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2006年5月30日 (火)

「功名が辻」21 犬も食わない

   とうとうこの日が来ました。山内一豊の妻のメインエピソード、へそくりで馬買っちゃうぞ! の回です。長かった。原作では1巻に既に出てくる話だそうで、こんな半分近くまで話を引っ張ってどうすると2ちゃん大河板ではたびたび懸念されてましたが。
   安土城が完成して、城下にショッピングのお二人さん、オープニングで「踊り」とか「商人」とかクレジットが出てたと思ったら、ほとんどはこの開始5分に集中出演です。賑やかな様子、確かに心浮き立ちます。踊りの輪に誘われて、思わず踊っちゃう千代さん。気持ちは解るな。「どうして見ているだけですませられないのだ」って、あとで一豊さまに叱られて。うんうん。カワイイ奥様です。いろんなお店が立っていて、肩を並べて歩きながら、あら、きれいな扇と立ち止まるとすかさず商人が売り込む、それをすぐ懐に手を突っ込んで「幾らじゃ?」って、一豊さま太っ腹~♪。でも、女心は解ってない。値切ったり、他のを出してこさせて比べたりが楽しいんじゃない。慌てて「よいのです」とまた歩き出しながらご機嫌な千代さんもいいな。こういうシーンはウマイです、大石さん。でも、一応昔の人なんで、旦那様より半歩先を歩くのはいかがな物かと。いや、朱子学とやらの影響で女が男にへつらいはじめるのは江戸時代からかも知れませんから、意外とこれで時代考証的にはオッケーなのかも。NGなのは頭の固い視聴者側だけで。でも、
   「今まで戦に明け暮れて何もしてやれなかったから」なんて千代さんを思いやる台詞はマンマ最近のおとうさんみたいでやっぱ違和感よ。一豊さまの好感度は上がったにせよ。
   それが、堀尾君たちが色めき立って
   「馬市じゃ。いい馬が出るぞ」なんて聞いたら、一豊さまもソワソワして、「すまん」って、奥様を置き去りに。そうか、新車発表会みたいなもんか。うちの旦那様だとオーディオの見本市? 解るな、確かに女性は置き去りだ。
   「いい馬とはどんな馬だ?」と旦那様から突っ込み。うちの旦那様には競馬の趣味はありません。
   「毛並みでしょうか?」
   「色が白いとか? そもそも日本に白馬はいたのか? 三毛の馬はいないのか?」もう、続けざま。暴れん坊将軍様の白馬はあれは現代のサラブレッドだしなぁ。
   「聞いたことないです。やっぱ白馬は王子様仕様で……昔からあったかも(白馬の節会ってのがありますな、今にして思えば)。マダラ模様はあったらしいですが。やっぱりヘンな模様だと格が落ちるのかも……やっぱ、体格じゃないですかね、お尻が締まってるとか、脚が太いとか」なんて話してると、時代がかった台詞回しのバクロー(博労)が登場。引いてる馬は……おかあさんには善し悪しはわかんなかったです。ここで、加藤お虎清正登場。ふむふむ、いせいのいいアンチャンです。彼が黄金4枚の値を付けたのにバクローさんは笑殺。堀尾君、中村君その他が値を付けて、おいおい、これはオークション? と思ってると、お馬ちゃんに魂を抜かれた一豊さまをみとめてバクローさんが
   「お侍さまに値を付けて頂きましょう」と。一豊さまはもうどうせ買えないしと思ったままに「金10枚!」これが黄金伝説の始まりでした。
   あからさまに心を奪われた感じの一豊さま、おうちに帰って千代さんに
   「いい馬いたんだけど思わず金10枚!って言っちゃってさ。笑えよ」って。でも、千代さんは金10枚の言葉にびっくり。例の、不破のおじ上が持たせてくれたへそくりと同額なんだもん。むせちゃって。それを、
   「な~、バカな話だろ、笑っていいよ」って、ああ、一豊さま真っ直ぐすぎ。それで、引きつり笑いからヤケ笑いに変わってゆく千代さん。翌日、もう意を決して……あんた、例のへそくりは肌身離さず持ってきてないんですね? 鏡箱とか伝説に言ってるから肌身離さず、ていうか、安土に来てたらとりあえず持ってきてるかと思えば、馬乗り袴の乗馬スタイルで「馬に乗ってきます」って、吟ジュニアに決然と告げて。「……お勇ましいことで」と呟いて、でもびゅん、と槍を振り回す吟ジュニアの今週の見せ場はこれだけ。それで長浜のおうちまで日帰りしちゃうんだ。お供はいらないの~? そんなに近いの? 安全なの? それだけ頭がへそくりオンリーになってて、下手なちんぴらは声を掛けられない状態だったのかも知れませんけど。そんで、いきなりおうちに戻って、お女中たちもびっくり。
   「すぐ戻ります」って言い置いて、奥の間に入って、敷居に脚を引っかけて転んで。あ~あ。それでも這って地袋(って言いますか? 下から30センチぐらいまでだけの押入)を開けて、中の箱コレが鏡箱? 確かにあの時代の丸い鏡を入れるに丁度よい丸い形の浅い箱を開けると、火事で焼けたとおぼしきほとんど炭化した箱の中に、ウコン染め(防虫にいいんです。うちの和服用のタンスの中はお着物は一段ずつこういう布で畳紙ごとくるんで入ってます)の布にくるんだ小判よりちょっと細長い金がひーふー~10枚。在りし日の不破夫妻が回想シーンで流れます。ああ、ホントに「忘れて」いたんですね(素直すぎ)。使うのは今だ!
   って、千代さん、その金を巾着に入れて、じゃらじゃら言わせながら腰に付けて帰りますか!? ヒモが切れたらどうするの!? これは首から提げて懐でしょう!?
   で、余裕の出た帰り道に、もう1レヴェル上がって
   「俺は死なぬ! 天がこの信長を生かしおるのよ!」と放言するようになった信長様に恐れを成して光秀と密会(しかし拒否られてもう失意のズンドコ状態)した帰りの濃姫を拾ってしまうのでした。千代さん、何気に重要人物と出会いすぎ(主人公が一般人に近い大河の場合ありがちらしい。往年でいうところの「黄金の日々」のルソン助左右衛門や、「利家とまつ」のおまつさま)。身分を明かさない濃姫をうちに連れ帰って怪我の手当をしてやって優しくしているうちに一豊さまご帰宅。
   さあ、へそくりだよ、これで馬を買ってと一豊さまに見せたら、なんと、意外なことに一豊さまはご立腹なのです。
   すごく違和感がありました
   前半はらぶらぶだったのに。なんで旦那様の欲しい馬(しかも必要装備だ)にへそくりを放出して怒られるの?
   このドラマの千代さんはちょっと天然のカワイイ奥様なのに、なんで「そちは情がこわい」とか、「頭良すぎ」なんていわれなきゃならないの?
   これは、大石さんがいけませんな。
   どうやら、詳しい人によると、ここの台詞だけ(!)は、シバリョーの原作のママらしいです。ほとんど変わってないと。ここまで、千代さんのキャラクターやら、結婚のいきさつやら六平太の存在やら、改変しまくりのオリジナル入れまくりなのに、ここの台詞だけ、(ここがハイライトなもんだから)原作から忠実に持ってきてるんです。
   そりゃあ、いかんよ。
   原作の千代さんは、最初、一豊さまのことをれ~せ~に観察して、
   (この人はここんとこがチョット足りない、わたしが補足してあげないと)なんて考えて、実行して成功しちゃう人なんです。ちょっとイヤかも。一豊さまはうまく乗せられて、俺はもしかして世渡りウマイ? なんて思っちゃってるかも。いや、千代さんのおかげとは思ってないけど自分でやったとも思ってなくて、「運いいな」ぐらい。収入に不釣り合いなぐらい家来を持ってて、それが負担で昔っから貧乏所帯って、それは飢え死にしかけた最初のころしか描いてなくってさ。あんまり切実感ありませんことよ。家来が多いのは、吟に鉄矢を侍らせてただけじゃなく、出世のためには家来が大事、と、原作の千代がうまく誘導して旦那様自身にもスカウトに行かせ、自らもおじ上にお願いして人材募集してたからなのです。そーゆーことを踏まえて「お金あったんだったら出せよ!」って怒りがあったと思うんですけど。なんかドラマでは薄かったですからね。
   「こっちは浮気の話まで吐いたのにこんなだいじなこと隠してて!」って怒りもあるみたいですが、それとこれとは別にゃ~ん。
   とりあえず、そこで原作千代は「ヤバイ、とりあえず泣いとけ」とばかりに泣いて、そういうことができる自分にまた泣いちゃうんですが(才女は辛いよ) 、ドラマのカワイイ千代さんは旦那様に怒られちゃったよ~とばかりに泣くんです。んでもって、またしても八つ当たりも。あくまで天然でカワイイ千代さんと、原作の台詞がかみ合わなかったのでした。
   まあいい。
   シドロモドロになる一豊さまは可愛かったです。
   この二人の諍いを立ち聞きしてしまった濃姫は、自分の心に整理をつけて安土城に戻る決意をし、ついでに
   「山内さんところって奥さんのへそくりで金10枚の馬買ったんですって」と信長に言上してくれたわけです。

   で、あぶない信長様から「10両の馬見せに来い」って。その信長様がその10両馬に乗って現れて。ああ~今日も赤いお召し物です~スタンドカラーの洋服です。その上にモノトーンの陣羽織、背中には不死鳥? クジャクの羽を腰に曳いて、胸にはピンクの椿。カッコイイです。かっこよすぎます! 
   「いい馬だ、俺が欲しいぐらい」って、お二人さんを褒めたあとはまた馬に乗って駆け去って……あぶながさま(省略しすぎ)! 馬返してくれるんでしょうね!? 
   ……これは、伝説では馬揃えという軍事パレードで目立ったということになってるけど、それやると本能寺とか関ヶ原にかけるお金がなくなるくらいお金がかかるのと、どうも史実ではそこに一豊さま参加してないらしいのとを重ねた折衷案らしく。ついでにそろそろ退場のあぶない信長様の見せ場作りと。たしかにこの日一番の見どころでした。あっけにとられる山内夫妻に輿が近付いて、窓があいたらそこには「謎のけが人」こと濃姫。「お方さまよりこれを取らせる」って、砂金は怪我を治してもらったお礼ですか。ま、馬の代価には足りませんが、もらっておきなさい。……都合良すぎな気はしましたが。
   千代さんと一豊さまのところもうまく仲直りできたようだし、濃姫もあぶながさまに最後まで付き合う覚悟を決めたようだし。犬も食わない夫婦げんかの回、コレにて一件落着。
   そんで、拒否っといて夢の中では信長をぶっ刺して
   「お濃はそちにくれてやるわ」なんて言われて跳ね起きてる光秀君、あんまり自分を偽ってると苦しいよ?

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