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2006年9月 1日 (金)

仁義なき隣人戦争

   6月ごろですかね? 管理人さんが眉をひそめてわたくしを呼び止めるなり、
   「実はお隣からお話しがあって」
   うちがうるさいと。
   はあまあ、わたくしも経験がございますから。今度からCDかけて歌うときには窓を閉めますです……?
   「夜、一晩中作業の音がうるさいって」
   「は?」
   作業って、ああ、旦那様が、11頃からちょっと仮眠をとられて、2時か3時ぐらいに起きてごそごそ趣味の自作パソコンをなさってるのかも知れませんな、よう知らんけど。うちは真ん中の和室で雑魚寝しておるので気になりませんが、旦那様の書斎は廊下側、ほかのうちで寝室にしている部屋です。
   「まぁ、伝えておきます。でも、作業ってそんな音のするようなもんじゃないと思うんですけど。あ、この季節ですから除湿器と空気清浄機はガンガン回ってますね。旦那が喘息で。洗濯物も乾かないし。またこの除湿器が年代物でスゴイ音してるんです。ああ、やっぱ響いていたんだ。すみません、夜は消します」
   「まあ、今はみんな夜更かしだし、おたくは夜の遅いお仕事だし。とにかく気を付けて」
   で、一度は納まったんですけど。と、その時は旦那様部屋のある右隣からだとばかり思ってました。
   「ンなこと言って、自分トコだって朝からドンドン釘打ってんだかエライ音させてたことあるじゃんか」と、内心イロイロ思ったんですけど、非常識な時間に起きてるのはうちの夫婦の方だし。ま、以後気を付けますと言った手前、除湿器は寝る前に……
   「そー言えば、あんまりうるさいからうちの子も文句言って、消してたよ、前から」
   いったいなんの作業だというのでしょうか。

   ところが、7月の終わり、夜9時ぐらいにチャイムが鳴って、玄関先に「隣のものです」って来るじゃありませんか。わりに年も近い、ふつうのサラリーマン風の男性が。
   「左隣の××です。はじめまして」
   そーですね、はじめてお目にかかりますね。挨拶に行ってもいなかったし日中ひとけもないし無人だと思ってましたわ。
   「管理人さんから話は聞いてると思うんですけど、わたしちょっと夜遅い仕事をしてまして、毎日帰宅が2時か3時になるんです」
   ほーそりゃ大変ですな。
   「もう、足音を忍ばせて、うちのものには起きてなくていいって言って、すごく気を遣って入るんですけど、それで、やっと寝られるって床に入ったら、おたくが毎晩どんどんどんどんやるんですよね。やめてもらえませんか?」
   やめてもらえませんかって、そんな。
   「まあ、すいません、こちらのお部屋の方だったんですか」
   つい天然ボケというか慇懃無礼な態度になってしまいます。
   「うちもね、なにも子供さんがお昼に廊下を走るとか、お風呂の水音とか、そういう生活でどうしようもない音についてはなにも言おうとは思ってないんです。当たり前でしょう?
   ただ、夜に、ひとの枕元でどしんどしんってのは困るんです。少なくとも3時から朝9時までは寝てますんで、やめてもらえませんか」
   「まあ、ごもっともです。おつらかったでしょう。申し訳ありませんでした。でも、作業って聞きましたんで、なにかモーターとか、動かしてる音のことだと思って、うちはパソコンをちょっといじってるだけでそんな音しないのにと主人と申しておりましたのよ」
   我ながらどこから出てるんだこんなオンナ言葉と思いましたです。
   「作業って! どすんばたんって音ですよ! ものをひっくり返すような! こっちも頭に来てこっち側からも叩いてやってたんですが、どうです、響いたでしょう! こんな音がしてたんですよこっちは!」
   「それは手が痛かったでしょう」……って言ったかなあ。
   「まあ、それは、わたし夜中に突然思い出して服を捜したことはあったかも知れませんが、毎晩じゃないですよ。こちらの窓から見て頂くと解ると思いますけど、お宅様側はうちは物置にしてまして、人はいないんですのよ。ものを取りに入ることはありますけど」
   本を探したことはあったねえ。毎晩じゃないけど。ついでに箱をひとつぐらいひっくり返したかなあ? とにかくいろいろ積み重なってるんで。響くと思わなかったよ、意外と安普請です、ダイヤパレス。
   「とにかく、こっちは生活でしょうがなく出る音についてはなんにも言う気はありませんから、夜の物音だけ気を付けてくださいよ」
   「本当に失礼しました。でも、管理人さんがお隣とだけしか仰らないから、こちらの右隣のかただと思ってましたわ」
   「響いたでしょう! こっちから叩く音が!」
   「ええでも、日中うちはこちらにおりませんから、居間の方にいて、右の方が棚でも吊ってるんだろうと思ってましたんですよ」 
   「そんなことがありますか!」
   「だって、本当にそうなんですよ。そちらは人が住んでないと思ってましたし。今日ご注意して頂いたから今度から気を付けますね。本当にご迷惑をおかけしました」
   「……とにかく気を付けてくださいね」
   なんとかご納得頂いてお引き取り頂いたんですが。子供にも、以後夜中に物置に本を取りに入らないよう注意して(幾らなんでも3時4時は彼らは寝てるけど)。

   ところが、昨日の朝、また今度は台所の方の壁が、まさしく左隣から激しく叩かれたのです!
   「なんだよ? ゆうべはなんもしてないぞ」
   「おかあさん、昨日ロックアイスが固まって取れないって台所の壁に叩きつけてたでしょ」だって、タイルなのはそこの壁だけだったし。2発目からはヤバイと思って反対側のうちの内部の壁に向けてやったけど。
   「……豹太はかしこいな」

   しかし、隣がうるさいときはこっちからも叩き返すのが礼儀なのか。知らなかったよ。とばっちり食らった上下の人、ごめんね。

   てなことを相談しましたら。
   「ほほほ~うちは左右畑で仕切ってるから夜中にBSのクラッシックを大音量でかけててもなんも言われんわね~」嗚呼、早乙女おかあさん、金沢の一戸建て生活がウラヤマシイですぅ。BSがハイビジョンまで導入済みという環境も。

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コメント

集合住宅は学生の頃住んでましたが、住むことになる前に母からこんこんと諭されました。曰く、野中の一軒家ではないのだから、戸を開け放すな、でかい音で騒ぐな……
小心者の私は、トイレの水さえ、12時以降は流せませんでしたっけ……はじめの頃は。

東京は仙台よりもそういうの、うるさいのでは?

投稿: とむ影 | 2006年9月 6日 (水) 15時40分

そうそう。ドイツでは夜トイレの水を流すのも叱られるとかいう話をどっかで読んで、気を付けなきゃとか思ってたんですけどねえ。
最初に入ったのが大学の寮で、オールナイト電気点けっぱなしの放歌高吟状態で(あんたは大正時代の学生ですか)。いけないいけない。
その後は多少小ぎれいとはいえ普通のアパートで注意してたんですが、有名なマンションだからって安心してしまいましたかね。
「わたし音楽好きなんですけど、CD大音量でかけて一緒に歌ったりして大丈夫ですか?」に、セールスマンさん揉み手して
「大丈夫でございます!」……信用するなよ。いや、歌声とものをひっくり返す音は別ですから。

投稿: まいね | 2006年9月 7日 (木) 03時14分

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