2020年9月 3日 (木)

オフィスのライフハック

   変な声出ちゃった。

   弊社のオフィス内にはカバン類は持ち込めないので、オフィスの外、社内の共通廊下にスチールロッカーがあって、荷物はそこに入れ、中のものがよく見える透明ヴィニルの小さいバッグにハンカチや飲み物、筆記具だけ入れてオフィスに入ります。

   そのスチールロッカー、個人で占有は認められていなくて、毎日空にして4桁の暗証番号ロックもクリアしてから帰るよう指導されていたのに、この夏から個人に割り当てに変わりました。もしかして、コロナの影響で毎日消毒するのがめんどくさくなったんでしょうか。個人持ちにしたから、誰が使ったかわからないとは言わせない、それでも気になる人は自分で消毒して頂戴って。

   「早乙女さんはO-666を使ってください」

   えーっおかあさんお腹が出てるから下を向いてかがむのがイヤで、目の高さのロッカーを毎日使ってたのに。

   そういうカンジで、皆さん、かがみこんでゆっくり見られるところがいいひと、立ったまま目の高さで出し入れできるところ、イロイロ好みがあって、てんでに着た順に使っていて、たまに遅刻ギリギリで来ると下の端っこしか開いてない、空いてるロッカー探してる間に業務が始まっちゃう、そういうことの防止もあったのかもしれません。

   「でも早乙女さんこの夏膝を痛めてかがむのが大変そうだから」

   熟女のヘレンさんが気を遣って管理者にロッカー代わってくれるって言ってくれたそうですが、みんなして好き放題に交換したら収拾つかないからって却下されたそうです。ここはヘレンさんの優しさだけ覚えておこう。

   しばらくはそうやってやりくりしてたんですが、

   「やっぱマグネット欲しいわ」

   建設的意見が出ましたよ。

   スチールロッカーはどこも全く同じ作りなのに、名札をつけることはしてくれなくて、個々人で割り振られた番号だけ覚えてくださいって、めんどくさい、覚えきれない。自分のロッカーに目印をつけたいってことで、前、毎日自由に選んでたころは、頭のイイ熟女が自分のロッカーに可愛いマグネットを自分でもってきて、その日使用するロッカーに貼り付けて目印にしてました。帰るときには外して帰ればいいから、お主、やるな、と思ってみてたんだけど、みんな真似して色とりどりのを貼るようになったら外見がなんとかいって、偉い人に怒られて禁止になっちゃいましたが。

   今回は解禁になって、皆さん思い思いのマグネットを持ってきて貼り付けるようになりました。可愛いキャラクターものとか、100均で買ったのよという割にはおしゃれなものとか、いろいろ。

   ……早乙女さんとしてはやはりアニメのものを期待されているであろうか。

   おかあさん余計な事考えてないでさっさと100均行きなさいよ。

   ……昔ジョジョのイヴェント行ったときに買ったアバッキオの可愛い絵柄にディフォルメしたマグネットあるけど、ちょっとこれは趣味出しっぱなしだな。

   ……この前バラ園行ったとき買ったもうロマンティック120%なのもあるけどもったいない、誰かに持ってかれたら泣いちゃう

   ……今すっごくはまってるのは吸血鬼すぐ死ぬだけどまだそういいう小物出てないよな。

   イロイロ考えたんですけど、思いつかなくて、こないだ出がけに玄関をみたら、いいのがあったから持ってきました。

   「やあーだ早乙女さん!!」

   水道の修理をやってくれる業者が困ったときには、とチラシ代わりに冷蔵庫にでも貼っといてくださいとおいてった柔らかい素材のマグネット。業者さんの連絡先電話番号と公式にちゃんとお金払ってるのか心配なピンク色のキティちゃんのイラスト付き。

   「これだったら失くしても惜しくないし他人と被ってないから」

   けっこう受けたんだけど、そのころにはみんな自分のロッカーを体で覚えて、何も考えなくてもさっと前に立ってドアを開けられるようになって結局マグネット要らなかったな、なんて思ったりして……そして昨日。

   「フアッ!?」

   開けたロッカーに入ってたのはわたしのバッグではありませんでしたよ。

   「早乙女さんそこはわたしのロッカー」

   落ち着いた声で隣のお姉さまが声をかけてくれました。

   「失礼しましたッ」

   今そこに立ってスマフォをいじってるのでロックをかけていない状態だったので引っ張っただけで開いたんですが、だからって、なんで人様のロッカーを開けちゃったの!? と見たら、そこにはわたくしのピンクのキティちゃんが貼ってあったのでした。

   必要ないとか言いながらしっかりピンクのキティちゃんは目印の役に立っていたと。

   お姉さまに断ってキティちゃんのマグネットはわたしのロッカーの扉に移動させました。

   さて、そのオフィスに入るためのカードキーは、全員ケースに入れて首からストラップで下げているのですが。

   あれって、邪魔じゃないですか?

   胸ポケットのあるシャツをお召しの方はストラップ付けたまま胸ポケット入れればいいけど、わたしはふつうポケットのないブラウスかカットソーなので、入れようがありません。でも、ぶらぶらさせてるとちょうどデスクにつく長さなので、メモを取るにも邪魔、垂れさがってお腹とデスクに挟まってカードケース部分を痛ませちゃって、心配。

   紐を途中でくくって短くしていると、今度、ドアを出るときにスキャナ部分に読み取らせようとしたら短すぎてうまく届かなかったりして。

   別の熟女先輩の後姿をみたら、なにか金具が光ってる。なんだろ、とみると、首の後ろでキーホルダーのようなものをストラップに絡めていて、その重さでカードホルダーを後ろへ引っ張っていて、前が適度な長さになるようにしてます。別にくくったりしてないので、ドアを通るときは素直に引っ張れば前に必要な長さで出てきて、使い終わったらまた後ろへ引けば適切な長さに戻る。

   素晴らしい!

   自分も、と、バッグに付けてたチャームを括り付けてみたんですが、重さのないえーとラバーストラップのようなものだったので、カードホルダーを引っ張っておけなくて、目的は果たせませんでした。

   ……もっと重さのあるもので、ちょっと可愛いもの、何がいいだろ?

   しばらくファッションビルをぐるぐる回ってみたんですが、ちょっとわからない。3日ぐらいイロイロ見て回って、なんとか300円ショップで見つけたのが、バッグチャーム。ころんとした丸っこいアクリルのハート型チャームで、ネックレスのカンのようなワンタッチでつけ外しできる金具がついてました。

   丸すぎて背中が痛いかなと思いましたが、背もたれに届くほども長くしないので意外と平気でした。

   これ、使える!

   引っ張ればドアを通るときはちゃんと前が長くなるし、通り終わったら首の後ろを長くたらせばよくて、とくに固定しないけど下がりすぎもしないのでちょうどよいです。

   気が付くと結構みなさんイロイロ工夫してました。

   とある熟女は、この時期ドアノブもあまり触りたくないから、と、バーになってるドアノブに引っ掛けて引いて開けられるような金具部分付きのチャームをつけていました。さすが!

   皆さんイロイロ工夫して日々便利にお勤めしておられます。見聞きするのもまねてみるのも楽しい!

 

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2020年8月31日 (月)

十角館の殺人 ― コミカライズに感謝 ―

   ミステリにもいろいろあって、「映像化不能作品」というのがあります。

   物語の中で、犯人や社会状況がミステリ、「なんでこうなるの!」っていう事件を作り上げてしまうのではなく、お話の語り手がいろいろ工夫をしていて、あり得ない状況を作り上げていたというお話。たとえば主にに動いて謎を解き明かして行く立場だったひとが実の犯人だったり、男性だと思われていた人物が女性で犯人だったり。

   これって、小説だからできるんであって、映画や漫画では読者には絵として情報が提供されるから騙されないでしょう! って。

   「十角館の殺人」綾辻行人作画清原紘は、ごめん、そういう作品です。

   大学の推理サークル、どんだけ痛い人々かって、有名なミステリ作家の名前をサークル内のあだ名として名乗って、それで普段も呼びかけているようなガクセイ! その作家のファンで自ら名乗っているのか、作家のキャラクターや作風に本人が通じるところがあるのか、作中描かれたかな、覚えてない。

   そういう痛い学生たちが、近年4重殺人事件があったといういわくつきの孤島のコテージに出かけていこうという企画。その留守に、その痛いメンバーとはとある事情で袂を分かった状態(?)の学生たちに怪文書が届いて、離脱組もなんだか事情を調べに動き出してしまう……。いったいやつらは何をやらかしたのか。島に出かけた連中も、「第一の被害者」「第二の被害者」なんてプレートを見せつけられて、自分たちが余裕こいて創作物のミステリをああだこうだ論じる立場から、被害者や被疑者にされるご身分になったことを暗示される。……大丈夫?

   そして惨劇の幕は開いた!

   痛い学生たちは醜い内輪もめの末……!?

   これ、原作読んでるときは、明らかに名探偵ぽい名前の離脱組がいろいろ本土で過去の事件のしがらみを調べてる間にどんどん離島組が殺されて行って、ハラハラドキドキしましたけど!

   ただ、わたしはそのころはあんまりミステリ読んでなかったからシマダキヨシって名前がピンときませんでしたけど。ミタライキヨシって名探偵がいるんですって。島田荘司って作家さんのシリーズで。そういうギリギリ、マニアにアピールする仕掛けがしてあったみたいで。

   もうひとつの仕掛けは解った。江南とかいてかわみなみくんと守須くんが離脱組で、潔探偵が「コナン君」って呼びかけると「その名では呼ばないでください」むっちゃ嫌がるけど、かわみなみくん自体は守須くんには「ドイル」って呼ばれてる。ああ、じゃあ、守須くんは名探偵コナンみたいにルパンの作者でペアなのねって、と、思うじゃん!

   かわみなみくんはそういう痛いノリがいやで離脱したのかというと……。

   ちょっと前、サークルではメンバー女子が死んじゃうという痛々しい事故があったのでした。

   じゃあ、怪文書どおり、逆恨みの責任追及で亡くなった千織ちゃんの父親が地獄から舞い戻って連続殺人をやってるの???

   とりあえず島のどろどろが片付いたあとで、潔探偵は聞きます。その答えが、さらっとすべての答えになっている。今までの前提が全部ひっくり返って、あ、そっかーとなる。

   だから、「一文ですべてがひっくり返る」ミステリの金字塔とされているんですが。

   いや、無理でしょ。

   絵にしたら一目瞭然じゃん。

   ところが、やってくれました。コミカライズに当たって、いきなりかわみなみくんがきゃわいいおんにゃのこになっていて、未読組を混乱させています。いや、読んだのうん年前組も。そして現れる犯人も。

   美しい。

   存在感ある。

   こいつ、いや、このお方ならあれだけの大犯罪やっても許せる。いや許せないけど。

   そして、ここをこうやればあのネックはかわせるなーとか思えるスタイルで。ま、メタなことをいえば絵師さんの書き分けがあれで似たような美形が被っちゃったぐらいでスルーできそう。

   未読の方はここまで語っといて申し訳ないけど、今からでも読んでください。大丈夫。そして、伝説の一文であなたも叫んでください。

   たぶん、そこであれをああして見得を切るんだろうなーと今からそのシーンを思い描いて待っています。

   あまりの大トリックに、当時、登場人物が類型的で血が通っていない云々重箱の隅ポイントとして突かれたあのミステリ研のメンバーをそれぞれ個性豊かに立ち上げた絵師さんの力量を尊敬。スピンオフで、このミステリ研の日常を見てみたいとまでネットで言われてました。それくらい、ちゃんと血が通ってみえました! 誰と誰とが幼馴染で目を配ってるとか、ライヴァル心を抱いているとか、細かくて好ましかったですけどね。

   あと、ネットとかPCとかは現代に時代を移して配慮してしてましたが、原作はなにせ昭和から平成入ったころですので、男子学生さんは多くが煙草をふかしていたのが印象的。原作ではそれぞれの煙草の銘柄まで決めてあったそうで、読者の細かい人はそこをチェックしていたそうです。この辺はどう描かれるのかな。潔探偵が一日いっぽんを首から提げていたのはわたしも覚えてたけど。

   こういうカンジで、最近はなろうのコミカライズばかり見ていましたけど、ミステリのコミカライズも色々大変なんですから、うまくコミックに写し取れていっそうの作品の周知に貢献した絵師さんを評価するシステムがあればいいと思いました。頑張って!

 

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2020年8月16日 (日)

テルマエ ナーロッパエ

   なろう小説によく出てくるような古き良き中世ヨーロッパっぽい世界のことをナーロッパというんだそうで。蒸気機関はこれなく、活版印刷や火薬や羅針盤という三大発明がまだされていなくて近代科学が定着していない世界。義務教育終わったくらいの現代日本人が手を貸してやってすぐ生活が向上する程度という位置づけです。

   その、ナーロッパ世界において、もと日本人たる主人公がえーっこれないなんて信じられない生きていけない、頑張って再現しちゃうぞ、でなんとか作れて、現地の人々にもうっわすごいなんていいものだ、こんないいものを作ってくれた主人公大好き、えらいヒト、何でも言うこと聞いちゃう……ってなるのかお風呂。ヤマザキマリは偉かった。

   あと、お風呂となると皆さん生まれたままの格好になられるので、コミカライズとしてはサーヴィス・シーンになるという利点もあるのでしょう、各作品、お風呂シーンはマストみたいです。

   今回それを証明していこうかってたとえば、おかあさん大好きな佳作「異世界のんびり農家」では、2年目以降、初期メンバーがそろってきて、水路を村まで引けて水の供給が安定してから。ハイエルフの一団が加入して人手的にも土木知識的にも向上してからです。それまでは……井戸はあったから水で体は拭いていた模様。ま、一冬過ぎたら魔法を使える奥さんができたので、たぶんそっちで清潔にはしていたでしょう……最初の年がどんだけ悲惨だったかわかるわ。塩も採れなかったらしいし。「健康な肉体」という初期プレゼントがあればこそですね。

   村長、ヒラクさんはその後、熱いお湯が沸いている山があると噂を聞いて温泉探検隊まで組織して温泉を探しに行ったりします。

   そこで村のメンバーがかかわったダンジョンの大崩落から、とんでもない秘密にかかわってこの世界を大きく変えてしまうのですが……
   「なんだかいやな気がしたので耕しておいた」で大きな災いを事前に封じてしまうんだからスゴイ。そして、それを村長本人以外、ドラゴンや吸血鬼の始祖さんや魔王などの大物連中も関知していないっぽいのがすごい。いや、始祖さんと竜王とかはうっすら気が付いていてそれで村長はもうほぼ神でしょう、というスタンスで接しているのかもしれず。その辺の奥ゆかしさもこの作品の魅力です。
   多大な犠牲(?)を払って作った温泉場は皆の心をぎゅっと捉えて、始祖さんは入りびたるし竜王はドラゴンのまま寝っ転がって入るようになるし牛は温泉につかりたくて脱走するし、大樹の村には入浴の習慣は楽しいものとしてしっかり根付いたようです。

   その他となると。

   「理想のヒモ生活」では、善次郎さんが招かれたカープァ王国は熱帯ぽい異世界だけど、なんといっても女王の婿殿として迎えられたのでお風呂は最初から大きなのがあります。魔法も普通にある世界なので、お湯も使い放題のようです。二人して入ったりしてこれはお色気シーン要素。
   ただ、化学製品たるシャンプーはないようなので、魔法の絨毯で持ち込んでみた善次郎さんもロングで量もたっぷりな女王様、アウラさんが使っていくうちに思ったより早くなくなりそうで焦ってました。ま、もともとある素材のもので洗ってもらってください。水質が汚染されないかちょっと心配。

   「宝くじで40憶当たったので異世界で移住する」カズラさんも、移住先のグリセア村は生きるか死ぬかの寒村で、とても各戸にお風呂なんかついてなさそう。ただ、肥料を導入して皆で農作業して泥まみれになったから、と戸外の流し場で謎のトンネルで日本から持ち込んだ石鹸を使って汚れを落とすシーンがあります。これは、カズラさんが便利なものをくれる、という主人公上げと、ヒロインが素直で可愛いヒロイン上げと両建てでおいしい。
   話が進んでカズラさんがご領主さまにスカウトされると、ご領主さまは一応下の方とは言え支配者階級なのでお屋敷にお風呂があり、お嬢様のリーゼが剣のお稽古の後汗を流したり、カズラ様をしっかり捕まえておくためにメイドさんたちが夜伽をする準備でお風呂入るシーンとかがあってドキドキします。メイドさんたちは覚悟を決めたり決められなかったりしますが、カズラさんはなろう男児なので(ナニソレ!?)まったく意味に気が付いてなくてあっさりかわしてますが。下手するとご領主さまの奥さんさえ(仮面夫婦なので)カズラ様ハーレムに名乗りを上げそうです。

   じゃあ、同様に貧しい家庭からはじまった「本好きの下剋上」はどうかというと……お風呂シーン、1部はなかったんじゃ? お風呂がないって初期のウザマインのころはパニックになってたんじゃなかったかしら。せめて体を拭いてとお姉ちゃんのトゥーリに訴えていたような。髪を洗いたいという心の叫びとなんでも手作りを体験させられていた記憶がうまく絡み合ってリンシャンの発明に繋がり、下剋上がはじまったという名構成。やっぱり清潔にしていたいと心掛ける、自分の身の回りのことは自分でする、現代文明を享受しつつもこれはどういう仕組みでできているかを頭に入れておく、というのがなろう世界で成功する秘訣? 

   2部で神殿に入ってからはそれなりにきれいにしてたと思うけど、神殿ではお風呂あるでしょうさすがに。3部でお姫様になったら、ばあやさんに野菜のようにわしわし洗われてましたね。それもまた成人女性の意識があったらつらいかも。

   そういう、身分によってお風呂事情が違うというのが出ていて「本好きの下剋上」は世界観がしっかりしていたという結論。

   ナーロッパではありませんが、戦国世界にタイムスリップする「戦国小町苦労譚」も、最初はお風呂に入りたーいとヒロイン静子は泣いてたと思います。なにせ「農学で仕えます!」と織田信長に大見得切っちゃったから、とり潰し寸前の農村に入って体を張って農業指導してたので。そりゃお風呂入りたいよ。

   こちらも、温泉を見つけて大喜び、そのころには一応指導者として信任を得ていたので村人総出で湯殿を建てて「わーい!」ってところで信長に見つかって、「入らせろ!」ってなりました。一応、タイムスリップしてきた年の夏ごろの様子。静子ちゃんおつかれでした。それから信長様お風呂にはまって、静子ちゃんの温泉に入りに来たり、京都の屋敷にも湯殿を作れと言ったりとワガママほうだい。静子ちゃんの出世のきっかけにもしっかりなっています。

   まあ、転生して主人公じしんが温泉になっちゃうっていう作品もありますので。

   お風呂は日本人には切っても切れない生活の一部なんですねえ。

   さて、その他、なろうの出世ポイントとしてはおいしいご飯を作って皆をもてなしてしまうってのもあります。

   ヒラクさんといい、カズラさんといい、マインといい、静子といい、やはり食は生の源ですから。

   じゃあ、お風呂が住? 日本食が食なら日本の衣生活はナーロッパではなにも貢献しないのか?

   今の家庭科教育で衣についてはあんまり重点を置いてないかもですけど。

   日本らしい衣料って、浴衣作ってもなあ。そもそも今は浴衣とか作らないでしょ。

   「異世界のんびり農家」では、初期メンバーの蜘蛛さん:ザブトンが冬が来る前に加入して、お召し物一切作ってくれてます。お布団、カーテン等ファブリックから、毛皮付きのコート、貴族っぽいジャケット、下着からドレス・水着まで。蜘蛛の糸は高級素材なので、途中から綿花を渡せば木綿素材のお手頃な衣料品も作ってくれるようになったんじゃ? その辺がご都合というかファンタジーのいいところ。

   現代人が布織るところから始めたらきついし。一枚布からお洋服作るのもハードル高いし。それこそローマ風一枚布巻き巻きになるわ。

   あ! 「理想のヒモ生活」の善次郎さんは日本の衣料を持ち込んで騒ぎになってた♪ アウラさんも苦笑してた。 

   「本好きの下剋上」では髪飾りをつくるところから、翌々年? 自分の七五三(ちゃうわ!)、神殿参りでお姉ちゃんのお下がりをうまくリフォームするのはアイディアだけ出してお母さんに実際はやってもらってましたよね? その辺が限界、そのあたりのリアル加減もよかった。現代日本女性、本の虫でハンドクラフトはそんなにやってない子が記憶だけで実際7歳児で周囲の目を惹く作品つくれたらおかしい。

   朝ドラ、「カーネーション」で仕立ての女性の視点から戦前戦中の時代を描いてたのは独特で面白かったけど、そういうカンジで、ナーロッパも服飾で下剋上する話があっても面白いかも。

   ナーロッパというか、転生ではないけど「指輪が決めた婚約者」は、そこのところが興味深かったかな。ヒロインが刺繍大好きで、ドレスの刺繍、小物の刺繍で大貴族や魔法使いたちと渡り合ってイケメン・ヒーローのパートナーにふさわしいレディであることを自ら証明するストーリーが良かった。

   とまあ、まだまだ独自性の出しようもある世界みたいです。面白い話、どうぞ読ませてください! ご紹介ください!

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2020年8月 8日 (土)

転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す ― 愉快痛快大誤解 ―

   おかあさんもはやめに連休突入ですって、じつは夏風邪で頭とのど痛かったので3日寝て暮らしました。いやほんとただ純粋に寝てた。

   いやいや、それで、なかなかケッサクに出会ったのでご紹介。

   「転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す」十夜。原作はなろう。コミカライズはアース・スターでやってます。「魔王の秘書」とか、「戦国小町苦労譚」の。今回も戦国小町の更新見に行って拾ったの。

   転生聖女ものですが、現代日本は関係なし。その異世界で、騎士になりたいと絶望的な努力を積むヒロイン、フィーアちゃんが、死の間際に自分が300年前の国を救った大聖女だったことを思い出して、なかったはずの聖女パワーで成り上がる話

   オリジナルな味付けは、その300年前の大聖女は、魔王封印のクライマックスで自分が支援して苦楽を共にしてきた兄王子たちに裏切られて、敵地に捨てられ、魔王の残党に恨みをぶつけられて惨死したってとこ。死に当たっては、「聖女として転生したらまた殺しに行く」と呪いをかけられたことを現在まざまざと思い出してしまったということ。15の、成人の試練の最中のいたいけな乙女がですよ!

   しかも、そのせいでせっかく思い出して使えるようになった聖女パワーを親兄弟同僚上司にも隠し通さなくてはならないハンデ!

   あと、物語前半は。前世を思い出すきっかけ、死に瀕した魔獣を助けたら、それが伝説の魔物、黒竜で、そんなものと契約してしまったらVIP扱いになり、魔力の源を探られて前世がばれるから黒竜ザビリアのことも隠し通さなくてはならないというダブルハンデがついてました!

   騎士能力もほっとんどないせいで騎士の脳筋ファミリーにはネグレクトされていたのになにこの天然ポジティヴ、洗練された宮廷人としての高度なイヤミや皮肉(騎士と疑わしいぐらいみんな言語表現力とネゴシエイション力がある)も非常識なほどの鈍感さでスルーして楽しく騎士団生活送れてしまうのは尊敬します! この誤解と鈍感のすれ違いっぷりがたまらない!

   そして、少女漫画の古典パターン、ヒロインが信じられないほどの清らかなポジティヴさで人の心をつかんで受け入れられていくというのを騎士団ものとしてやってくれるのでした。当然、色とりどりの美形逆ハーレムが形成されますが、その持ち上げられ方は胸がかゆいラヴロマンではなく悶絶爆笑ものです。王族の血を引くエレガント団長もワイルド美形団長もウソでしょッとキリキリさせられていつもと違う面を見せてくれるおかしさ。かえって、キラ効果付き王子様の同僚騎士が最初から変わらずほんわりと癒しになっているのが貴重なくらい。

   そのうち、兄王子たちに裏切られたあと、300年の年を経て聖女というものがイヤな感じに変わってしまった社会背景の謎も解いてくれるのでしょうか。フィーちゃんが「くそったれ」と評して団長さんたちを瞬間冷凍してしまうような。

   秘密がばれたら殺されちゃう! はずなのにあんた秘密を守り切る気ないやろ、というふうに突発時には聖女パワーをいかんなく解放してしまい、どんどん聖女ばれしていくフィーちゃん、20人いる騎士団長さんたちがどんどん秘密を知っていって真っ青になりながらフィーちゃん対策に頭を悩ませるのが、「本好きの下剋上」の4部あたりに似ているかもしれません。

   いやー先行き楽しみな元聖女様です。

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2020年7月12日 (日)

ミステリと言う勿れ ー 大丈夫マイフレンド ー

   いやあの映画見てない。
   ネットをいろいろ閲覧してますと、増えましたねえ、各種オンラインコミックの広告。うっかり踏んでいろんなコミックの出だしだけ読まされちゃう。

   今回はそういうカンジでよく最近目に入る「ミステリと言う勿れ」田村由美。骨太な物語で有名ですが絵があんまり好きじゃないので読んだことなかったわ。既刊一気したけどやっぱり好みじゃなかったわ。見せゴマはきれいだけど、どうでもいいところはホント雑で、でも、何が描いてあるか、どう見せたいかはわかるから巧いんでしょう。でも好みじゃない。骨太美形もね。

   広告部分は、主人公カレー大好き安楽椅子巻き込まれ探偵の久能整(くのうととのう)くんが、野暮用で乗った新幹線で隣になった知らないおねえさんの手紙を見るともなしに横から見ていると、本文に可愛いイラストがついている、過去分みんな読み返してるけど、どのお手紙にも。とくに意味もなく付いてるこのイラストのアイテム、頭文字だけ抜き出すとなんだか穏やかでない言葉になってる、暗号では……? という、実に続きを読ませたくなるセレクトです。

   勇んで購入してコミックを頭から読んでみると、それはエピソード3で、物語は整くんが自宅から高校時代の級友(?)殺害容疑で任意同行を求められるところからでした。

   海千山千の捜査員たちに高圧的に犯行を決めつけられる中、へーぜんと、のらりくらりと、上げ足をとったり捜査員たちの会話に割り込んだりして状況を読み、見事に事件を解決して自らを解放した1話は素晴らしかったです!

   人の心理を深く読み取り理解して状況を解き明かす、そして、それだけでなく、現代の物事への風刺やらちいさな問題提起とかがあって、読んでいてすっとする、ためになる、そういう謎解き系のミステリ。

   なんでいじめられた方が転校しなきゃならないの?

   コミュニケイション能力ないんだなんてひとかどのキャリアもってるいい大人が言うな、使う相手を限ってただけでしょ?

   ヴァージンロードってなんでお父さんがエスコートするの、お母さんの立場は?

   女の幸せって男がいう言葉に騙されるなよ?

   ……空きページの名セリフかるたにはこういう言葉の方を選んでほしいなあ。

   タイトルは謙遜が過ぎるんじゃないかな、大丈夫、十分ミステリしています。

   しかし、それ以上の、問題提起があるという意味かな。たしかに、「ミステリと言う勿れ」。

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2020年5月24日 (日)

「異世界に救世主として喚ばれましたが、アラサーには無理なので、ひっそりブックカフェ始めました」 ー 異世界にはアラサーから ―

   タイトル長げぇよ。読点まで入ってる。

   最近のおかあさんはもう家事はほとんど投げて、おうちに帰ったらもうなろう小説を読むこととブラウザゲームをすることしかしてません。いやマジ。勤労と納税はしとるからええやろ。子供を学校に通わすことは最後はおじいちゃん(と奨学金)に投げたけど。

   そのなろう小説ですが。異世界に行って英雄になるってのも、若さに任せてチャンバラやればいい時代は終わり、今は、アラサーである程度経験を積んだ人が、その知識と経験をもとに頑張っています。

   「宝くじで40憶当たったんだけど異世界に移住する」カズラさんは、異世界と往復できるトンネルもさることながら、やはり40憶をパワフルに使いこなす大人の経験と知恵あってのことでしょう。荷物運ぶ道具が欲しい→道端にリヤカー放置→札ビラ切って借りていくとか、水車欲しい→業者探す→断られそうになると前金即金で押し切るってところは中学生には無理でしょ。

   「理想のヒモ生活」の善治郎さんも、ブラック企業でいろいろ経験した結果の交渉力や判断力がかれをただの「女王のヒモ」以上の油断ならない優秀な王配たらしめています。最初に召喚されて白羽の矢が立った事情を聴いて、自分に求められることを的確に推理して交渉するあたりがすごい。この作品の第一の見どころは婿入りまでにあります。魔法の絨毯で持ち込んだ現代日本の文明のチート(ずる)もあるけどね。

   「異世界のんびり農家」のヒラクさんも、一農夫としてのんびりしたいとかいいながら、いざという時の調整力や胆力(そして武力)でガルガルド魔王国の一部地域ではなくてはならない存在になってますしね。ヒラクさんが在職中どんなご苦労なさったかはあんまり描かれてないけど(長い療養生活のせいもあろうが)、その分仏のような寛大さ、動じなさがつちかわれちゃってる。ヒラクさんの魅力は「そうなのか?」でスルーして、「じゃあこうしよう」っておっとり受け入れて対応しちゃうところね。竜が来ようが呪いの岩が発掘されようが。

   やっぱり、読者は疲れた勤め人? なので、うまくいかない日常といえどもその積み重ねは無駄なことではない、自分の中に何かは残っていて、いざとなったらそれで社会に貢献して認められるのだと思いたいんですね、わたしもです。

   さて、表題作「異世界に救世主として喚ばれましたが、アラサーには無理なので、ひっそりブックカフェ始めました」の水森月奈さんもある意味豪傑。

 「え? 異世界転移?
  嫌です」

  お、おう。それなりに生きていけてるアラサー社会人なら環境の激変は望まないわな。こちらの世界から転移した救世主だけが使える大魔法があるので、それで世界を救ってもらいたいって、現れた神様(と名乗る球体)は必死に口説きます。もう静かに暮らしてもらうだけでいいからって、なにの投げ売り? 異世界からの人間の魔法でないとと安定できない世界って世界として破綻しとるやん。おまえその世界の神として恥ずかしくないんかとわたし思いますけど。
 
  そのへん、やはり血気盛んな中高生ではないので月奈さんきれーに論破して拒否りますが、

  「代わりに君の願いはなんでも叶えよう」って、神様も必死。

  したたかな月奈さん、そこはよく考えつつ、自分に向いてる転移先をいろいろリクエスト、願い事もよくよく吟味して、その他追加の願い事をカタログで通販するノリで手に入れられるペンダント(神様が細かい要求に根負けしてプレゼントしてくれた)までゲットして、準備万端の転移です。もう、このイントロだけで思いっきり読みでがありました

   そして、月奈さんが趣味と実益で選んだのがブックカフェの店主でした。

   えーとあのー食べ物飲み食いしながら本を読むって、「本好きの下剋上」の麗乃さんに怒られそうなんですが。いまこういう形態のお店ってあるんですか、10年? ほど前、書店に喫茶店が併設されて、お会計前の本も持ち込んで読める? とかいうの見聞きしたかもですが、図書館に入る前には手を洗う、物を飲み食いしながら借りた本を読まないとか叩き込まれた世代なんで(自分の本は当然左手に持って読みながら飲み食いしますけど)、なんか微妙。お行儀悪いんじゃないの? わたしはこういう形態のお店利用したことないです。学生用カフェレストランで置いてあるジャンプよみながらスパゲティ掻きこんだことはあるけど。

   地球だって近世に至るまで本は貴重なんで、ものを飲み食いしながら閲覧ってのはあり得ないと思うんですが。うーん、それで物語世界の登場人物はありがたがっているからいいか。とりあえず月奈さんのお店の本は汚れないよう魔法がガードしているそうです。

   まあ、お客はほとんど、相手役のイケメン騎士イルしか来ないし。

   もう一人、この世界には先に転移した救世主ちゃんがいて、全然自覚がなくちやほやされることだけを享受するダメ異世界人だったので、お城のみんなはストレスが限界、イルもそれで癒しを求めてこの店にたどり着いたという事情がありまして。

   本好きの二人は運命の出会いに心を寄り添わせていくのでした。

   このへん、疲れたイルに対し最初のお客さんだからときめ細やかなサーヴィスをするのがぴたりぴたりをはまってゆくあたりがだいご味。やっぱ社会に出てそれなりに揉まれているからこそのサーヴィスです。……まあ、居心地の良い場所を提供して、おいしい食事を出して、ほんの少し、癒しの魔法もかけて、とままごとっぽいですけどね。

   神様としては、月奈には普通にこの世界に存在してくれるだけでいいらしいので、ブックカフェが採算取れてるかどうかは問題ないんだろうな。お会計とか、仕入れとか、細かいところはスルーでした。いいのかこんなんで。

   そして、彼女の対照として、自覚も覚悟もないもうひとりの救世主のダメダメっぷりも描かれてゆき、世界はとうとう破滅を迎えます……。

   月奈は平凡な異世界ライフを守り切れるのか!?

   もう一人のダメ救世主や、彼女を受け入れ甘やかしてしまう王子など、固有名詞さえない割り切りっぷりのシンプル電車道な物語。あっさり終わりますけど、それだけに終わったときにはガッツポーズが出ました。これでいいよ。足りないぐらいでいい。お幸せに! 

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2020年5月13日 (水)

最後のレストラン ー 横からどや顔 ー 

   自粛づかれなどの言葉もささやかれる中皆さまいかがお過ごしでしょうか。おかあさんは本日はおさぼりです。こないだ雪降るほど寒かったのにもう真夏日かい!? 身体がどうかなるわ!(雪がふったのは3月下旬です)

   さて、書店が閉まってても書籍も発売日は粛々と訪れ、またしても新刊が出ました。電子書籍で買いました。

   「最後のレストラン」藤栄道彦。もうはや15巻に突入です。
    親の残したレストランをなんとかこんとか回しているオーナーシェフの園場凌(そのばしのぐ)クンのお店は、歴史上の人物が今わの際によくタイムスリップしてくるというマジカルなお店。今日も有名無名の偉人が現れておいしいものに癒されたり園場クンにありがたい言葉をかけてくれたりするのでした。

   連載最初はそのころ流行りの偉人召喚バトル漫画「ドリフターズ」と登場人物が被っていたものでしたが、向こうが連載止まってる? 間にもこちらは巻を重ねて、被ってるどころかもう古今東西有名どころはみんな出尽くして、ネタ切れ感を感じてきていたのですが。いやいや。

   ここへきて、どうも新刊15巻は文豪シリーズ。ドイルに漱石やらシェイクスピアやら。前巻14巻では最後の大物(?)ケネディが巻中ぶっとおしでご出演して、さらに召喚された他の偉人、チェ・ゲバラなど同時代人やイシンノゲンクン大久保利通と絡んだりしてくれて二度おいしい作りです。そういえば、大河サーヴィスで西郷さんが召喚されたときも、光秀さんと絡むシリーズがありました(12巻)。作者さんもいろいろ工夫しているようで応援したいです。

   作者さんご自身空きページの解説で語っていますが、一般的な評伝をひっくり返して、実はこういうところもあったのよ、というのを描いてくれているのでまいど得をした気持ちになります。エリーザベト皇后が足ることを知らない無駄づかいエンプレスだったとかね。
   
   そして、偉人との触れ合いを経て(園場クンはかたくなにそっくりさんと言い張ってますけど)、園場クンじしんもいろいろ成長して、レストラン初期メンバーに加え、帰れなかった被召喚者のジャンヌ・ダルクや安徳天皇、出戻ってきた同窓の女性料理人、ソムリエ親娘や2号店3号店の人たちまでしょって立とうとし始めたのには感嘆を禁じられません。一話完結ものとはいえ、少しずつ、人間変わっていかないとね。でも、お見合い相手の好美さんを取るか、自分を慕ってくれているジャンヌをとるか、黙ってつかず離れず召喚者たちのことを教えてサポートしてくれる前田嬢(マルチリンガルの才女で被召喚者のプロフィールを教えてくれる。初期は通訳も)は園場クンのことどう思ってるのか、シェフより威張ってる同窓の御奴さんは園場クンとどうこうなる気はないのか、よく考えたらハーレムじゃんこれ!

   時事ネタも多少さらっと混ぜてあって、フランス料理も毎回お題に合わせてなるほど、というものを用意してくれて、そして歴史について、人生について、やられた! と思わせる名回答を見せてくれて。いやいやこれすっごい密度濃いですよ!

   クールジャパンで、よその国の方に漫画をご覧いただくなら、こういう作品も混ぜといてほしいです。

   日本は、古今東西の偉人についてこれくらいのお遊び(描いて面白がれる)ができる程度には教育水準が高く、個々の人物について、いいことも、悪いことも調べて描ける程度には自由ですと。そして、ただの評伝ではなく、面白おかしく、お料理に絡めて目にも楽しく読めるような作品を生み出せる作家がいるのですよと。

   自分は生み出す側でなく享受する側ですが、とりあえず欠かさずお金を払い、そして折を見てこういうところでアピールする、どや顔でね。それくらいはするつもりです。このあとどうなるか考えるとこわいけど、空前の繁栄をしていた漫画の国ジパングの住人としてね。

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2020年5月 6日 (水)

おおカミよ

   この春先のあの騒ぎの覚書。

   1月の終わりにトイレットペーパーの定期買い足しをしたときに、「従来品の??%増し」で巻いてあるので買い替え頻度が減ってお得というペーパーに変えたところが、2月末の段階でそれの封を切って、巻が多い分ひとパックが6個ぐらいしか入ってなくて、やっぱりなんだか心もとないわね、今週末もうひとパック買っときましょうかって気持ちになって。ところが3月頭は例の箱根温泉ガラス旅で、買出しに行けなかったのでした。

   「ってわけで、今週こそトイレットペーパー買いに行こうと思うんだけど」っていってたら、なんだか世間はトイレットペーパーが足りなくなるんじゃないかって話になって。
    いやまさかそんなコロナとトイレットペーパー全然関係ないじゃん、昭和のころじゃあるまいし。だいたい早乙女さんちみんな日中仕事でいないんだからトイレ使う人いないんでしょ、週末買いに行けばいいわよって言われて、あははそうですよねーって3月第1週はのんきに過ごして。って、あとでブラセリーカサイのママに聞いたら、その2月の末に一気にトイレットペーパーは店頭からなくなっていたのでした。

   そうでない去年以前も、よっぽど切羽詰まったときでないとノイエ・リリエンベルクの駅でトイレットペーパーなんか買ったりしてません。バスにそんな大物持って乗りたくないし、仕事の帰りは食品を買って帰ってるんで荷物増やしたくないし。
   買うとしたら、イオンと小田急スーパー、それから薬局が駅の北口と南口、エルミロードにイトーヨーカドー入ってたかな。

   一応ラインの自分の撮った写真を会社の熟女と共有してた記録出してみたら(マスクの売り切れ情報など共有してた)、3月3日の時点で小田急スーパーには欠品のお断りが張り出されていたのでした。

   「大丈夫ダイジョブリーリエマート行けばいいんだから」

   おかあさんまだそのころは余裕。一応、毎日駅の周りはチェックしたけど、既にイオンと南口のドラッグストアでは影も形もなくなってました。

   「そういえば、うちの会社の一階トイレの個室に配備されてた予備ペーパー、今日は一個しかなかった」と熟女のヘレンさん。

    待ってー! 事態はそこまで切迫してるの!?

   「朝イチだったからじゃない? あとは、1階はいろんな人が入り込んでるから多少用心してるのかも。うちの会社のフロアはID持ってる人じゃないと入れないからちゃんといつも通りダースで配備されてた」   

   「ああ、そうなのね、ごめん」って、ヘレンさんはいつも理知的な方です。

   「うちの旦那のよく行く会社の近くのセブンはペーパーが切れたのでおトイレ借用禁止になったって」

   「ぎゃー!?」(慌てふためくスタンプが入ってました)

   「我が家は古Tシャツを小さく切ってティッシュの代わりにしてるけど、さすがにトイレには使えないわね」ってヘレンさん。

   「いや最悪の場合、ウォシュレットでよく洗ってぼろ布で押さえてそれは燃えるごみ出すことも考えてる。

    ただし、うちこの夏ウォシュレット買い替えた時に旦那が設置したところで力尽きてまだホース繋いでないの!

    旦那にウォシュレットを使えるようにしてもらうべき!?」

   「早乙女さん旦那さんに頑張ってもらって!」ラインは一時騒然……。

    そしてデスクで使っていた鼻セレブも切らして(花粉症です)、会社の下に入っているセブンイレブンに買いに行ったら鼻セレブどころか普通の箱に入っているティッシュペーパーも欠品していて、これは本格的にやばいのでは? となって。

    その週末、一山越ええていつものリーリエマートに行ったらほんとにトイレットペーパーの棚ががらんとしていて、ひと家族様一品限りになっていたので、目の前にあった小さい4個入りパック、うっすらピンク色で香水の香り漂ういつもだったら絶対こんな高級品使わないわってのを約400円で売ってたのを、ジャンプしてキープしたんですが。だってすぐ横にご主人をともなった大奥様が買おうかどうしようか迷ってたたずんでいらしたので。

    ……ちょっと横に398円で12個入りのも売ってたみたいよ。でも、わざわざジャンプしてまでとびついたのを捨てて別のにするのは恥ずかしかったのでそれ買ってきました。くぅーっ痛恨の一事。

    そのころお隣の席でいろいろこのトイレ紙苦労話を聴いていただいてた熟女のえすこ様(ちょっとSなご気性から)にその話をしてもう皇族の方みたいなノーブルな笑みで「良かったわね」と言ってもらってたんですが、

    「とうとう例の香水入り4ロールに入ったんだけど、なんとこのロールにはちゅうりっぷの絵まで描いてあったの!」

    「まあ!」

    「それで、いつもの通りぴっと紙の端を引くと、その勢いに負けてミシン目でぴっと切れてしまうの。

     またピッと引くと、また最初のミシン目で切れてしまうの。だから、3回目はそーっと引き出して、必要量を巻いて、そーっと切ったの。わたしはこのペーパーを使うには淑やかさが足りない、

     なんと わ た く し は い か に 野 蛮 人 な の か と い う こ と を
         こ の ペ ー パ ー に 教 え ら れ た の !」

    「まあ、よかったわね(ノーブルスマイル)」

    しかもですね、そのあとまたそのリーリエマートに行って、ほかにペーパーはないかと売り場をじっくりと見たら。

    「落とし紙が売っていました
    「なあに?」えすこ様ホーリー&ノーブルに問い返されます。
    「あの、巻いてない、ぼっとんのトイレのときのペーパーですよ、田舎のおばあちゃんちで使ってたの昭和のころ見たことある。あれ知ってる最後の世代が私たちですよね、使ったことあります? そういえば、東日本震災の紙がないときもあそこで見たわ、あの時は、あまりにも紙がないから倉庫から出してきたんだと思ってた、今でも作ってるんだ、何に使うんだろ」
    「知らないわ」にっこり。

     次の週、事情通のブラセリーカサイのママに聞いてみたら、
    「通年売ってますよ、なんか聞いてみたら、ワンちゃんのお散歩のときに始末をするために使ってるって」
     なるほど、あれティッシュなのかと思ってた。あれでつまんでヴィニルの袋に入れて持って帰って、落とし紙なら水洗に流せるからご自宅のトイレに流しちゃうんだ。ペット飼ったことないから知らなかった!

     と、また月曜日にえすこ様に報告すると、
    「うちはあらかじめヴィニルの袋の中にペーパーがセットしてあるのを使ってるわ」
    「その場合は中身だけトイレにポイですか?」
    「袋ごと燃えるゴミね」

     この機会にいろいろと知らないことを知ることができました。

     そして、ネットで見るには、ペーパー不足という消費者の不安状況を打破するためにイオンはペーパーのお徳用パックでお城を作って、

    「幾らでもありますからどうぞお買い物してください、どれだけ減ってもすぐお城を作り直します」ってやってたというのにうちの近所のイオンには影も形もない、あれはどこの国のイオンの話なのだ、うちの近所が川崎のチベットと呼ばれているへき地だからなのかと言っていたら、虎美が、

    「おかあさん、あれは阪神大震災を経験したもとダイエーの社員の人がお客様にご不自由をさせてはいけないというダイエー魂を出してやってくれたことなんだって。ノイ・リリのイオンはもとサティのイオンだから、ダイエー系列じゃないから無理なのよ」とまた眉唾な話を教えてくれたりして。

    もうトイレットペーパーもティッシュペーパーも買えるようになってきたから忘れないうちに書いとく。

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2020年4月26日 (日)

指輪の選んだ婚約者 - 大団円お見事! -

   ステイホーム支援。

   やっぱハッピーなのがいいでしょうって、ちょうどピクシヴ更新あったからご紹介。「指輪の選んだ婚約者」茉雪ゆえ、早瀬ジュン(漫画)。なろうの原作は一応完結済み。47話プラス番外編少々。コミカライズはやっぱりカドカワフロースコミック。ピクシヴやコミックウォーカーで一部無料公開されてます。コミックはシーモアでも購入可能。

   きゃわいい伯爵令嬢だけどちょっと変人のアウローラちゃんのオタク趣味のターゲットは刺繍。ホントは刺繍のプロになりたかっただけあって技術はお嬢様の趣味の域を超越してプロレヴェル。夜会に出ても、美形を追っかけするよりレディたちに交じって噂話をするより、黙って壁の花になってお集りの紳士淑女のお召し物を鑑賞するのがサイコーに幸せなひととき。ところが、大きな夜会に久々参加したら、ちょうど珍しい方が嫁取りにご出席されていたようで、そのどたばたのとばっちりを喰らってしまいます。

   「この指輪を放り当たった女性が我が妻である!

   氷の貴公子と呼ばれる超絶ハンサム侯爵家の跡取りクラヴィス様、ちょっとヤケになってたみたいよ。

   翌日土下座して事情をゲロッたうえで、昨夜の騒ぎのおかげで求婚の申し込みがなく心安らかな朝を迎えられたから、当分縁談除け期間限定婚約者をやってくれないかという失礼な申し出をするという残念ハンサムでした。

   心優しいというかおっとりアウローラちゃん、なんだか可哀そうになって、
   「お受けします(私も結婚しろと言われなくて趣味の刺繍に打ち込めるし♪)」と答えちゃう。
   弟があまりにもハンサムなのにコミュ障で困ってたお姉ちゃんの公爵夫人が電撃訪問して
   「愚弟を見捨てないで!」とやってきたことでもあるし。
   はた目には美男美女の新しいカップルが誕生したのでした♪

   「ローラ、お前一体
    昨晩何したんだ?」と、美形姉弟が去ってのちお兄ちゃんの質問に
   「……慈善事業? かしら」と答える(アウ)ローラちゃん。そう、おっとりローラちゃん、じつはしたたかでした。

   ところが、ローラちゃん失われた魔女の能力を微力ながら持っていることが判明し、その能力と熱い刺繍への想いが密接に絡み合って、おっとりしたたかな立ち回りもあってコミュ障残念ハンサムなクラヴィス様を強力にバックアップし始めるのでした。

   お? やけになったとんでもセレクトと思いきや意外にも良縁?

   少しずつ心を通わせていって、最後には収まる処に納まるハッピーエンドはほんとに美しい話だったとため息が出ます。

   これはコミカライズも美しいですが、服飾の書き込みがスゴイ。今のはやりはこんなドレスだけど、これをそのまま着ていくと可愛いけど絶世の美女までいかないローラちゃんでは少し見劣りがする、ドレスで差をつけないと。それではこのように工夫しよう、そういう流れがほんと詳しくて、でもそんなに素材とか技巧に詳しくないわたしが読んでいてイメィジしやすくてワクワクする。これは原文で読んでもらいたいです。

   「大奥」よしながふみでの、お万の方好みの裃や、「徳川の女人たち」吉屋信子の同じくお万の方のデビュウの墨絵の打掛のような、ヒロイン(「大奥」のお万の方は男性ですが)を彩る秘密兵器であるところのお召し物のように描かれるローラちゃんの工夫を凝らしたドレス、デビュウのとき一度きりでない波状攻撃なところがまたよみでがある! 作画の方もこれから先大変でしょうけど楽しみにしてます。どうぞ、お集りの方も楽しんでください。

   そして、最後の、これは必然の運命だったという落ちが最高にカッコよかった。何度も読み返してしまうにんまりハッピーエンドです。

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聖女の魔力は万能です ー ナチュラルいいじゃない ー

   またしてもステイホーム支援のご紹介。

   「聖女の魔力は万能です」橘結華、作画藤小豆。乙女向け召喚ものの一大メジャー。「なろう」の原作は第三部111話まで更新中。コミカライズはカドカワフロースコミックで連載中で、各種オンラインサーヴィスで無料で読めます。コミック版はシーモアでも電子で買えます。絵がきれいで見ていて楽しい。色使いも素敵。

   ちょっと社畜の疲れたおねえさん、小鳥遊聖(タカナシ・セイ)さんはある夜異世界に召喚されますが、問題なのは一緒に可愛い女子高生が召喚されたダブル召喚だったこと。待ち構えていた王子は見た目可愛いその女子高生アイラちゃんに飛びついて聞いちゃうのです。

   「貴女が聖女か?

   よっぽど大物じゃない限り、即答ではいって答えられないと思いますけどコレ。

   恋に墜ちたんだかどうなんだか、二人の世界を作ってしまった王子とアイラちゃん、さっさとどこかへ行ってしまいました。取り残されたセイさん、静かにキレながら事情をきこうとするも、みんな「王子の聖女」の方に気を取られてハッキリした説明もなく放置放置放置……。

   そりゃあ、キレるわ。

   ところが、神のイタズラか、喪女力をこの世界で魔力というんだか、暇を持て余したセイさんどんどん謎の力を発揮していくのです。これがまた、常識外。ほかの術者が汗水たらして作り上げるポーションを楽々量産したり(しかも効果が謎の5割増し)、顔見知りの騎士さんが魔物退治で四肢欠損したら、治った方がいいよね? と楽々再生。

   なろうで有名な「俺やっちゃいました?」系ですよこのおねーさん!

   しかも、乙女向けとしてふつーに逆ハーレムですから! 淡々としていて、もててもてて困る事案は起きてないけど、すべての発端、暇を持て余して薬草園にお散歩に来ていたセイさんを
   「薬草に興味あります?」と見事に薬用植物研究所に勧誘したふんわりジュードさん、王宮から内内にフォローをお願いされてた研究所の所長さん、その友人でセイさんの五割増し上級ポーションの効果で一命をとりとめた騎士団の団長さん、セイとアイラちゃんどちらが聖女なのか、セイさんの能力をを確かめるために派遣された魔術師団長さん。みなさんキラキラした美形で、

   「なんなんだこの部屋の美形率は」とセイさんもあきれるほど。

   その他、諸悪の根源王子といい、団長さんのお兄様である魔術師団の副団長であるインテリ眼鏡様、もちろん国王様も、皆さま美形ぞろいでいらっしゃる。ああ、目の保養。メインは団長さん。命の恩人への感謝以上の好意を見せてくれて、それが中高生の初恋みたいなほほえましさなのを、周囲が見守ってくれてる可愛らしさが好ましい。皆さん(諸悪の根源王子以外は)セイさんに好意的で優しくセイさんが物理的にも精神的にも辛いことがないように図ってくれているのでほんとうらやましい。いや、約一名自分の知的好奇心を満たすためだけにムチャ振りするひとがいたか……。

   もう日本には帰れないらしいけど、勤勉で周りの人に笑顔でいてもらいたいと心掛けるお姉さんにとっては非常に暮らしやすい召喚聖女生活なんじゃないでしょうか。

   聖女として魔物討伐にも積極的に参加し、結構怖い目も見るし、聖女としての奥義技が出せなくて追い詰められたりもするけど、そこそこ承認欲求も満たし、ほのぼのとした好意的な美形やお嬢様との交流、舞踏会やらお茶会やらなどを経験して、みんなに慕われる穏やかでハッピーな聖女生活を終えられたらいいんじゃないかな。

   ほんと、セイさんにひどいこと言ったりやったりするひとがモブから国の重要人物までほとんどいないので、安心して読めます。侍女さんたち、騎士さんや研究員さんたちがみんな優しくてプロフェッショナルなのがいいです。自分もこういうモブでありたいものです。

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