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2006年12月 3日 (日)

Yes, but No サンタさんの季節に

   12月にはいったらもう商店街はクリスマス。仙台の中心部、クリスロードの高いアーケードには大きな仙台四郎のサンタの風船が揺れています。
   仙台四郎というのは、ローカル福の神。戦前に実在した人物で、知能に後れがあったらしいですがいつもにこにこと出歩いていて、町の人も「しろばかさん」と呼び(まあ、あまり障害者に言葉で配慮する事のなかった時代です)親しんでいたそうな。それが、四郎さんが立ち寄る店は何故か繁盛するということで(昔話みたいに、良い心でこびとやら妖精やらに親切にしてやると良いことがあるというということだろうけど、純粋にそういう裏表のない気のいい人のお店はふつうの人も贔屓にしますね)、彼は福の神あつかいになったということです。というわけで、仙台の古い店の長押の上なんかにかざってある坊主頭で懐手をした福々しいお兄さんは、そういう生ける招き猫の肖像写真なわけです。
   余談が長くなっちゃったよ。
   そういうクリスマス前には、アメリカの新聞では必ず掲載される社説があるんだそうで。「Yes,Virginia……」と始まるその文は、「サンタさんはホントにいるんですか?」という小学生ぐらいの少女の投書に対する返事として書かれているそうです。「そうですとも、ヴァージニア……」ただそれは子供だましなのではなく、行儀良くしていれば報いがあるという硬直した道徳話でなく、ひとを愛する気持ちの大切さを語ったよい文であったらしいです。
   わたくしは仏教徒でありますし、幼い頃は何も考えず存在しているだけでふつうに優等生だった(本が好きで成績がよい、先生の言いつけは守る)ので、ただよい子でいるだけでプレゼントをもらえるというのはなんか申し訳ないような気持ちになっていたのでしょうか、クリスマスには懐疑的でした。そんで、こういういうのを書いてみたと思いねえ。

    サンタのいないクリスマス    
                   90年代一世を風靡したあのアニメの登場人物たちを

                   想定して読んでくださるとなお楽しめます。

 

 例によって皆の揃ったB家のリビング。今年のクリスマスは年少組が成人
してシャンパンが解禁になったので例年にない盛り上がりだ。
  「ねえ、そういえば皆いつ頃までサンタクロースを信じてた?」笑い上戸らし
いMがキャラキャラと笑いながらネタを振った。
  「んなもん、いるわきゃーねーだろーが。オレはガキの頃から信じちゃいな
かったぜ」Aが笑い飛ばす。
  「そう? あたし小学校3年生まで信じてたけどなあ。Aだってちゃんとプ
レゼント貰ってたじゃないの」
  「よく考えろって。おめえみたいないい子ちゃんはともかく、オレ様のような
ワルガキにサンタだろうがヨンタだろうがただで物をくれるわきゃーねえって」
  「そりゃーそーだ。Aのことだ、チビの頃から世間さまに迷惑ばっかかけて
たんだろーしな」Bが頷いて見せる。
  「おめーが言うかよ、このタコが!」ふてくされるのを、
  「まあまあ、それじゃ、誰がくれたと思ったんですか、A?」と、Cがと
りなす。
  「いや、きっとそんときそんときのオフクロの<お友達>が、機嫌とりに買っ
てくれてたんだと思ってて、いっぺんオフクロの奴にそう言ってやったら、あ
のババア、真っ赤になって泣いて怒ってよ、・・・親父だったみたいだな」A
には戸籍上1度も父親がいたことはない。一同言葉に詰まる。

                                         <続きます>

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コメント

   <続き> 
  「C、おめえなんかは当然幼稚園の頃には・・・」Bが慌てて秀才に振る。
  「オレですか? 中学に入ってからですよ」
  「な、なんでまた?」にっこり笑われてBは絶句した。
  「父が死んだらサンタが来なくなったんで」
  「うっそー! 何でCさんが!?」
  「いえ、洋ものの妖怪にそういう奇特なのがいるのかなあって・・・」
  「・・・あんたって最高」MとNは笑い転げたが、AとBはあんぐりと口を開けたまま視線を交わしあった。
  (そりゃあ、狐の妖怪だの雪女の親戚だのが実際いる世の中だけどよぉ)
  (サンタクロースって妖怪か?)
                 <続きます>

投稿: まいね | 2006年12月 3日 (日) 14時41分

   <続き>
 「そういうBくん達はどうだったんですか?」少し赤くなってCは霊感姉弟に振った。
「オレんちはサンタが来ないうちだったからな、なあ、ねーちゃん」
「そうね、信じる以前の問題ね」
「何でぇ、それ」Aが目を丸くする。
「親父がよ、『サンタは世界中の子供たちにプレゼントを配るんで大変だから、うちは遠慮しような。父さんがその代りにお年玉一杯遣るから』って」
「今思うと知能犯よねえ。お陰で敵は出費を1回に抑えられたんだから」
「それで納得する所がBくん達よねえ」Mはなおもケラケラ笑っている。
「じゃあ、実際の所はどうなんだよ?」LとCは微笑んだが、Aは呆気に取られて。
「・・・やっぱ、小学校6年、くれえかな。○○なんかが話してるの聞いて」
「あたしは小学校2年くらいね。そこらじゅう歩いてるサンタからはそんな有り難い<気>がしないもの」霊感少女は醒めていた。
           <残り1回>

投稿: まいね | 2006年12月 3日 (日) 14時43分

  <続き>
 「それじゃあ、サンタクロースという妖怪はいないんですね」黙って話を聞いていたLが首を傾げた。
 「いいえ、サンタクロースはいるのよ」Nは笑った。
 「誰かが誰かに幸せでいて欲しいと思ってる限り、この世のどこかにきっとね」異を唱えたのはC。
 「違いますよ。サンタなんてひとはいません。プレゼントをくれるのは知らないどこかの奇特なおじさんじゃあありません。そのひとを大切に思っている身近のひとですよ」
 「Lちゃんの子供にゃあきっと来るぜ。目つきの悪い、黒尽くめの奴が」Aが意味ありげに。
 「そうそう、夜中に窓を開けて入って来て、ついでに食べ物をたかって行くんですよね」Cもくすくす笑って。Mはきょとんとしたが、
 「はい!」Lが目を輝かせた。
 「何だよ? 魔界のサンタってのはDみてぇだな」Bが首をひねっていると、煙突ならぬレンジフードを壊して黒衣の邪眼師が顔を覗かせた。
 「A、来てやったぞ。今日は何を食わせてくれる祭りなんだ?」

  SANTA CLAUS IS COMING TONIGHT!
                             <おしまい>

   わたしの答えは
「はい、サンタクロースはいます。でも、本当を言うといません。それはこういうことなんですよ……」
   イラク出兵時にアメリカの子どもたちがイラクの子どもたちにクリスマスプレゼントを送ろうという発案をしたというニュースが流れました。何考えてんだよ。彼らはムスリムだよ、イエスキリストの誕生日なんか祝うわけないじゃん。
   でも、そういう無神経なほどの善良さもまたアメリカの魅力なのでしょう。そういう、小さいもの、弱い者を思いやる心がある限り。
   世界はきっとだいじょうぶ。

投稿: まいね | 2006年12月 3日 (日) 14時51分

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