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2005年9月26日 (月)

ペースメーカーといえば

   日本の女子マラソン界も層が厚くって、誰のエピソードだったか忘れましたが。異様なハイペースでレースを制した女子選手が「今日のペースメーカーさんタイプだったんでがんばって付いていちゃいました」ってのがあったと。そういう洒落をぬけぬけ言えたりするのはなかなかの大物とにやりとさせられてしまいましたが。
   ペースメーカーというのは、ケイタイが近くに来ると異常を来す医療器具の方じゃなくって、マラソンレースにおいて、ヴェテランランナー達が駆け引きを延々やって遅いペースでおもしろみのない試合になることを避けるため(新記録樹立も狙って?)仕込まれるレース上のサクラ、一昔前で言うところのラビットと心得ております。ちょっとハイペースで選手達を引っ張ってくれ、自分は途中で棄権したりしてメダルには預からない、影の存在。今は結構おおっぴらになってるんですね。
   その昔、このウサギちゃんについてのお話しを「読み特」で読みましたよ。
   「読み特」というのは「読みもの特集」の略で、その昔、学研の「学習と科学」の夏休み付録だったと思います。その学年の小学生向けの児童文学なんかを数編まとめて小冊子にしてあって、読書感想文の宿題にちょうど良かったような。活字中毒のまいちゃん@小学生時代は、ひとんちに上がり込んでは書棚の肥やし状態のその本を見せてもらってたんですな。それで読んだのが、その「ペースメーカー」の話。
   どこか西洋圏のとある国のお話。学校対抗マラソン大会があって、主人公のジョン君(仮名)が選手に選ばれる。しかし、優勝を狙いに行く花形ランナーとしてではなく、相手のエースを潰すための刺客(流行りの言葉は押さえておこう)として。コーチに作戦を聞かされて、ジョン君へこみます。最初からバカのように飛ばして、相手校のエースを引きつけて、デッドヒートを演じる。しかし、チームのエース、たしか後輩のフィリップ(仮名)は力を温存していて、後半、彼らが疲れ切ってボロボロになった頃に牙を剥いて彼らを抜き去るというもの。
   「フィリップが一等でテープを切って、その後、沢山の選手がゴールに入る。だが、僕は一番最後に、疲れ切って惨めな姿でゴールに入るのだ! 観客は僕のことを笑うだろう。ああ、お父さんにそんな姿をお見せしなくてはならないなんて!」とかなんとか独白してます。はい、磯野カツオ君ならずとも昔は育ちのいい子は父親にも敬語使ってましたよ。
   それで、いろいろ思い悩んだ末、これも作戦だからとフォア・ザ・チーム、自分を無理やり納得させて彼はレースに臨むんですね。作戦通り彼は前半から飛び出します。事情を知らない自校の応援は大喜びで彼を応援します。相手チームもうまく乗ってくれて、エースともう一人がジョン君に食いついてきます。
   それがね。途中、かなり苦しくなったジョン君、そろそろ脱落してもいいかなと後ろを振り向くと、付いてきてるはずのフィリップがいないんですよ。彼はひとり旅状態で、ちょっと後ろに敵のエース君。かなり遅れて2番手君(?)。作戦崩壊? ジョン君飛ばしすぎて、肝心のフィリップを置き去りにしちゃったんでしょうか? 焦るジョン君、もうゴールは近いです。何度も振り向きますが、汗にゆがんだ視界に、フィリップは入ってきません。もちろん、他のランナーも。
   絶体絶命。
   ここでジョン君がこけると相手校にワンツーフィニッシュ決められちゃいます。ジョン君、限界状況の中、悲壮な決意。
   「このままのペースで完走する!」
   もう、心臓バクバク、足はガクガク。目もくらんで何も見えない状態で、ジョン君渾身の力走で一位ゴールです。ところが、振り向いてびっくり、3位ランナーはフィリップだったんです。相手の2番手ははやばやと脱落しちゃってたんです。コーチは、瓢箪から駒勝利に大喜び。それよりゴールにはお父さんがいて、「みなさん! これは私の息子です!」と誇らしげに抱きかかえてくれたのでした。
   てなお話。その頃はペースメーカーなんてものの存在を知らなかったんで、なんだか胡散臭い作戦、と思って、そんなもんに選ばれてしまったジョン君の傷心を思いやることができましたが。
   今の子はこのお話に感動できるんでしょうか。
   このお話は今どこへ行ったら読めるんでしょうか。

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コメント

う~む、、私似たようなの、少年漫画で読んだ気がする……どっちが参考にしたのかな?
一度刺客としてのペースメーカーをやって、自軍を勝利に導き、みんなによろこばれた少年A君が、その次から、毎回ペースメーカーをやるようになるの。で、ペースメーカーのために優勝させてもらったB君(A君の仲のよい友人)が、それはいかんと密かに思い、A君に、勝利するために走ることを思い出させようとする。そのために、わざと、中盤から、A君しか自軍のランナーはいないかのように思いこませて走らせるの。A君は苦しみながら走り抜き、そして……印象ではちばあきおあたりなんだけど、違うかもしれない……

投稿: とむ影 | 2005年9月27日 (火) 00時46分

うわあ、書いてみるもんだ。それこそ2ちゃんねるの「タイトルを思い出せない話」スレ(でも児童文学板にあったかな)にでも書こうかと思ってたのに。
漫画にもあったんですか。
これはいよいよ調べてみたいですねえ。
でも、現代のペースメーカーくんは結構重要な役所と認識されてるみたいで良かったですね。(いや、やっぱり陸上界ではいまだ否定派も存在する影の存在なのかしらん?)
結構ドラマにしやすいネタかも知れませんね。

投稿: まいね | 2005年9月27日 (火) 12時22分

ああ、私も読んだことあります。
結構題材にされるみたいですよ。ペースメーカー君。
ペースメーカー君じゃないけど、山本有三の『真実一路』って主人公がわざとかけっこに負けるっていうラストじゃなかったっけ?

投稿: アマサイ | 2005年9月27日 (火) 17時44分

   意外に文学作品ネタとして有名なペースメーカーでありますが、本日ぐぐって見ましたところ382000件中頭から65件目までが心臓につけて拍動を補助する医療器具についての記述だったんであります。その後も、ほとんどマラソン競技の陰の立て役者についての記述はありませんでした。ざっと見て、40件かそこらにつき1件以下(受験勉強などで堅調を保つための手段といった用法とどっこいどっこい)。しかも、近年日本陸連でペースメーカーを採用していることを公表したあたりの事情が正々堂々としていない云々と苦言を呈している記事までヒット。……やっぱり黒歴史だったのか。

投稿: まいね | 2005年9月27日 (火) 22時51分

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