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2006年12月23日 (土)

ホラ吹けど踊らず

   この前の納会の時、エージくんママ(例によって仮名) が
   「早乙女さんって帰国子女なんですって?」と聞いてくるではありませんか。
   「あはは、旦那さんでしょ? ホラよホラ、ホ~ラ♪ チェルシー、もひとつチェルシー」(待て。真っ赤なウソなら赤くすべきだろうか?)

   その前のM山地区スポーツ協会主催忘年会に行ったとき、エージくんパパも別の団体代表で来てたんです。その時……
   「ど~ですか、カラオケ歌いましょうよ。ミニバス(ケットボール)のおかあさんたちキャンディーズだそうですよ、こっちはピンクレディーで行きましょう」大きいお兄さんおねえさんが主体ですからねえ。選曲も80年代で止まってるよ。げんなりしたおかあさん、
   「いーえっ! あたくし当時は日本におりませんでしたから、そーゆーの歌えないんです!」と、口から出任せ。
   「おや、早乙女さん、そうなんですか? 西海岸?」
   「ええっ! ロスァンジェルスの日本人学校の生徒会長をしておりましたのっ!!」
   ……おかあさん、乾杯からビール立て続けに飲んでるし、日本酒のすごいところの冷や酒もどんどん勧められてたし。いいえ、酒のせいにしてるんじゃありません。場の雰囲気的にこれぐらい吹いてもいいだろうと思ったんですぅ。
   「へえ~。でもまあ、この際だから」と押し切られて、翔也くんママとサウスポーを歌わされる事になったんですが、時間切れでお開きになってしまってちょっと残念(その気になっていた)。

   いい気分でおうちに帰って、その後のお茶くみ当番もふつーにこなして納会を迎えて、全然そんなホラのことなんか忘れてたのに。
   さらに納会が始まって、場が乱れてくるとそのエージくんパパが横にやってきて
   「早乙女さ~ん、帰国子女ってホントにホントなんですか~?」野暮だなぁ。
   「そんなもんホラに決まってるでしょ~! 本気にしたんですかエージくんパパ」
   「イヤホラ早乙女さんならあるかと思って。あれ、ご主人は? 海外赴任中ですっけ? どこの国?」とまた嫌がらせのように聞いてくるから。
   「え~ジンバブエに。ダイヤ掘りに行ってまんねん」ジンバブエでダイヤって出たっけ?
   「ヤハハハハ~なんでいきなり関西弁に」
   それぐらいしないとホラだと思ってくれないみたいなんだもん。もしかして、わたくしものすご~く真面目なひとだと思われてるのでしょうか。

   誓っておかあさんは上沼恵美子のようなホラ芸を極めたいわけではありませんが。
   M山スパローズのご父兄はノリが悪いよう。

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「歴史に気候を読む」基礎は慎重に

   とむ影さんに貸して頂いちゃいました。
   気候条件の歴史に与えた影響なんかを調べてみるお話。よく、××世紀はプチ氷河期だったから作物が取れなくて人心が荒廃して政治不安となり結果××体制の崩壊を呼んだ、とかまことしやかに言ったりしますけど、ホント? って。あんまりその辺の大きなホラはなくって、どちらかというと、先行のその説はこういってるけど科学的根拠なかったですね、とか、この説だと人類の歴史たかだか4千年に1200年周期の気候変動って大きすぎませんか、とか突っ込んでるスタンスでした。
   最初は古代中国において気候をどんな風に捉えていたかを甲骨文から探し出そうとしていて。ホントに基礎の基礎、気候という物の定義から押さえようとしてるカンジがうっとおしくも好感を呼びます。そうよ、土台が間違ってるとトンデモな学説になっちゃうわよね。昔読んだ「ワニと龍」という本でも、甲骨文や昔の文献から中国にワニがいたのでは? というコーコ学的生物のアプローチをしている先生がいて、今や理系と文系に垣根はないのかもと思ってしまいます。
   その他、日本の暇な貴族連中が毎年の花見の宴会の日付を日記にメモっていてそれを何十年分集めて見ると、当時の京都の平均気温が透けて見える、という御苦労な話。そういう話を若い頃にも聞いていたんで、自分のあほくさい日記も後世の史料になるかとマジメに日記を付けてたんだったなあ(遠い目)。新歓コンパをいつやったかとか、女の子の会費はいくらだったかとか、そんなもんが史料になるのかよ。
   タワラヤソータツの風神雷神図がどこの木像をモデルに描かれていて、それはどこそこの曼荼羅にルーツがあって、それは元をたどればガンダーラ……、さらに逆にソータツを参考にオガタコーリンも描いていて、とそれぞれの特色と影響関係を表にしてくれてたのは面白かったです。下手に美術史的に美辞麗句を連ねられるより解りやすかったカモ。
   とりあえず興味深かったのは、北半球はヨーロッパもアジアも7~10世紀が温暖でいい時期だったことにまちがいはなくて、それゆえ文化も栄えたというところ。
   そういえば、わたくしの中高生だったころはエルニーニョとか暖冬異変とかセントへレンズ火山噴火とかでいつも天候不順だった気がします。そんで、なんか景気も悪~で世相も暗~かったような。気候温暖化な新世紀はなんだかんだ言いながらぬるま湯な好景気でグローバルに文化的にはいいカンジになってゆくのでありましょうか。

   

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2006年12月21日 (木)

忘年会をハブればおかあさんが迷惑 2!

   仙台市教育委員会には相当陰湿なやつがいるようで。
   去年の今頃も(丁度水曜日に!)

   

仙台市の小学校の忘年会を全て中止しろ! さもなくば小学生に危害を加える! 

   といった脅迫文が教育委員会に送られてきて(パニくった教育委員会がその文面をそのまま各小学校に流しちゃって、受け取った小学校もビックリってオマケもついたらしい)、もう、先に連絡のきたA区K町小学校(お茶のお稽古場J寺の校下)は一斉に連絡が回っておかあさんは子供を連れて登校、下校もお迎え、とピリピリしてるのに、T区M山小学校はぜ~んぜん話が回ってきてなくて暢気にお稽古に顔出したおかあさんに
   「早乙女さん! 大丈夫なの!?」って。
   今年もやられました。全く同じ。
   熊事件の時もそうだけどさ。去年から赴任の新しい校長先生は機動力がいまいちだわ。
   お茶を終えて帰ってくると、1時頃ファクスがピッピーと鳴って、今日のお迎えと明日明後日の登下校に各自出てくださいとのくらしとみどり委員会副委員長さんからのファクスが送られてきました。「連絡網は回しておきましたから」って。嗚呼、副委員長ありがとう。
「ちなみに、忘年会は全部中止になったそうです」って、居酒屋も大迷惑ね。

   一体誰なんだろう!? サイテー!

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2006年12月20日 (水)

花の表に秋を聞く

   今日はお茶のお稽古の日です。一ヶ月も休んでしまってもう朧になった唐物のお点前(メイドインチャイナのありがたい茶入れを使った点前)をなんとかごまかしごまかし終わり、脇へ引っ込んで人のお点前をみて勉強する順番になると、にじにじとお部屋の真ん中に出まして、一声。
   「せんせえ、お軸みせてください!」
   茶 の 湯 と は 誉 め る 事 と 見 付 け た り。
   床の間に掛かった掛け軸について先生の蘊蓄をうかがい、同じく活けられた花を誉め、目新しい棚の名前を聞き、由来を尋ね、先生に語らせ、自慢させ、誉め倒す。これが楽しいお稽古の秘訣です。「その手が違います」なんて突っ込まれどおしで帰るなんてありえな~い。

   「ほほ、早乙女さんなら読めるでしょう」って、ホントに?
   「一番最初はごんべん……ですね、誰……?」
   「ええそうよ。次は?」
   「つ? ……の下が可ですか、耳ですか?」
   「平仮名じゃありませんよ、みんな漢字です」
   「ええ~っ?」誰か助けて。気分は大学の演習の時間。
   「有名な文句なんですか?」
   「いいえ、うちの江戸時代の八代めぐらいの和尚さんが書いたんですよ」嗚呼、J寺は伊達政宗の菩提寺。そういう寺宝には事欠かないようで。この前も先代の和尚さんの書いたお軸だったですよね。
   「これは『誰か華表に千秋の聲を聞かん』と読むんです(誰聞華表千秋聲)。お花の咲いている頃に秋の気配を感じることができるかということです」
   「禅ですね」盛者必衰の理を表すってやつですか。平家物語みたい。
   「わたしは秋の声が聞こえるわ~というひとならどの季節にかけてもいいのよ、ほほほ」って、要するにオールシーズンオッケーってことですか。
   「早乙女さんは春に秋を思うことができますか?」
   「無理ですぅ」
   「ほほほ、まだ若いのね」
   「だってぴちぴちの40才ですから~♪」って、やや無理めなオチを付けてしまいましたが。   

   

お集まりの皆さんは春の盛りに秋を思うことができますか?

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2006年12月19日 (火)

ガチフロはガチで効きます

   インフルエンザの副反応じゃないよなあと思いつつ、喉の痛みを堪えて土曜、お茶当番、日曜、お買い物に出て週明け、やっぱり喉が痛くて頭が痛くて、昨日お医者に行きました。
   「う~ん、気管支までは行ってないカンジですけど、いけませんねえ」って。
   「ガチフロでいきましょう」
   「それって、うちの子にもこないだ出して貰いましたが、旦那の申すには、ガチフロは超強力、文字通りガチだとか
   「あはは、私の中では最強です」ああ、かなこ先生(仮名)ったら。
   「それってやっぱりガチフロのガチはガチンコのガチですか?」
   「そうかもしれませんね~、もとの薬剤の名前とは似ても似つかないですもんね。それに、ガチンコって言葉が流行ってたころのですから」
   「ここ数年ってことですか」
   というわけで、新開発の超強力抗生物質を戴いて飲みました。

   

ガ チ で 効 き ま し た

   医学の進歩って素晴らしいわ。

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素晴らしき生協生活 冷凍商品大量入荷!

   月曜日は生協の配達日♪ 今週はクリスマスを控えてご馳走の企画商品がいっぱい紹介されてたので、クリスマスになんにもしない主義のおかあさんもついつい鶏の脚の燻したやつとか(なんかヨコモジで名前が付いてたけどつまりはこういう事でしょ?)、冷凍物ポットパイとか、あとは茹でるだけの真空パック詰めミートローフとか、烏賊、蛸、鯨、ヒトデなど海のお友達の形に成形したマッシュドポテトのフライとかいっぱい頼んじゃいました。
   「しまった。冷凍庫に入りきらないかも
   大丈夫、そういうときには一声叫べばいいのです。
   「ニャンゴや~ニャンゴニャンゴニャンゴ、冷凍庫整頓して~♪」(こういうときだけ小さい頃の呼び名に戻る)
   豹 太 の 特 技 は 冷 凍 庫 の 整 頓 な の で す。
   「ああ、そのポットパイがいちばん問題(四角い箱で、しかも大きい)だから。それ優先で」と指示を出すと、てきぱき冷凍庫の中のシーフードミックスやらお弁当用シャケの切り身やらアイスノンやらを立てて並べて行き、すっきりぽん(ただいまマ王読み返し中)と大量の冷凍食品を納めてしまうのでした。
   「さすが。こういうとこはおとうさん似だな」ご機嫌な顔で振り向く豹太にお褒めの言葉を掛けてやって、さっそく着いたばかりの「生協のごまあんぱん」でおやつにしました。

   

旦那様の特技はパッキング。年に2回の帰省の支度で段ボール箱にあれもこれも放り込んで、蓋が閉まらなくなって泣きつくと、
   「ちゃんと畳んで空気を抜きなさい」と、くるくると洋服を丸めて小さくしてあら不思議、
   「まだ入りますが」と箱詰めしてくれちゃうのでした。

   「やっぱり蛙の子はカエルなのよねえ」と、昨日電話で旦那様に申しますと
   「冷凍庫より机の上を整頓させろ」と冷凍庫より冷たいお言葉が帰ってきたのでした。

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2006年12月18日 (月)

「メジャー」に激はまり

   先日行われましたM山スパローズの納会、ビンゴ大会の景品は各家庭から持ちよったもので、「野球馬鹿」とか「一球入魂」と編み込みの入ったソックスからおかあさんが智恵を絞った揚げ句に落ち着いた、スポーツブランドの指なしサーモ手袋(冬の練習には欠かせません)、ゲームの福袋でだぶったゲームソフト、パパさんのゴルフの景品(?)カセット式小型スチームアイロン、イロイロの中から虎美の選んだのは「NHKアニメ『メジャー』DVD三巻セット」!!!
   「メジャー」は少年サンデーで大ヒット連載中とか言う同名の原作を元にした野球もののアニメで、土曜6時の放映を楽しみにする野球少年は練習後「まだ間に合う?」「VTRセットしてきた?」ともそぞろになるのです。わたくしも夕飯の支度をしながら背中で聞いておるので「涙涸れるまで~♪」のオープニングテーマは耳に残ってますけれど……どんな話かはあんまり理解してなくて。
   一斉上映を望む猫科の人達をいなしながら少しずつ見ておるのですが。

   元甲子園優勝投手ながら、今は一軍に定着できないパパを持つ保育園児吾郎くんは、登場時にしてママを既に失っております。パパももういい年で、球団からは首にされる寸前、苦肉の策で打者転向してやっと首が繋がったところで吾郎くんも生涯のライヴァル、トシくんに出会います。
   そのあと、保育園の先生とパパの間に愛が芽生えるとか、リトルリーグに潜り込んで才能を絶賛されるとかパパが外国人助っ人ギブソン投手の球を頭に喰らって死んでしまうとか、小学校で地元のつぶれかけのリトルチームに入っていじめられてた小森少年と友情を育むとか、おてんば委員長の心を動かしてチームに入って貰っちゃうとかもう子供なりにジェットコースターな展開があって、え~と現在2巻目の4枚目ぐらいですか。宿敵、リトルリーグ界の覇者横浜リトルとの試合で先発投手を一回KO、2人目も打ち込んでキャッチャーにれいのトシくんを引っ張り出したところです(一日1枚の約束なので今日はもうお終い)。
   吾郎くんって、イタイ子ですよ。今はもうスポ根は通用しないんだなあとしみじみ思います。おとさん(原作からこの表記なんですが、アニメではアクセントが変なので音さんと聞こえます)のような野球選手になることだけを目指していて、その強すぎる目的意識を子供らしくまっすぐ出していて、相手に自分を解って貰う努力をしないので「なんだこいつ」と浮いたり反感を買ってしまうんですね。せっかくキャッチボールに引っ張り出したトシくんに本気の剛速球投げちゃうし(最初は手加減しろ!)。 悪いけど、吾郎くんをつまはじきする少年たちの方の肩を持ってしまいそう。それでも彼の飽くなき情熱は野球なんて知らないよという今時の少年たちの心を動かしてゆくのでした。
   イタイひと2人目。それはおてんば清水ちゃん。リトルチームの人数合わせのためにメンバー募集ポスターを校内に貼りまくってしまった吾郎くんを注意し「野球なんてダサッ」といって怒らせてしまった清水ちゃん、やってみもせずに批判するのは確かにいけない、と自ら入部を志願するのでした。……その身体能力はうちの虎美並ですが。その清水ちゃんを甘やかさず「当てにできない」と口にも行動にも出しちゃう吾郎くんがもう……いっそさわやかと言えましょう。それでも努力で食らいついてゆく清水ちゃんの姿は心を打ちます。もしかして、女の子の方がその方面は早いですからね、ちょっと好意もあるのかも知れません。でも、負けん気の強い彼女は口調がまるっきり男の子でさ。お育ちのいいトシくんの方が言葉がきれいなくらい。どうもおかあさん見てて(もっと優しいしゃべり方をすればいいのに)と自分を棚に上げて思ってしまいます。それなのにおリボン付けて、ミニスカートだしさ(うちの虎美は寒いということもあってほとんどパンツで行きますよ)。ちょっと、どうなの? と思ってしまいます。
   いちばんえらいのはそういうイタイ人達に挟まれて苦労している小森くんかなあ。「おおきく振りかぶって」の栄口くんみたいな。自分をいじめてた沢村くんを許したり。ずば抜けた才能より、ひととひととの間を調整する能力はこのご時世、得難いですよ。
   目が離せないのは少年少女のみずみずしい向上心が物語を引っ張っていっているからでしょうか。
   ……どーでもいいいけどこの作品、おんにゃのこの髪型がオカッパと真っ直ぐのダウンスタイル(とそれを三つ編み)しかないのかなあ。顔も同じだし。

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2006年12月17日 (日)

「アルスラーン戦記」最後までガンバレ!

   綾辻の話もしたことだし。
   綾辻行人にはまった時期と、田中芳樹にはまった時期は、私の中では重なります。大学を卒業してすぐの頃。春休みに、生協でやすく本を買えるのもこれが最後と一括注文した「銀河英雄伝説」を読み始めたら面白くって、外伝もすぐ揃えて。ああ、板橋の、大学の寮の近くの書店の、どこの棚にあったかまで思い出せます。
   で、わたくしに田中芳樹を教えてくれたサークルの友達が
   「あの作者の次のシリーズが、角川から出てるよ」ということで買ってきてもらったのが「アルスラーン戦記」でした。「パルス暦7××年」って、全然スペースオペラな話じゃないじゃん。一瞬面食らいましたが、歴史として重厚に語る語り口と独特の翻訳調(?)な修辞技巧はそのまんま。ぐいぐい引きつけられていきました。
   中世ペルシャによく似たパルスという架空の大国は、西の大陸の果て、一神教を信じるルシタニアという国の侵略を受けておりました。勇壮な王のもと、大平原で乾坤一擲の大戦に挑むはずが、味方、将軍のひとりが敵に内通しておって、まさかの敗北を喫するのであります。哀れ、初陣の王子アルスラーンは、護衛に付けられた若武者一人と野をさまようことになったのでした。
   彼の幸運は、父母に疎まれ、物心つくまで市井で育って妙に身分意識のないところ。また、そばに付けて貰った武人が若手有望株、20代の若さで文字通りライオンと一騎打ちをして倒し獅子狩人(シールギールというフリガナが異国情緒)の称号を受ける黒衣の剣士ダリューンであったこと。脳みそも結構鍛えられてるダリューンは、隠棲中の天才、旧友ナルサスを頼って落ち延びてゆくことに決めます……と、どんどん彼の元に個性的な武将が集まって、第一部最終巻「王都奪還」まで山あり谷ありの話は続くのでした。7巻ですから。すごい寄り道よ。隣国に遠征して、庶民派王子の戴冠を助けてやったり、東北国境を越えて侵入する騎馬民族は退けるし。彼のすごいところは、抜群の人心掌握術で他国の武将もメロリンとさせてしまうところ。おかげで解放王の部下は見事に多国籍。その他、旅の楽士はいるは、「そこの絶世の美女!」と呼びかけないと振り向いてくれない女神官とか、弓の名手の山賊、じゃないえ~と自由民の皆さんの若長はいるは。個性的です。いや、マジメで家柄もいい仕事のできるおじさんもちゃんといますが。
   この登場人物たちがすごいです。「銀英伝」も、数えるひとが数えると台詞と名前のある人だけでも500人は登場人物がいたとか。これがまた、洋ものスペオペだと白いひと限定なイメージがあったんですが、この人のは名前を見ても、容貌の描写も、西アジア、東南アジア、どう見ても日系、漢民族系、ヴァラエティに富んでました。地名もね。西欧文明一辺倒じゃなく、あとで調べたらインドの彼ら自身を指す言葉を星系の名に使ってたり、そういう多国籍文化なところが妙に目新しかったですね。
   それが、一応大陸の真ん中で、どうヴァラエティ出すのかなと思ってたら、ちゃんと各人の個性が描き出してあって。この人本を出すのがとっても遅いひとなんですが、10何年ぶりにこの前の前の巻が出て、ジムサ? 知るかよ。何人だっけ? と思っててもしばらく話を追ってくと、「ああ、吹き矢の彼ね!」と記憶が蘇り、そうそう、この人は異民族トゥラーンからの寝返り組だけど、ちゃんと大陸公用語であるパルス語がしゃべれて、それがために一度捕まった時に、しらんぷりで彼らの作戦全部聞いてて、逃げて、味方に密告して、でもそれもナルサスの罠だったからスパイ容疑を逆に掛けられて自国に帰れなくなってのことだった、なんて彼のエピソードがそーまとー(走馬燈)のように蘇るのでありました。
   そんな感じに一人一人得意分野だけじゃなく弱点とか設定してあるから楽しくって。
   パーフェクトな解放王とその愉快な仲間たちは、第2部に入って、もう敵は地上の人間なんかじゃなくなりました。ペルシャ神話にホントにいたらしいですが、蛇王ザッハーク。両肩からヘビ生えてて、人間の脳みそ食べるんだって! きゃ~!! ヴォルデモードなんかへでもないですね。向こうは死んだ人間を生き返らせ、鳥人間や羽の生えた猿とかを使役する妖怪軍団なのです。それなのに、味方は多少精霊の声を聞いたりできるだけの女神官ぐらいしか霊能力者ぽいひとはいないのです。大丈夫か? 隣の国とかはひたすら当てにならないし。危うし! アルスラーン!! 

   作者の田中芳樹と言えば、序盤書いただけで途中で投げ出したシリーズがいくつもあるように言い伝わってますが(90年代にはいろいろ新しいシリーズ出してましたが、完結したものはとんと耳に入らない。タイタニアとか、レッド・ホット・ドラグーンとか七都市物語とか、クランとか、どうしたのよ! 後半二つは他の方に書いてもらうことになったようですね)これだけは、がんばって完結させて欲しいものです。切に願ってます!

   あまりの原稿の遅さに(さらにオトナの事情があったとかで)出版社を変わって、今はカッパの光文社から出てます。挿絵画家も変わってさ。ま、イラストで読んでるわけじゃないけど、「ナバタイの鉄鎖術の名手」というトゥース卿(3人姉妹を紹介されて、誰か一人に決められなくてまとめて3人嫁に貰っちゃったシアワセな人でもある)の挿絵で、その鉄鎖がマンマ、ニンジャ映画の鎖鎌だったのを見たときはさすがに萎えました。オイオイ。鎌がついとるとは一言も書いてないだろう(実はコレが言いたかった)。

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