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2007年5月17日 (木)

「空飛ぶ馬」やさしいひとよ

   とむ影さんに貸していただきました。「空飛ぶ馬」北村薫。なんてスウィートな安楽椅子探偵

      窓を閉めて わたしがあなたの髪の毛を

                  撫でるだけでは物足りないわ     舞音

   元ネタは大岡信、「方舟」。第一詩集だったかな、からの抜粋による混声合唱組曲です。作曲は木下牧子で、80年代後半の合唱の演奏会ではあっちでもこっちでも演奏されてました。第2曲が「木馬」、アンデルセン童話だかをモチーフにした詩で、

   「やさしいひとよ 窓を閉めて わたしの髪を撫でておくれ」

   というテノールパートソロが途中にあるんですね。若者らしいどこかにさまよい出でようとする浮遊感を童話の空飛ぶ木馬に喩えた幻想的な曲でした。ただ、わたくしも大年増でこの曲をやりましたので、

   (甘えてんじゃねえ、バーロー、しゃきっとしやがれ。いい年をして。腹を据えてこっちを見ろ)と詠んだのが前掲の腰折れでございます。「その金の手で繋いでおくれ」なんつってもう、浪漫もたいがいにせえっつうの。う~ん、1,2年生だったらうっとりできたんでしょうか。こちらは卒業間近だったし。

   で、タイトルの「空飛ぶ馬」が、短編連作の最終話のタイトルで、その木馬の話に絡んでいると。その前の話がちょっとディープな男女の謎で主人公の女子大生がやりきれない気持ちになったところを救ってくれるのでした。

   自分語りが先になったよ。失敬。

   確かにこりゃ女子大生作家が書いたと思われてもおかしくないです。

   主人公は女子大生、国文科の「わたし」。寄席通いが趣味という渋めのお嬢さん。初版当時国文科出たてだったわたしとは比べものにならないくらい本を読んでます。スゴイネ。珍しく早起きして大学に出てきてみれば、休講、途方に暮れてあくびをしたところを、この大学の先輩である噺家、春桜亭円紫との座談会に出てくれる女子学生を物色していた教授に見つかって、みごと白羽の矢。またそれが、彼女ごひいきの噺家さんだったから、もう渡りにボート! いや違うな、犬も歩けばうまい棒

   この噺家さん、なかなか頭の切れるかたで、教授の心の底に引っかかるややオカルト的謎を、話を聞きながら解き明かしてしまってくれる。たまりません。ものごしは穏やかだし、心配りが行き届いていきだし、こういう大人とたまに知的冒険できるって、スゴイじゃないですか。

   文庫のミステリだと、解説がひどいコトがたまにあると聞きますが。

   この本は巻頭にあって。

   「希有のカップルを誕生させた北村薫氏は」って、

        宮 部 み ゆ き の バ カ ~ ~ ~ ~ ~ !

   期待しちゃったじゃない

   二人組をあらわす外来語では、コンビ<カップル<アベック(死語!)と順に恋愛的親密度が強まるニュアンスでしょ!(あくまでも日本語文脈) ここでコンビとカップルの間にはフォッサマグナ級の溝があります。当然。漫画「Q.E.D.」の想くんと可奈ちゃんはぎりぎりカップル側に引っかかってるでしょうが、この作品の二人はカップルとは呼ばせん!!

   途中、妻子持ちというのがわかってこれはあり得ないかな、あったら引くなとは思ったんだけど。年の方は気になりませんでした。円紫師匠、今のわたしより年下だし。3話めは夏休みで、蔵王に講演で行くからついでがあったら聞きに来て、と誘ってるし。男女の話になる4話では、「恋人に立候補するのも大変」なんて言ってるから、師匠の方もその気があるのかとどきどきしたのに! 一般論かい! 最終話ではちゃんと1話で誕生日の話が出たのを覚えてて、お誕生祝いをしてくれるというのに!!! まだS&Mシリーズの萌絵と創平の方が何かしてるよ。

   じつに清潔な関係でした。ばか。でも、シリーズ続いてるって言うし。ヨコシマに期待します(おまえがバカ)。

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