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2007年1月10日 (水)

「マダムとミスター」執事萌えの原点

   実家に帰りましたら、また母がわたしの蔵書(9割はマンガ)を入れ替えしていて、をを、これこれと手に取ったのが「マダムとミスター」遠藤淑子の人情ドタバタコメディです。
   イギリスの富豪の若き未亡人グレースは、下々の生まれでたくましく育ってきたメイド上がり。型破りな彼女に振り回される周囲のひと代表として彼女の手綱を取る係(いや、猫の首に鈴?)が執事のピーター・グラハム。おかあさんごのみのメガネハンサムです。第1話では富豪のだーりんの死後不眠症に悩むグレースの前に死んだだーりんが幽霊として現れはじめ、財産目当ての妻であるグレースを脅かす……といった筋だった筈なんだけど。例によって心温まるどんでん返しと無茶に世間を知ってるヒロインの男気が清々しいコメディなのでした。マジメ人間としては許せない筈のグレースにピーターもおかあさんもどんどん魅せられてゆくのです。
   読み切りシリーズとして巻数を重ね、5巻まで出てるはずですね。物語としてはグレースとピーターは両想いらしいんだけど、決定的に仲が進展した様子もなく中断、いつでも続きが描けますよというところで終わってたと思います(いや、第X話のあれは愛の告白っしょ! という反論も受け付けますけど。てゆーか、そう思いたいけど言いきれない自分の弱腰が痛い)。

   おかあさんの執事萌えを決定づけたスーパー執事ピーター・グラハムがよいです。

   まだ若いのに(推定20代)、大学中退して執事学校へ入り、亡き父の後を継いでグレースの亡きだーりんに仕え(畜生、名前が出てこないよ、ウィンストンだっけ)、旦那様亡き後の××家を名実ともに取り仕切っておるのです。マジメで趣味は銀器を磨くこと、特技はギャンブルという変な一面も。開業準備の途中でバックレたホテル王の遊び人の甥(?)の代役を引き受けて見事オープニングパーティーを成功にこぎ着けてみたりと事業センスもあり、開き直ると強いのは遠藤キャラとして当然としても、グレースを傷つけられると(静かに)切れるところがもうたまりません。しかも有言実行。グレースが無理な催眠術をかけられて、触れられたくない幼い心の傷を(結果的に)屋敷の皆に知られてしまった時には、「見つけ出して鳩に変えて一生教会の屋根で暮らさせてやる」って言って、実行してますし(具体的にピーターが何かするシーンはなく、物語の最後に鳩になった講師が出てくるだけですが)。いや、コワイ。催眠術が解けるきっかけといい、派手な愛情シーンはなくても、彼らが心で通じ合っているのはしみじみ解ります(しかし、連合王国のくわしい相続とか戸籍とかのジジョーは分かんないんですが、彼らが合法的にハッピーエンドになるのは難しいのかな?)。別の用事で夜中にグレースの部屋から出てきたところをコックに見つかって、慌てて言い訳しようとするところをコックが押しとどめて「俺、口は堅いから」って親指をぐっと立ててたのは……みんな解ってるよって、解ってくれなくていい! って心中語まではなかったかな。とりあえずそんな慌て方。死んだ旦那様に忠義だてとか、そういう複雑な心理もあるのかなとか、結婚した頃には寝たきりだった旦那様とグレースに具体的関係はあったのかとかおかあさん妄想がぐるぐる……(よせ!)。
   二人ともあんまり幼い頃家族には恵まれてなかったようなので、あの屋敷の中の疑似家族としていつまでも幸せにやっていって欲しいと願います(ト、話を立て直す)。
   こーゆーのこそ、虎美に読ませたいと思うのに、4巻しか発掘されてなくってさ。そして虎美はシティーハンターなんかを息もせんと読んでいたのでした。もっこり。

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コメント

 昨日寝る寸前に忽然と思い出しました! 
「名字はジョンストンだ!」ウィンストンはチャーチルだよ。いやだわ、耄碌しちゃってさ。

投稿: まいね | 2007年1月11日 (木) 10時51分

 なんか、この話を書いてからやたらと催眠術関係のトラバがかかって不愉快。
 ニセ催眠術師にムリヤリかけられて退行してひどい目にあったっていう話だっつってんのにどうして催眠術のトラバを張れるわけ!? 自動なんだな。非常に不愉快です。見つけ次第消します。あしからず。

投稿: まいね | 2007年1月23日 (火) 23時23分

まいね様、初めまして!ライムと申します。
遠藤作品の中でもマダムとミスターが大好きで、時々検索してはこうしてネットをさまよっています。
原点、わかります!萌えという言葉がなかった時からグラハムさんは私の執事萌えの原点にして頂点です(笑)
この記事の日付は七年前なんですね。その後結局お嬢様はマダムとミスターを読まれたのか、とても気になりました(笑)私はシティーハンターも大好きだったので、多分こちらも好きになって貰えるのではないかと。
考えてみれば、どちらもヒーローは有能で優しいけど人間らしい弱みもあって、ヒロインは助けられてばかりじゃなく明るいタフな女性。
二人は同居してるけど恋人同士じゃなくて、でも誰よりもお互いを大事に思っている。恋人にならなくても、恋人より大事な存在にもうなっているというか。おとぎ話的な疑似家族物語ですよね。爆発(と銃)が多いのも共通点かな(笑)

エントリーの話はグラハムさんの本気すぎる有言実行ぶりも含めて大好きな回です。クリスマスのお祈りの話や青い上着の話もですが、年を重ね経験を積むごとに本当にそうだなと感じてじーんとしますね。

投稿: ライム | 2014年6月12日 (木) 20時19分

 いらっしゃしませ。
 その後無事に全巻発掘されてうちに還流されました。娘はバッチリ読んではまってくれましたとも!
 「ニューイヤー」がいいといってました。
 巻末に収録されてる短編も気に入ってくれて、「コアラのマーチ」が一押しだそうです。
 そういえば遠藤作品は「爆発と説教と動物でできている」そうですよ。確かになあ。

投稿: まいね | 2014年6月15日 (日) 20時47分

お嬢様、はまって下さいましたか!やった~。
そういえば、私の好きなお祈りする話もクリスマスではなくて「ニューイヤー」でした。クリスマスはグラハムの子供時代のお話でしたね。
爆発と説教と動物、あ~確かに。現代物の短編だと爆発がない話も多くて逆に不思議な感じがしちゃいます。少女漫画としてはそっちが普通なはずなんですけど(笑)

「コアラのマーチ」もいいですね。作中の「堕胎は殺人だと叫んで堕胎医を殺す」という矛盾の指摘が実に尤もで、強く心に残っています。
綺麗事で逃げたりせず、事実を正視してなお前向きに生きていく遠藤作品の強さには、いつも勇気を貰っています。

あ、それと、実はまいむさんのお仕事を頑張っていらっしゃる記事にも。入院する事になったら布団のヒモでなくDSかPSPで遊ぼう!とか色々勉強になりました(笑)
それでは、また覗かせていただきますね。

投稿: ライム | 2014年6月18日 (水) 00時13分

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