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2007年2月 1日 (木)

ただ愛があれば-うるわしの英国シリーズ

   先週の授業参観以降、土日を経過して風邪をこじらせて、寝付いておりました。火曜日にやっと起きられるようになって、お医者に行きさんざん愚痴ってお薬を出して貰って、ついでになにか読みながら甘いものでも食べてごろごろしようと足はTSUTAYAへ。
   こういうときこそ、いつもは買わないけど好きな作家さんのきれいな絵やワクワクするストーリーをみたいものだ、と、本棚を流し見て、今日は波津彬子さんの「うるわしの英国」シリーズにしよう! と勇んで女性向け大判コミックスの棚に進んだら。

   この前大幅ラインナップ変更があって、波津作品はスペースを失っていたのでした。

   こんなことになる前に実績をつくっておこう。文庫の「雨柳堂夢咄」は欠かさず買ってるんだけど。

   さて、フラワーズ誌(英語のスペリングがあやしいのでカタカナで堪忍!)でシリーズ(飛び石)連載している「うるわしの英国」、最新号にも載ってます。
   頃はヴィクトリア調(たぶん)、両親が亡くなって伯父さんの家に引き取られた幼い兄妹は、そこが幽霊屋敷と呼ばれる陰鬱なお屋敷であったのでへこんでいます。ホントに肖像画とか動くし、生きてる人間の大、大伯母さんも幽霊っぽい堅苦しく暗い人柄だし。妹はもう肖像画の前を通るのがコワイとかべそかいてます。お兄ちゃんも、学齢なんですが、こんな妹を一人置いて学校には入れない! と家庭教師を付けてもらうことになりました。
   この家庭教師さんがね。そんなに目を見張るほどうるわしいというわけではないのですが、気の持ちようが明るくて華やかなのです。彼女が現れると、あのうちじゅうにいるいやらしい幽霊の黒い影が姿を消すのです。って、この人は霊能力者ではない模様。笑顔が優しくて、誰もが気分がうきうきするようなことを言ってくれるのです。あの陰気な伯母さんにだって「想像してたよりお若いわ」って。チョーシがいいひとなんじゃないかと思いましたけど、一瞬。溢れる好意と善良さで、その場の雰囲気を変えてしまうカンジ。
   兄妹が怖がる肖像画も「ご先祖様だから目許が似てるわ」と見方を変えることを提案します。
   「このおじいさまも、幼い頃は○○くんみたいに利発で繊細な美少年だったじゃないかしら」(例によって要旨。すいません、このおばはんは手元にない話の感想を印象で書いてますので細かいところは違うかもしれません。だから興味をお持ちの方はご自分でご覧になって確認してください)
   「このおばさまも△△ちゃんと同じ色のリボンを付けていらっしゃるわ。きっと好みも一緒よ」と、血のつながりによる共通点から感情移入を誘うのです。そう言われて、子どもたちも好意を持って肖像画のご先祖たちを見つめるようになると、彼らも愛想良くなって、笑顔を見せたりもするんですよ。
   変わったのは伯母さんもで、40年喪服着てたっていうのにきれいな色の服を着るようになって「ステキ」とか言われてるの。それでも「40年振りに喪服を脱ぐことになって」とちょっと恥じらうのを「40年も思い出の中に生きようとしたそれほどの愛情が美しいですわ! どうかそのロマンスを聞かせて」とか臆面もなく言っちゃう。ううむ、その善良パワー恐るべし。
   要は、ものは見方なのだと。哀しい方、憎しみや恨みなど暗い感情に心を凝り固めてしまいがちですが、物事は明るく良い方向を見ようと心がけるだけで好転するのだと、物語の中で、その家庭教師さんは自ら語っています。こうなるといいのに、こうなって欲しいと自分で口に出し、何度も強く願うとそれは実現するのだと。
   邸内が「秘密の花園」並みに明るくなったところで物語は終わるのでなく、ここで一波乱。自分たちに興味がない筈の伯父様が急に帰宅します。
   「家庭教師なんか頼んだ覚えはないぞ! おまえは何者だ!?」って

   ここからのオチの付け方がスゴイ。この人の作品の傾向的に、とくに、このシリーズでは、この世のものでない、妖精とか、館のヌシであるところの幽霊とかが普通に出てきますから、そういうのかと思わせて。
   ホッとして、心が温かくなりました。だいたいこのシリーズはしゃれていて、和むんですよね。

   「雨柳堂~」もよいですが、このシリーズも病気療養中におすすめだと思いますよ。

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