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2007年2月 8日 (木)

「風林火山」 4 美僧も黒々

   スパイとして今川領に潜入しております勘助くんですが、ロクヘータと違ってれっきとした浪人もの(それって矛盾してます)として仕官希望の食客としての参入です。史実では花倉の乱の原因である今川家当主&跡取り候補の急死は死因すら明らかになってないんだって。そりゃ、先週みたいな描き方になるわけだ。福島さんの暗躍も証拠はないそうで。じゃ、偶然二人して食あたりかなんかで死んだのを機に、とか、もっと間が悪ければ、濡れ衣なんだけど、やられる前に立つ! って挙兵だったりして。なんか可哀相でもありますね。やっぱ、勝てば官軍、ハラショーの義元が天下を取れば、その辺の事情もいろいろ考察されたり、また、勝った方から公式見解が出てたんでしょうけど。マイナー大名は辛いよ。

   ってことで第二次跡取り候補は福島さんちのおねーちゃんが生んだ玄広恵探とジュケーニの生んだ末っ子、うるわしき梅岳承芳との一騎打ちになりました。そりゃ、正室腹が強かろうて。そこへ割り込む外戚福島氏、どう見てもこっちが悪者ね。顔も悪そう(ヒドイ)。梅岳承芳がわでがんばってるのはおかあさんのジュケーニと、どうもブレインであるところのデスラー総統、じゃない、裏軒のご主人、じゃない雪斎。京都時代からの側近、と見せて、ガイドストーリーの人物相関図によるとこれは勘助ママのおじさんである重臣庵原さんの弟であるらしく。……なんだ、やっぱりこっちも血縁か。血は水よりも濃い戦国大名家でした。家臣から嫁取るのやめろよ。ナルホド、徳川家が正室は京都から迎えたわけよね。そういうジュケーニも京都の公家の出なんですけど。しっかり根を下ろしてそういうバックを味方に付けたんだ、偉いぞ。○○姫(本名不明)。

   とりあえず、勘助くんが庵原さんちに身を寄せた理由が解り申した。なんだ親戚だったのか(そう言えばいってたかも)。ジュケーニの身辺警護をしたりといろいろ地味に工作してるというのに、嗚呼、政治は工作員の頭越しに決まってしまうのです。「福島には武田がついてる。そのためにこんなことをしでかしたなら、武田を外してしまえばいい」ナルホド。そこで、「お宅の若旦那まだお嫁さんいないんだって? ちょっと京都の方に口利いて、三条さんちからすごい姫様もらってきてあげてもいいよ」と。悠々武田までお使いするデスラー総統でした(伊武さんも21世紀にもなってこの役名で呼ばれるのも不本意であろうか)。実の妹とかじゃないところがまたうまい。そこまで密接に結びつくのもまだコワイ、この位の恩なら売ってもらっておくか、というところを狙ってきます。信虎お館も悪い気はしてない様子。あ、そうか、知らないうちに運命が決められてるのは今回晴信くんもいっしょなんだ。こういう対比の構図、今年はこういう進め方で行くのね。
   そんな外交を微笑みで許容する意外や外面如菩薩内面如夜叉というかんじの梅岳(勝手に略しますよ。なんでこの人は四文字名前なんだろう。こんな僧他にいたかよって、安国寺恵瓊? この時代の流行りかしら?)に対して、器量の点で全く勝負にもなってない玄広を担いだ福島側、満を持して挙兵したところが「たぶんこのなんとか山に武田が入るでしょう」と勘助が予測したとおりの布陣になるはずが待てど暮らせど武田が来な~い!! 戦の準備は整って、武田がわの対福島折衝役のおじさんが汗かいて「もう準備はととのってます! もう出ないと福島待ってるのに!!」とおたついてるのにお館は悠~然。裏工作は効いております。
   おたついてるのは花倉城のなかの福島勢も一緒。もう、玄広は見苦しく取り乱して。もう覚悟を決めてうって出るとさんざんに攻め立てられると。あらま。一回で終わったわ。そうね、武田家のエピソードじゃないし。うまい具合にここまで毎回チャンバラが入っております。玄広をつれて逃げる福島さん。待ち伏せする勘助。追いついて、主を逃がそうとする……山本貞久って、おにいちゃんじゃん! 兄弟また刀を交えることになるのでした。
   こういうの、殺陣を付ける人は悩むんでしょうか、腕の見せ所なんでしょうか。幼いときから、この二人のチャンバラシーンは何度もあるのです。子供の頃は、勘助苦戦の末勝ち、雨の日の回は勘助優勢のところ、一瞬の隙(兄が顔を見せる)をついて兄が優勢で引き分け、今回は……。両者の技量の向上具合とドラマでの位置づけとを勘案しつつ見せ場をつくってゆくと。今回は、どうしても兄を斬れない勘助が譲るのですが……
   「俺を斬れ」って、おにーちゃん!
   「俺には子がない。おまえが家督を継げ」って。
                                                         家督が欲しいんじゃないんだ。
   ただ、一個の人間として認められたいだけで。
   兄が憎いわけでもない。
   重なる不運で素直に心を通わせにくかっただけで。
   望んで敵味方に分かれたわけでもないのに。

   お兄ちゃんの言い分ももっともです。このまま逃げても、敗残の兵、よその国にまで逃れても、今の勘助と同じ、浪人から「使ってくれ、仕官させてくれ」と頭を下げて始めなくてはならない身の上となります。勘助はたくましいし、実力もあるけど、にーちゃんは自分の身の程を知っていたのでした。捕まって、処刑されるなら、自分の弟の出世のネタになった方がなんぼかまし、という究極の選択だったのです。ま、ちょと後ろ向きではあるけどね。
   申し出を拒否する勘助に「じゃ、俺ここで死ぬから。介錯は頼む」あとはテキトーにね、と、座り込み、鎧を脱いで腹を切るかと思いきや、頸動脈に刃を当てて引ききると。
   ここ、おかしいんじゃないですか?

   切腹は、あれは90%は様式で、ただ腹切っても死ねないですから、首を落としてやるのが介錯、これが致命傷で、それゆえ介錯は温情でもあるのですが、頸動脈すっぱりはほぼ即死ですから介錯いらないって。介錯っていうか、首取って、持ってけってことだよね。

   勘助、今回も悲痛な幕切れとなりました。
   なんのための仕官・出世よ? 去年よりよっぽどきついわこれ。

   そして、せっかく手なずけた虎だからうまく使いましょと微笑む梅岳承芳意外とダークでした。こわいけど見たい。

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