ、ふつうに考えても。
 デキル人は、桐青戦の花井キャプテンの「眼を切って取りに行く」のように、落下点を予測して、ボールから目を離し、真剣に落下点に急ぐことを目的にまず走り、落下点に到着後構える、もしくは、作中の花井君のようにダイヴィングキャッチ! だそうです。
 いや、シロート同然くんと神レヴェルの名手がチームに混在してるところが面白いんだってば。

投稿: まいね | 2007年5月20日 (日) 14時25分

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三橋は6回を終わってパーフェクトピッチング。 出来すぎ!? 四番の織田を見逃しの [続きを読む]

受信: 2007年5月22日 (火) 13時16分

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