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2007年3月22日 (木)

「風林火山」 11 因果は巡る

   とうとうドラマオリジナル部分も今回限りだそうで。壮大な前振りでした。もう、21世紀の大河としては白眉の出来ともっぱらの評判。心配なのは原作部分に入ってから……。

   信虎パパ追放を感づいていた弟との対峙から始まったかな? これがまた出来た弟で、「よくぞ背かれました!」って、パパが兄さんをいびってたのを解ってて、心苦しく思ってた、それでも可愛がられてやっていた等と申す。できすぎてちょっとイヤミ? でも、ことここに至っては兄に忠節を尽くすなどと申して二人の心はわだかまりも解けてがっちり結ばれるのでありました。こりゃ意外。織田さんとこや伊達さんとこはここでシャキーンと大刀一閃、弟は殺されちゃうんですけど。それについては某所で考察が成されておって、「だって、織田さんや伊達さんはパパが嫡男を支持してたもの」「悪いのはママだったよね」と。ママが強く支持しておった晴信くんは弟にたいして心の底からの懼れと嫉妬は感じていなかったと。……ママも責任重大ね。「弟もホントに出来が良かったもんな。家光はその点隙を逃さなかった」そういえば、実弟殺しって結構多いんですね。

   自分の運命も知らず暢気に連歌なんぞやっとる虎パパであります。その内容は……ん? 義元くん、「はれし心に戻る甲斐なし」ってなんか意味深? 大丈夫? 「スッキリした心でも、かえるお家はないんだよ、来た甲斐はないよ」って? そんなこと言って、やだ、今川さんちはみんな腹黒!!! わたくし例によって裁縫箱を出して、繕い物なんかをやっておったのですが、あやうい掛詞の応酬に思わず画面を見ました事よ。今イチ理解できなかったかもですが、なんか、いやな雰囲気だけは伝わりました。でも、自分のことだとはちーとも思ってない虎パパがちょっと哀れかな。真剣に見ていた人によると、ここでですラー雪斎がニタリと笑ったとか。

   いや~~~~~~~~~~~ん!!

   いやらしさ満点の今川家中でございます。
   虎パパが去っていった後、勘助を呼んで
   「信虎は殺しちゃダメよ」と釘を刺す。
   「お供の家来もね」って、
   「家来はちょっとならヤってもいいわよ」ってジュケーニ! 恐るべき尼御前であります。
   「だめですってば」とちゃんと言われてました。全編渋いかと思えば小技が効いてます。
   そんで、なんだっけ、印伝(これはインド伝来の略なんだって!)のステキ眼帯を用意してくれて「今川家の家臣として身なりを整えてゆけ」なんて。やっぱり義元くんはうるわしくない勘助がキライなのかしら。こまったおひと。じゃーデスラー雪斎はいいのかよ! そんな眼帯捨てちゃえ、勘助!

   話は変わって北条さんちは北条さんちでパパ危篤。有名な(知りませんがな)遺言状を書いて、コレコレこういう風に国を治めなさいよと言ったとか。それが、
   「道理に外れたことはやっちゃイカン。そんなことでちょっと領地を増やしたって、あとでけなされる。そんなことをやって栄華を極めてもしょうがない」と、ごくごくまっとうであります。そのまっとうな遺言を、パパを追い出す晴信の軍に被せるのです。こんな仕打ちを受けるのも、因果応報、虎パパが悪いのよ、さらに、こんなことをやっちゃった晴信、おまえも楽には死ねないよと……。

   めぐる~め~ぐる~よ 因果は~めぐる~♪ 中島みゆきは永遠だな。

   いい気分で家路をたどる虎パパ、これはロケです。国境は閉鎖されてます。門の上には兵がびっしり、弓を構えて。
   これがおもしろい。
   「なんじゃ、そなたら、様子を見て参れ」っていうと、お供衆みんなわ~っと門に逃げ込んじゃう。先週、お供はみんな人質を取られたってやってたそうです。全員、お屋形を見捨てて逃げ込んでしまいました。
   ……鮮やかすぎ。ひとりぐらいついててやれよ(だからこそ哀れが勝るという演出か?)。
   重臣ズもおそろいで(親パパだったはずのイケメン小山田くんさえ、雪斎から手紙もらったとかいってしれっと謀反派に乗ってくるのです。ホントにブラックストマックじゃのう)。これが、重臣ズみんな同じような名前でまぎらわし~と思ったら、例の「偏諱を賜る」ってやつよ。偉い人の名前から一文字もらっちゃうっての。みんな「虎」の字をもらった虎ファミリーだったんです。これ、中世以降日本では多いです。江戸時代なんか、見事に大名の名前で世代が解るっての。黄門様は光圀だから三代将軍家光の世代ね。綱が付いてると元禄組、宗がつくと吉宗世代。
   話を元に戻して、それだけお屋形には恩もあってすごい結びつきだと自分も虎パパも思ってたのに。
   「もう戻ってこないで。来るなら実力行使するよ」と言わねばならないのです。
   心中いかばかりか。

   場が落ち着いたところで、勘助登場、今川がお預かりしますって。ここで
   「哀れよのう、信虎、子に背かれ、家臣に背かれ……」と長台詞を決めてくれても良かったのに。そんで恨みの一太刀……と行くかと思ったら無言。
   「大儀であった」だったかな、渋く虎パパが吐いて、背を向け、また馬上に戻るんだ。ただ、その馬に乗る足台として、勘助が四つんばいになり、それを踏みしめて信虎は馬に乗るんです。
   なんでだよ。
   ここまできても人を踏みつけにするかよ。
   せめて手じゃないか?
   国主というのはそんなにお偉いのでありましょうか。

   しばらく行って、振り向くとオマエ、俺になんか恨みある? 
  「さっきから殺気が」なんてオヤジギャグ。いえ、あまりにもシリアスな雰囲気なのでギャグと指摘するのも悪い気がして。そうして、国境から離れて甲斐の連中に見えなくなってから、因縁を付けるのであります。いや、ホントに殺気飛ばしてたかもだけど、信虎としては
こんな情けない心情のまま今川屋形にとぼとぼ帰る気はないのでした。
   八つ当たりのためには小者一人ぐらい斬ってみせるのが心意気、とそのぐらい思ってそうで。
   そのくらい、下々のことをなんとも思ってないカンジ。
   泣いたりわめいたりしない矜持と、それとがないまぜになった言いがかりじゃないですか? ちょっと暴れさせてよと。

   もう、いきなり中世ヨーロッパにタイムスリップしたカンジで、馬上の一騎打ち、何度も突進しては斬りつけ、離れてはUターンして構え直す。やや傾いた陽の下、枯れ草の野原
において、「俺のの女房を殺したろ」とは一言も言わないやるせない一騎打ちです。勘助についてきた庵原のぼんぼんや飼い殺しになってたというれいの青木大善が構えるのを「手出し無用」と遮っておいて、勘助がひとりで対してましたが、途中、空気の読めない脳みそきんにくん(このドラマに於いては少数派)であるところの青木が出張っていって、信虎は一撃で落馬、もうなんの力もないオッサンであることを体感させられたところでチャンバラパートはお終いでした。こんな情けない姿を見てやることで、勘助の恨みはようやく晴れたということだそうです。  

   で、座りこみながらも、口はまだ動くと。
   なんだっけ、心のそこにすむ月がどうしたと連歌を言いかけるのですが、いかんせんおかあさんにも勘助くんにもキョーヨーがなくって下の句が付けられないのです。ごめん。義元くんだったらうるわしくも皮肉がキョーレツなのを付けてくれたと思うんですが、それで満足します? そんで、今回のこの今川家のと信虎くんの連歌の句は史実ですか? (去年の明智光秀の「ときは今天がしたしる五月かな」ってのは史実だそうです)
   伝説では有名なところで、前九年の役で、安倍貞任だかが、源義家だったかよ、
   「衣の館はほころびにけり」
      衣の縦糸がほころびるように無敵の衣川の館も落城の時を迎えたな、と呼びかけると
   「年を経し糸の乱れの苦しさに」
      そりゃ長い戦いだったからね、古い布の糸がほつれるようなもんで

   と返した故事がありましたよ。当時の安倍一族と言えばエミシとか言われてて、野蛮人というか田舎者と見下されていたのに見事に句を付けたといって天晴れと言われておったと思いますが。

   

歌道は遠くなりにけり

   とは信虎は言わなくて。
   「甲斐には俺の息子がいる。俺が育てた猛々しい晴信が」
   オイオイ。
   どの口が「俺が育てた」なんて言うか
   「最高のツンデレ」とか言われてましたな。内心では認めてたならそう言えよ、この内気さん(バカ) 。おかあさんは壮大な負け惜しみと思いましたが。
   また、「武田家」と「猛々しい」が掛詞になってるとか受けてる人もいたし。
   なんというか、スルメ的あじわいがありますな。今年の大河は。

   そして、やっと原作世界に突入であります。お待たせしました。

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コメント

はじめまして、ゆるりと申します。
今年の大河はホントいいですね、中々ひねりが利いています。
晴信の弟についてですが、彼はのちに「文アリ武アリ礼アリ義アリ」と言われた人で、信玄に匹敵する器量だったそうです。
真田幸村の本名である「信繁」は彼にあやかって付けられたもの、とか彼は「信玄家法」という遺訓を遺すんですが、これは江戸時代に模範的な教訓として武家の間で受け継がれていった、とかなにかと逸話の多い、キャラの立った人物なので要注目ですよ。

投稿: ゆるり | 2007年3月22日 (木) 20時16分

 ゆるりさん、いらっしゃいませ、はじめまして♪
 あらまあ、そんなにスゴイ人だったんですか。優秀だな、武田家。ようし、弟にも注目で参ります。
 そうそう、ドラマストーリーみて調べたら、あの連歌今回のドラマでは同じ句を使い回していたようで(気がつかなかったわたしの酷い記憶力OTL)。既に義元くんやマダム大井の虎パパに追い出されて出家したパパとかが辛辣な句を付けていたのでした。
 可哀相だよな。因果応報とはいえコケにされるキャラでした。

投稿: まいね | 2007年3月22日 (木) 21時04分

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風林火山ですが、いよいよ武田信虎(仲代達矢)駿河追放となります。武田家家臣のほとんどは、この謀叛に加担しているのですが、武田晴信(市川亀治郎)の弟・信繁を始め、諸角虎定や小山田など今回の計画を知らない家臣もまだいます。(風林火山、第11話・信虎追放の感想、以下に続きます)... [続きを読む]

受信: 2007年3月24日 (土) 22時24分

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