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2006年6月10日 (土)

「アンダーザローズ」冬物語

   第2土曜は野球はお休みです。オールオーヴァージャパンでスポーツ少年団がそうなのか、M山スパローズだけがそうなのか、存じませんけれども。とりあえず、みんな小さくなってしまった半袖Tシャツを二人分買いに行かなくちゃ、と麓へ出かけましたです。お買い物を済ませて、れいの脳外科に行って書類を書いてもらおうと駅前ターミナルに向けて歩いていると豹太が申しますんで。
   「おかあさん、本屋は行かないの」ギョクッ!
   「だって、おかあさん、買い物に出ると必ず本屋に寄るじゃない」
   いや、そんな、必ずじゃないだろ。でも、たしかに今度町へ出たら「嘆きのサイレン」のコミック版2巻がもう出てるそうだからそれを捜そうと思ってたり……。
   おかあさん、子供を連れて喜久屋書店に行っちゃいました。
   「この本屋、立ち読みしていいの!?」こらこら、そこに感動するんじゃない。
   「見本として出ている本だけだ。キレイに読め、読んだら返しておけ」と言い置いて、おかあさんは女性向けコミックその他出版社の棚へ。見つかりません。そのうちどんどん話には聞いたけど読んだことない本の見本が現れてわたくしを誘惑するじゃありませんか。
   「……ハッ!」20ページも立ったまま読み込んでいてしまって、腹をくくって用意されてるベンチまで行って、じっくり腰を据えて読み込みました。子供は放置。
   「アンダーザローズ
   なんで紹介されていたんだっけ。ヴィクトリア調の陰惨なミステリ風物語です。主人公は美貌と才能を誇るコーシャクレイジョウ、グレースが産んだ私生児兄弟の兄、なんて言ったかよ、忘れた(ヒドイ!)。ライナスだっけ、「ピーナツ」のあの彼との共通点が全くないから覚えることを脳が拒否したのかな。1話めでいきなりメイドからあんたなんか大嫌いとか絶叫されてるヤな坊っちゃんです。どうも、私生児ってことで、体面を重んじるじいさん(当主である侯爵)にヒドイ扱いをされてたらしいですな。おかあさんのことを淫婦とか教え込まれて。こいつはキツイ。幼い弟えーとロレンス? は、まだいとけない年頃で、もう泣いたり笑ったり可愛らしいこと。この二人が、父親ロウランド伯爵に引き取られるところから物語は始まるようで。二人を迎えに来てくれた笑顔の優しいメガネにーさんは、じつは執事さんじゃなくパパだったのです。うわ。この穏やかでチャーミングな人が奥さんの他にグレースを同居させつつ2人も庶子を産ませ、さらに領地の外れに囲った医療助手にも2人産ませてるエロ親爺だったなんて! しかも、奥さんにも4人息子が。
   あんたカソリックですかい?(いや、違うから)
   ヴィクトリア朝ってのは、家族愛が盛り上がってきた時代って言いますけどね。
   一目惚れの奥さんを尊敬し、愛し続けながらも、同時に奔放で才気溢れるグレースと恋をすることができるってのは、いったい男のどういう心理の現れなんでございましょうか。この館で墜落死を遂げたというグレースの死に疑いを持つライナス以上に、この家の人々の心に深く興味を抱かずにおれません。
   グレースが魅力的な女性であったことが堰を切って語られても、死の謎は簡単には解けず、4人の嫡男たちはみなみな魅力的に生き生き描かれていきます。謎解きに専心するために弟を突き放すライナス、突き放されて、一番年の近い義兄アイザック(けっこー野生児)になついてしまうロレンス。その上はいかにも上流っぽいすかしたようなグレゴリー、でも根は悪くなさそう。優等生のメガネくん次男ウィリアムは、マザコン通り抜かしてエディプスコンプレックス入ってるっぽい。長男アルバートは女たらしと見えてけっこーいい兄ちゃん、でも必要とあらば手を汚すことも辞さない。やっぱ、跡取りらしい上に立つものとしての気概が感じられます。この息子たちの造形が素晴らしい。
   さらに、その彼らを取り巻くメイドたちね。もう。メイド萌えのひとには堪らない? いやそういう表層的なものでこの作品を見るのはまちがいでしょう。
   偽善を取り払った跡に残ったものは直視しがたい事実、そして、それを覆う深い愛。よろしいじゃありませんか。
   物語が2章に入ると、新任女性家庭教師レイチェルを迎えて主人公はウィリアムに移ります。メガネおねーさんとメガネにーさんの対決です。さて、二人は自分を縛っているものから自分を解き放つことができるのでしょうか。
   ってさー、見本は2巻までで、最新刊3巻の見本は出てなかったのよね~1章よりさらに陰惨という噂の3巻はいったいいかなる内容なのでありましょうか。
   買うか? ちょっと待って~

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